出会い編 第6話 襲撃
そのキリギリスとの距離は、後方からついてくる1体とよりも遠い位置にある。
しかし、それがどれほど巨体かはっきり分かる。
這い寄るその生物の全高はボクの伸長の3倍はあるだろう。
後方の1体も気にはなるが、今はまず前方の超大型キリギリスを
どうにかしなければいけない。
それは、ゆっくり近づいてくる
こちらを捕食する意思が確実に伝わってくる。
「あなたはその子とゆっくり下がって」
タウが少年に、荷車ごと少女と下がるように指示した。
「結界を張って動きを止めるから、そしたら仕留めて」
ボクへの指示だ。
「オレも戦います、手伝います」
少年の表情は必至だった。
「結界を張るとあなたも動けなくなるわ、離れていても影響はあると思うけど
終わったら解除するから心配しないで」
「でも、それなら・・・」
「大丈夫、彼は私の結界の中で動けるの・・・分かったら、さあ早く!」
結界の中でボクは動ける・・・
よくわからないが、どうもそうらしい。
そうしている間にもキリギリスはゆっくりだが、確実に近づいていた。
ボクは毒を塗り、弓矢をかまえた。
跳躍によって距離をつめず、じりじりと近づいてくるのは、
ボク達が急な動きを見せないからだろう。
走って逃げようとすれば一気に飛び掛かってくるはずだ。
それにしても、大きい・・・その距離が縮まるごとに絶望と恐怖が近づいてくるようだ。
「 あっ! 」
後ろで少年の声がした。
前方へ集中するあまり、まったく気が付かなかった。
「ねえ、あいつわたしが仕留めるから、わたしも一緒に連れてって」