私の長い3日 中編
中編からは、エルフ視点で話が進みます。
創造神様のお告げを初めて聞いた。お告げと言うよりも、五雨唯璃の救助要請。
そして、私達エルフを迎えに来たのは、グリーンドラゴンの中でも早く飛べると言われる尖鋭飛翔隊。先鋭ではなく先鋭なのは、オーラ?を纏い飛翔するのだけど、先が尖り武器にもなるからと私は推測する。
『付いてきてくれて、ありがとう皆さん』
「あの料理を食べ、妻は回復し、娘の目も見えるようになったので、どうであれ、恩は返します。エルフにはエルフの袂もありますから」
「魔力体力傷すら回復できた今…やり返してやる…人間共!」
エルフ達は、唯璃に助けてもらったのを嬉しく思うし、少なからず気になる存在となっていた。
だから、助けに行くとなった時、皆頷いてくれた。ただ、赤ちゃんや子供、妊婦は残り、残るエルフを守るため何人かは集落に残らせる。
その時、上空からグリーンドラゴン数匹が舞い降りた。
「我等が領主様から、エルフを乗せるよう賜りましたわ」
「いかがする?」
「五雨唯璃、助けるか?」
「我等がドラゴンのみでも構わないけど、どうやら…貴方方エルフの解呪術が必要みたい」
『どういう事?』
「五雨唯璃に隷属の首輪、催眠呪術を使ったわ」
「「「「なっ!!!」」」」
『尚更行くしかないわ。首輪は私達エルフの作った物で、盗まれた物。エルフの解呪じゃなきゃ無理ね』
「なら、早く乗りなさい」
『ありがとう』
「…ふん…」
「シッカリ掴まれ」
ドラゴンの背に乗り、話を聞いた。
「ブルードラゴン、グリーンドラゴン、フェラーリドラゴン達は、人間達の国を制圧するため散り散りになった。
五雨唯璃の店に我等が領主様達とドワーフ領主のみ。
今回の人間の国に3ドラゴン半数、他の人間の国に残りのドラゴン達を振分けた。因みに、永世中立国グラナドもだ」
『人間達の王と妃全てを、現地に呼ぶの?』
「当たり前だ。我等がドラゴン達を助けてくれ、俺の片翼も生えてきた。再び飛べ闘えるなど無いと思い嘆いていたが…感極まりない!」
あのドラゴンが涙を流すなんて、五雨唯璃の恩恵は凄まじいな。
「……急ぐぞ」
『どうしたの?』
「サファイア・ザン・サファー様が…エンシェントドラゴンを縛りで押さえましたが、やはりエンシェントドラゴン様です、怒りを抑えられないと…」
『なーー!急げ急げ!』
「「「「「急いでる」」」」」
あのエンシェントドラゴンが、本気で怒れば世界は滅ぶ。
人間達だけでは済まない、草木に海川山、息とし生きる全てが焼き尽くされてしまう。それは、エルフとて見てみぬふりは出来ない。
『これだから、人間達は愚かなのよ…』
多分、エンシェントドラゴンは少なからず…いや…きっと、五雨唯璃を番にする。私の感は良く当たるんだから。
ようやく店が見えてきて、最初に目にしたのは、エンシェントドラゴンのシルバーの怒りで、赤い砂漠は…黒く染め上がり熱を帯びていた。
それは、早い侵攻で広がりつつあり、下手したら私の領地まで1週間だろう。
『まじか…降りれる?』
「大丈夫だ。同じドラゴンだし、アレはドラゴンの瘴気だしな」
そう言って、ドラゴン達は黒く染め上がる砂漠に降り立った。
『皆…』
「…今、人間国の国王やらを連れてきているわ」
「アイン国、グラナド中立国、シュバリエ国、タール国、の国王だな」
「唯璃お姉ちゃん…」
中の様子が全く分からない以上、手出しが出来ないのは、当たり前か。
だから、人間達の国の王を妃を呼んだ。ブルードラゴンの案らしいから、裏はありそうよね。脳筋だと思ったら間違い、彼は私達異種族の中でも獰猛で狡猾そして、頭脳明晰な思考回路をしてる。知らないわよ〜。まじで。
「若造が!」
とうとう、ブルードラゴンの縛りを解き放ち、エンシェントドラゴンはその身体を金色に染めた。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!凄まじくヤバイ!!
『エンシェント!我等がエルフも助太刀するわ!
それに、唯璃の状況が分からないの!だから今は落ち着いて欲しいの!』
「……ならば」
金色のエンシェントは人間バージョンに姿を変え、どこからともなくグングニルを取り出した。
あー、確かエンシェントしか使えない剣だったわね。狙い定めた敵を百発百中で仕留め、必ずエンシェントの所に戻るのよねグングニル。お利口さんな武器なのよね〜。
「芥虫ども、女を開放しろ」
芥虫…ゴキブリ呼び。
「エンシェントドラゴン殿、女とはコイツかな?」
姿を表した五雨唯璃の服や身体を見て、怒りで血が沸騰した。私とて、彼女の事を好ましく思っていたから。
今の五雨唯璃は…娼婦すら嫌悪する姿だった。
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次回は後編です。
後編は、後編1・後編2となります。
また、エルフ視点は完結編1・完結編2・完結編3で終わります。