5話 調理
※ 本小説はmixiの日記にて投稿された内容のため、『日記』と題していますが、日記形式ではいことをご了承ください。
薬でも何か飲まされたのだろう。僕の体は意思とは逆に全く動かなかった。自分の体が恨めしかった。紗枝が、今にもこの男に食べられようというときに、僕は何一つできないなんて。紗枝を守る事すらできない僕・・・涙が溢れてきた。僕は、ずっと紗枝に頼りっぱなしの生活だった。そんな僕を紗枝は優しく見守ってくれたのに、今の僕はただ紗枝を見てることだけしかできない。
「おい!おまえ!僕を代わりに調理しろ!!この化け物!!!!人でなし!!!!!」
僕は、とっさに男にありったけの罵声を浴びせかけた。声だけは、かろうじて出る。
僕を先に食べさせても、紗枝は、その後にあの男に食べられるんだろう。意味のない行動かもしれない。でも、僕は少しでも、紗枝を守りたかった。少しでも生きていてほしかった。
「僕は、食べられてもかまわない・・・でも、紗枝だけは・・・・助けてやってくれ!」
「イイダロウ オマエノコトハ ズットキライダッタンダ オレヲブジョクシタ ツミハ ツグナッテモラウヨ」
男はそう言うと僕の体の上に、乱暴に小麦粉と卵とパン粉をぶちまけた。大量の卵が服にまとわりついて気持ちが悪かった。男は僕を持ち上げると、巨大な中華鍋のほうに運んでいった。もう、これが僕の最後だろう。最後に紗枝をのことを思った。美しい紗枝。バーナーのゆらめく火に照らされた、紗枝の姿は幻想的でもあった。紗枝・・・・君を守れなかった僕を許してくれ・・・紗枝・・・愛している・・・・
バチバチバチ!ガタン!!!
僕の体は、宙を舞った・・・
つづく・・・




