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未来の星での物語  作者: 凡人(ぼんど)
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出会い編 第7話 エメラルドグリーンの少女

すぐ後ろで声がした。


そしてボクの横をすり抜けて前に出た。


「動くと飛び掛かってくるから、じっとしてて」


そう言って今、ボクの前に立つのは、きゃしゃな体とその表情に幼さすら残す少女だった。

そしてその腰まで伸びたエメラルドグリーンの髪が、人でも新蟲でもないことを示していた


この小柄な少女がどうやってあの巨大なキリギリスを仕留めるつもりなのか、

まったく見当もつかないが、少なくとも目の前の敵を倒すということについては、

目的は同じだ。


「わかった、一緒に戦ってくれるなら、そしてお互い生き残れたのなら、

 その時は、ボクらと一緒に行こう!」


少女はうなずいたように見えた。


そして、ボクは前に出ようとした

そう思った次の瞬間に、ボクの足は止まった。


その少女の後頭部からイバラの枝のような何かが2本、

そのエメラルドグリーンの髪の中から姿を現わしていた。

美しいその髪の色よりも僅かに濃い緑をしたそれは、

その節々と先端とに、まるで刃物がそのまま生えたかのような棘を備えている。

姿を現わしたその棘の枝は、みるみる長さを増して少女の身長の数倍にまで伸びて

少女の頭の上からまるで威嚇するかのように・・・

いや、完全なる威嚇だろう、前方のキリギリスへ向けられた。


「そのまま、そこにいて」


ボクは動けなかった。

皆は・・・その言葉に従っているようだった。

キリギリスはさきほどよりも、さらに接近している。

一気に襲い掛かるのに十分な距離まで近づいてなお、さらにその距離を

縮めにかかる。


その前足には獲物をかかえこみ逃がさないために、巨大な棘が生えている。

その足に捕まり抱え込まれれば、一撃で即死するほどの大アゴの攻撃を受けるまでもなく、

その棘に貫かれ絶命してしまうだろう。


前方へ突き出していた少女の棘の枝が動いた

近づくキリギリスの動きに合わせ弧を描きゆっくりと後方へと引き戻された

そしてそれは次の瞬間、ムチのようにしなり前方へと放たれた。


その先端は肉眼でとらえられる速さを遥かに超えていた。


炸裂音がした、音速を超えたのだ。


2本の棘は頭部を貫通し、その肉をえぐり、その傷口をドス黒く変色させ、

キリギリスを即死させた。


「足を切り落として、食料にできるでしょ」


少女はボクに、そう言った。



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