ハンバーガーショップ1日目
高校入学と同時に幕百寿ハンバーガー大宮東口店でバイトをしていたはず。
なのに、客もスタッフもいつの間にかいなくなり、周りは真っ暗だ。
『どこ…ここ…』
辺りを見渡せば、一人の男性が店内に入ってきた。
その姿は見目麗しい姿で、あまりの美しさに刮目してしまう。
「良かった〜無事に異世界転移出来たよ。
始めまして、デューイと言う。陽神…男神だ、よろしく」
『神、神様?』
「うん、神様」
『神様が何か用があるんですか?そもそも、他のスタッフが見当たらないのですが』
「君だけ、お店と一緒に異世界転移させたからね。こちらの都合だけど」
申し訳無さそうに眉をハの字にさせる陽神デューイ。
「これから、五雨唯璃…君には食料や水に関して難な世界を助けてほしい」
『神様なら、助けられるんじゃ?』
「無理なんだ、その世界は神の信仰心がハチャメチャに無いからね。
普通なら、世界を創造した僕に多少なりとも信仰心があるはずなんだけど…。
エルフ領とドワーフ領と魔族領とドラゴン領は、少ないが信仰心があるから、少なからず雨は降るし少なからず実りもある。だが、少なすぎるから、人間領が狙いを定めているんだ。
無理矢理信仰心をさせたとしても、僕の力は発揮出来ない」
『でも、他の種族に少なからず信仰心があるなら、他の領でも雨は降るはずでは?』
「出来るよ」
『なら…』
「駄目だよ。出来ない。他の領の少ない信仰心を、信仰心が無い人間領に降らせたら、他の領の雨か降らず実りもなくなる」
『少ないから?』
悲しそうに頷く神様。
『でも、私じゃなくても他の誰かで構わないのでは?』
「君には、僕の…神の力を分けられる位の肉体があるからね。皆が皆、僕の力に耐えられるかと言われたら耐えられない。
だが、君には抗体があり抗体があれば3割は分けられる。力が馴染めば、僕の代わりに世界を頼める。
勝手なのは承知だ。五雨唯璃、申し訳ない…君にしか頼めないのだよ」
神になるのは嫌だ。
まともに生きて死にたいから。
『考える時間を…』
「ありがとう五雨唯璃」
『私も私の世界の神様に救われたから。
お父さんの病を治してくれたから。先生方やお父さんの力ではないから多分。
手術の日、助かるように神様に祈ったら確かに聴こえたの…分かったと。
だから、違う神様だけど今度は私が神様を助ける。
もし…もしも、私の世界の神様に会えたら、お父さんを助けてくれてありがとうと伝えて、この…イヤリングを渡して?
神様に手作りのイヤリングなんて、邪魔だし要らないかもだけど…私の気持ちだから』
「了解した!必ず渡そう」
『ありがとうございます、神様デューイ』
神様が私を抱きしめた瞬間、強烈な光に包まれた。
読んでいただきありがとうございます。
感想、誤字脱字などよろしくお願いします。
この作品は連載にしたら面白いのでは?と感想を頂いたので、更新はのんびりになりますが、精一杯更新していきたいです。