ファド またはABATE DE FADO
掲載日:2023/03/17
タバコの死骸の山に
埋もれた排水溝の様な・・
道端の葬列に出会った時、
私はこの見知らぬ他者の
終のパレードに涙したものだ。
おお、ドニャ・イリュザオ!!
私と貴方が出会っていれば、
あの海辺に続く小径から始まる
果てしない航路も、
決して見知らぬ夢では
なかったろうに!!
人生とは、
無数の淘汰された夢達の
唯一の遺残なのだ。
そう、それは
運命の抜け殻だ!!
嵐で奔流した泥土の中に
眠っていた繊毛虫達が
あらゆる可能性を内包した肉
として芽生えながら、
環境により打ちひしがれ、
惨めな片鱗しか残さない様に・・
世界とは、
常に運命の屠殺場であり、
可能性を淘汰し合う肉屋なのだ。
おお、ドニャ・イリュザオ!!
貴方の葬列に祝福を!!
我々は出会う事の無かった他人だが、
同時に、
共に旅したであろう同胞であり、
同胞とは、また、
すれ違う他者であった。
ああ!!
我々の邂逅の運命は殺され、
芽生える事が無かっただけだ!!
そんな中、葬儀は、
最も自然な船旅だ。
打ちひしがれ、
孤独な船主である我々は
誰もが同じ地に向かい、
そこで気付くのだ・・
あらゆる物語を!!
他者が!!
あらゆる
芽吹かなかった物語の
家族だった事を!!
そして、沈んでいく・・
なぜなら、どんな可能性の喧騒も、
どんな夢の様な大航海の賑わいも、
辿り着く先は、
この静かな葬列の幻影・・
すなわち
遺棄の海なのだから・・




