ハンバーガーショップ1日目 2
目が覚めたら幕百寿バーガー店のボックス席で、夢だったのかと見回せば店内は私しかいない。
硝子張りの向こうの景色を見てみれば、砂砂砂まるで砂漠のような景色に驚く。
『本当に異世界なんだ』
鳥取砂丘でもサハラ砂漠でもなく、私はどうやら本当に異世界に来てしまったらしい。砂が真っ赤なんて不気味。
『私なりに、頑張ってみますね』
思い付いた私は、調理場に足を運び、フライドポテトとオレンジジュースを用意し祈りを捧げた。
『神様、無事に異世界に来れました。今日1日無事に過ごせますように』
祈りを捧げてみたら、用意した物が無くなった。
『異世界の食べ物だけど気に入るかな』
私は微笑むと、新しい制服に着替えた。
店内清掃をしていたら、美少女が来た。ただし、太い紫色した尻尾付き。
『いらっしゃいませ』
「ここに…食べ物はあるの?」
『はい!メニューはコチラに』
143センチ位の女の子に、メニューが見易いよう踏台を差し出せば素直に乗り、メニューを見る。
「全てのメニューを1000コ頼める?」
『え…お待ち下さい。可能は可能ですがかなり時間がかかります!それに、セットもありますよ?』
「構わないよ…民が腹を空かしてるから…セットメニューも1000コお願い」
『そうですか…では用意しますね』
「ごめんなさい、ありがとう…」
泣きそうな顔した女の子に、胸がズキリとした。
確か神様デューイが、この世界は食料難と聞いたけど、あんな幼い少女までもが食料難で苦しんでるんだ。
レジにて全て注文を入力し、少女から金額?を受け取り調理場に向かえば、大量のハンバーガーやらが出迎えた。
渡されたのは金貨と何やら白銀に輝く硬貨。
それをレジに入れてみたら、すんなりレジは受け入れた。
『え…何これ?』
【五雨唯璃、テレパシーですまない。
簡潔に話そう。彼女はフェアリードラゴンでドラゴンの仲間。
僕の力で用意したから…またドラゴン族が来たら力は貸すよ。
あと硬貨については改めて説明する】
『ありがとうございます、デューイ』
【構わないよ。ほら待ってる】
私は再びお礼をし、ホカホカのハンバーガーやらを運び出した。
『お待たせ致しました、こちらが全てです。お持ち帰りは…大量にありますし』
「良い匂い…しかも早い…マジックバックがあるから大丈夫!冷めないし熱々のままなんだ」
『ふふ、ならサービスにキッズチーズバーガーセットを用意しましたから、食べてからお帰りください』
「い、い…の?」
『はい!』
「ありがとう!」
テーブルに置くと、食べ方が分からないのか色々な角度で見たり、突いたりしていて、なかなか食べない。なので、ハンバーガーの食べ方を教えたら、少女はハンバーガーに齧り付き一心不乱に食べ始めた。
『あ、慌てないで下さい!飲み物追加しますね!』
Lサイズでリンゴジュースを渡せば、可愛らしい笑顔でありがとうと言われた。鼻血でそう…そのぐらい可愛らしい笑顔。
「プハー…ごちそうさまでした。あれ?体力魔力…全回復?噓…本当に?怪我まで?」
『あの?』
「お姉ちゃん、お名前は?」
『私?私はね五雨唯璃、よろしくね』
「私はね、フェアリードラゴンの領主のグレデリカ・ラ・リンドリカ。
お姉ちゃん、私と契約しよ?
お姉ちゃん…この料理ね体力魔力怪我まで治せちゃうから、人間達が黙ってないよ…。危険に晒されたら、私達フェアリードラゴンが助けに来るし」
『契約?』
「うん!お姉ちゃんがフェアリードラゴンの領主の私の…主になるのよ!そうしたら、フェアリードラゴンは唯璃お姉ちゃんの手助けをするわ!」
『え…?』
「断る…の?」
『でもね…?』
「お姉ちゃん…私…わた…し…キライ?」
美少女に、涙を溜めて上目遣いされたら、私はイチコロ。
『分かったよ、良いよ』
「ありがとう!」
こうして、異世界2日目はフェアリードラゴンの、グレデリカ・ラ・リンドリカちゃんと契約した。
フェアリードラゴン。
グレデリカ・ラ・リンドリカ、142歳。
フェアリードラゴンの領主で女の子。
フェアリードラゴンは、成長しても30センチの小さいドラゴン。
早く飛べて、素速さは武器にもなり、弾丸ドラゴンとも呼ばれていたりする。
雷系の攻撃魔法が得意とし、フェアリードラゴン全員で、雷魔法を使う超必殺技は見もの。
幕百寿ハンバーガーショップ大宮東口店
小規模でさいたま市の大宮に、2店舗しかないハンバーガーショップ。
ハンバーガーショップなのに、カレーとラーメンと蕎麦がありハンバーガーより人気。
オススメは幕百寿バーガーカレーソース。
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