1話 美味しそうな匂い
※ 本小説はmixiの日記にて投稿された内容のため、『日記』と題していますが、日記形式ではいことをご了承ください。
すがすがしい朝だ!
今日は新しいアパートへ引っ越して一ヶ月目の朝。
外は少し曇っているけれど、新しい部屋の雰囲気というか、匂いが、僕の心に新しい風を吹き込んでくれる。
そして何より、アパートの隣の部屋から香ってくる、なんとも美味しそうな匂いが好きだ。フライか何かを揚げているのだろうか?
なによりも、食いしん坊な僕にとって、このフライを揚げるときの匂いってすごく好きなんだ。
でも、隣の人って何をしてる人なんだろう?
引越しの挨拶に行っても誰も出なかったし・・・何より夜中に仕事をしているらしく、たまに出入りする音は聞こえてくるけど・・・実際に会った事は一度もないんだ。
話は変わるけど僕は結婚したばかりで、紗枝っていう妻がいる。なにより、このアパートに引っ越したのは紗枝との新居にするためだ。紗枝は、夫の僕が言うのもなんだけど、すごくかわいい妻で、スタイルよし、性格よし、器量よしの三拍子揃っている。そんな、妻に甘えている僕は、いつもの休日と同じように家事を妻にまかせて、パチンコ屋へ、今日も行こうと思っている。妻には申し訳ないけど、ギャンブルだけは、結婚してからも直らない。まぁ、ギャンブル好きと言っても、下手の横好きで、勝った事なんて数えるほどで、ほとんど負けが込んでいる。やっぱ、ギャンブル運ないのかな・・・・
出かけようと表へ出ると、隣の部屋の扉が開けっ放しになっていた。僕は会った事のない隣人への興味から、そっと中を覗いてみた。中に人の気配はない。奥のほうにキッチンが見えるが、そこにも人はいないみたいだ。急いで出かけたのだろうか?それにしても無用心だ。少し、人の部屋を覗く事に罪悪感を覚えた僕は、そっと扉をしめておいた。
隣の人の部屋は、思った以上にこざっぱりしてた。想像だと、毎日夜中に出かけるくらいだから、散らかってるだろうと思っていたが・・・意外だ。でも、少し気になることがあった・・・なんか僕の部屋と違う気がする。アパートだから間取りは同じなはずだけど・・・玄関があって、その先には廊下があり廊下の奥には部屋とキッチンがある。廊下にトイレと風呂場が隣接しているといった感じだ。
僕の気のせいかもしれないが、隣の家は、異様にキッチンが大きかった気がした・・・




