エピローグ
説明回です。
ぼちぼち投稿していく予定ですのでよろしくお願いします。
これはとあるお嬢様とその執事の織りなす物語である。
ラプラスの悪魔というものはご存知だろうか。
このシモン公国では、とある儀式に関係する人しか知らない、いや知らされていないというのが正しい。
そもそもラプラスの悪魔とは何か、それは……
『確率の解析的理論』より、
「ある時点において作用している全ての力学的・物理的な状態を完全に把握・解析する能力を持つがゆえに、未来を含む宇宙の全運動までも確定的に知りえる[1]」という超人間的知性のことをラプラスの魔物と、数学者のピエール=シモン・ラプラスによって提唱された。
簡単にいうと、この世の中、すべての物質の位置、運動量を観測できれば、計算によって未来を求めることができる、ということだ。
結論としては、このようなことはできないという結論に至った。
同時にこの2つを観測することはできない。位置を正確に観測しようとすると、運動量を観測できないし、逆に運動量を観測しようとすると位置が確率になってしまう。
だが、未来予知というものはあまりに魅力的すぎた。
いくら未来が確定され、変えられないとはいえ、自分の死んだあとの未来を知ったり、悲しいことがあってもその心構えができるのではないかと考えたのだ。
更にその後シュレーディンガーの猫というものが発表された。
とても簡単にすると物事を観測するまではその物事が確定しないというものだ。
テストに置き換えて説明してみよう。
たとえどんなにひどい点数だと思うテストでも帰ってきて、その点数を見るまではもしかしたら高得点かもしれないし、0点かもしれない。
ちょっと違う気はするけど、大体そんな感じだ。
これを受けて国のトップの人らはこう思った。
「まだ私達は未来を観測していないのだから、未来は変えられる。」
なのでより一層問題を魔法で解決しようと色々な研究を行った。
すでに他の国は、一秒先を見るのに一秒以上かかっていては意味が無い。
という結論になって、早々に撤退していた。
我が国は手始めに、高速で計算できる魔法を作った。
機械ではオーバーヒートしてしまうのと、そもそもデータを打ち込むのに一秒以上かかってしまうとのことで魔法にシフトした形だ。
50年の研究の結果、脳を魔法で擬似的に作り出し、計算に特化させることで可能となった。
この魔法は計算魔法と言われるようになった。
そして、本来の目的では無いがこの魔法のおかげで我が国は計算にすごく強い国となった。
手始めに大きな商店にこの魔法を広め、その代わり門外不出、この国の利益のためにしか魔法を使えないような契約を魔法で結んだ。
この魔法は代々この国を収める貴族の家に伝わりお互いの同意が無いと発動しない代わりにある方法以外では、絶対に外すことはできないというものであった。
解除方法はあるにはあるが、多額の費用を必要とするため実質外せないのと同じである。
この魔法の効果は凄まじいもので、オークションや取引では有利に進められ、他の技術も発展していった。
その交易で我が国はとても豊かになった。
その後、領地を広げるため周りの貧しい国に支援と言うなの貸し出しを行い、返金できなくなったところを見て、我が国に入らないかという勧誘(脅し)をした。
その結果、公国ではなくほぼ王国と言えるまで拡大して、大陸で5番目の国となった。
でも、名前だけは公国のままなのだが……
なので公爵はほぼ国王という形になっている。
実際の地位は他の国の爵位を一つ上げた形になっているので国内では外国の貴族は一つ爵位を下げて呼び、逆に国外では私達のほうが一つ爵位を上げて呼ぶというややこしいことになっている。
少し脱線したが、計算魔法が生まれてから20年の間、すべての物質の位置、運動量を観測できる魔法は作ることができなかった。
しかし、我が国でラプラスの悪魔になりゆる家系が見つかった。
吸収した国のある貴族の一家に代々奇妙な魔法があった。
この世の中には固有魔法というものがある。
この固有魔法というものは遺伝し、その効果は凄まじいものばかりだ。
つまりその貴族に伝わる魔法は固有魔法ということになる。
しかし、その貴族の家に伝わる効果が強いのか、使うと脳が焼ききれてしまうのだ。
もしかしたら、と期待半分で、目をつけた我が国は今までの研究を活用し、その魔法で脳が焼ききれないようにして、使えるようにした。
しかし、感情を失うというデメリットができてしまった。
焼き切れるよりはまし、という結果にいたり、その効果を調べることにした。
驚くべきことに、その効果はすべての物質の位置、運動量を観測できるというもの。
それからはその貴族は計算魔法と固有魔法を使い未来予知をする貴族になった。
そして、ピエール=シモン・ラプラス氏から名をとって、ラプラス家という名前になった。
話は長くなったが、このラプラス家が私、シャルル・フェシリテの仕えるお家と国の歴史である。
次話は一応完成していますが、矛盾点等を確認しておりますのでしばらくお待ちください。