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神様はサイコロを振る  作者: アルミ爆
1/4

誕生

本性説は複数のシナリオ、選択肢を用意しサイコロが運命を決めるルールです。

 凍てつくような寒い夜だった。

 白雪のように白い一室で、一人の妊婦が分娩台の上で苦しそうな声を漏らしている。


 額に浮かんだ大粒の汗は、夫であるこの町一番の医者によって拭き取らた。

 彼は、冷たくなるほど力んだ妻の手を固く握り返して、気をしっかり持てと声をかける。


 ふと、黄金に輝く燭台に乗せられた三本の蝋燭が揺らいだ。窓から吹き込んだ夜風が蝋火を煽り、僅かに細い煙を残してふっ、と消える。


 真っ暗な暗闇の中で産み落とされた子は、産声を上げなかった。

 すぐに夫は赤子の背中を叩き、肺に入った水を吐き出させた。


「あ、あなた……赤ん坊は」


 未だ、産声は聞こえない。


 赤ん坊の足を持ち、逆さまの状態にし、お尻を叩き、やっとその赤ん坊は産声を発した。


「ああ、良かった……やっと子を産めました。ありがとうございます、神様」


 召使が産湯を持って現れたが、子を産み落としたばかりの母親は、赤ん坊を離そうとはしなかった。自らの手でそっとお湯の中に入れる。


 産気づいてから、4時間が経過していた。

 

「さあ、良く来てくれました。私が、貴方の母ですよ」


 赤ん坊は、まだ目も開いていない。その小さな手を広げ、産湯の中でその小さな手足を伸ばした。


「あなた……こんなに可愛らしい」

「この子は君に良く似ているね」


「いえ、まさか。私はこんなに可愛らしくはないわ。きっと……きっとこの子には素敵な人生が待っているわ」


 母親はおでこに汗で貼りついた前髪も気にせず、愛おしそうな視線を赤子に注いでいた。


1.孤児院

2.処刑人の家

3.農民の家

4.上流階級の家

5.村長の家

6.医者の家


結果は6の出目、赤ん坊は医者の家に生まれることになった。


 公正を期すためにサイコロは自作した。一辺4cmの6面体で、材質は段ボール。筆者の思惑やその他の要素が介入しないように、重心が偏らないよう注意し作成を行った。サイコロは目隠しをした状態で60×60cm四方のできるだけ水平な執筆机の上で投げられた。

 今後も同じサイコロ、執筆机で出目を見る事とし、観測を続ける。

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