私の長い3日 中編ー2
五雨唯璃の姿は、前の服ではなく、隷属の首輪のみの姿で、服は淡いピンクの下着姿、輝く夜空の色した瞳は、人形の瞳のように何も映さない瞳になっていた。
「芥…………虫……………共がーーーっ!!!!」
エンシェントが吠えた瞬間、地割れが起きる。
「待ってくださーい!エンシェントドラゴン様!」
「い…ま…今、各国の王を連れてきました!」
「ま…にあ…た……」
「ゼーゼー…」
「はぁ…っく…はぁはぁ」
「お前等、病み上がりだもんな…大丈夫か?」
「エンシェントドラゴン様、落ち着いて下さい!」
とりあえず、様子見をしよう。人間達の出方次第かなー。
「ご苦労だったわね」
「エメラルド様…塵を釣れてきました」
「ごめんね、嫌な役で…」
「唯璃様のためです!」
「そうです!エメラルド様は気になさらず!」
と言いながら、瘴気が満ちる人間には毒になる砂漠に落とそうとするけど、ブルードラゴンがそれを止めシールド内に降ろすよう頼む。
「で…何用だ!」
「何用だ、じゃないわよね。芥虫。貴方方は同盟を結び、一蓮托生なのよね」
「そうですよ、私達人間は異種族より優るもの」
「うむ!そうだ」
「それがどうした。何かをするときには連絡が来る」
「答えが聞けて良かったわ!」
「でだな、その連絡は来たのか?芥虫」
「連絡は…無いわよね…」
「……」
「「あぁ」」
理由が分からず、狼狽え始めた芥虫共に、私は笑いを堪えきれず大爆笑。
『ねぇ、知ってる?創造神の愛子を。絵本にもなってるし、私も半信半疑だったけど…まさか本当に愛子が来るなんてね』
「夢物語だろ!」
「くだらん」
「帰らせてちょうだい」
「………」
「なぁ、ダンマリな中立国様は話せないのか?」
そう言うと、中立国は私達な側まで来て、腰にある剣を抜き、彼等に剣先を向けた。
「私は、あれ程この店に手を出すなと言ったはずだ。
コレだけの結界。張れるのは神の御業ぐらいだ」
「で、下着姿で鎖に繋がれているのはどう見る?」
「…彼女は人間だろ。人間が人間を隷属するのは、協定規律違反だ。そもそも、隷属するのは異種族だろうと、規律違反には変わらない。それに…」
「それに?」
「彼女のために、これだけの数のドラゴンやエルフにドワーフが集まるとは考えられない。何かしらあるならば、まず手出しはしない。普通ならばな」
「なら、手を出した芥虫は普通じゃねーの?」
ブルードラゴンの問いに、中立国国王は頷いた。口には出さないことで、ごまかせるよう言い訳出来るよう、曖昧な肯定にさすが中立国と苦笑した。
「まー…手の内を明かすと、五雨唯璃は、俺達ドラゴンの加護つーかさ契約してんだ。
フェアリー、グリーン、ブルー、エンシェント、ドワーフも契約してんだなコレが。因みにエルフはしてないが、同盟を結んでるぜ五雨唯璃は。その意味分かんだろ?」
碧い瞳がギラリと揺れた。
「ならば私達中立国は、イサメイルには手出しはしないが、話し合いはしたい。
話し合い…会談には是非立合いをお願いします。
それに伴い…中立国も加勢しますか?」
「いんや、しないでくれ」
「因みに催眠術を解呪するには、した人間を始末するしかないです。その役目、いや落とし前はさせてください」
「俺達異種族では無理だと?」
「はい、呪術師を差し出さないなら殲滅するしかないですね。私達は中立国だが、ドラゴン、ドワーフ、エルフに……神を敵に回すなんて馬鹿だ。
ならば…そちら側に回り、味方である証明をする!中立国部隊前に!」
「「「は!」」」
「「「「ほー。騎士団か、立派な騎士団ね/だ」」」」
声がハモってるじゃない。仲良しさん。
「目標は呪術師、それ以外は彼等のエモノだ。呪術師を捉えよ!」
「「「「御意!!!」」」」
『で、誰が呪術師かわかるの?こんな阿呆をする輩よ?』
「あぁ。コチラも何かしらの為に対策はしてある」
騎士団長が前になりズンズン歩くと、王の隣りにいる王太子を捉えた。
「人間の面汚しが。俺達中立国が容認したら、世界はさらに悪化する。王太子だろうが国王だろうが…汚いケツぐらい自分達で始末しろ…芥虫が…」
「待て!中立国騎士団長、間違えたらどうする!」
「間違いはない。この醜いデブが呪術師だ」
「っく!女の命が惜しくないのか!」
「奪えば、彼等異種族の猛攻撃がはじまる。そうなれば、貴様等はどうする?
回復できるとはいえ、戦場でメシなんて食えばスキが生まれ、全滅だ(笑)」
「なぜ…」
「知っているか?」
騎士団長はフェアリードラゴンの長を見て笑う。
「フェアリードラゴンの長がピンピンしてるのが証拠だ。何かしら女がしていて、かつ建物自体が飲食だと感づいた。匂いもしたからなぁ、デブ達からな」
素晴らしい洞察力に観察力、さすが中立国部隊の隊長サン。
「…っは!」
光の輪が王太子を捉え、引き摺りながら私に渡してきた。
「どうか納めてください、エルフの長」
『そうね、ドラゴン達に渡したら…八つ裂きだもの。英断』
「ありがとうございます」
私やドラゴン達に一礼し、中立国国王の元に戻る彼もだけど、かなり…腹黒く野心家。
中立国なんて表の顔、裏の顔は野心家で腹黒く不利益はバッサリする。
それができるのは、
独立中立国だからよね。
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