出会い編 第2話 旅へ
一億年の未来の地球
コールドスリープから目覚め僅かに生き延びた人類と
進化し人の姿になった昆虫類
やがて進化は他種族交配を可能とし、それは新たな種、
新蟲類しんちゅうるいとして世界に広がった
種族としての特徴を持ち続け他種族と交わらない純血種としての昆虫類と
新な種として生まれ増え続ける新蟲類
そして 目覚めては滅び、生きる道を探す人類の
未来の星での物語
そこにはボクの数倍の大きさの生物が横たわっている。
「助かったのか・・・ありがとう・・」
そういって彼女をおろした、そして命が助かったことを実感した。
「ほんとうに、ありがとう!」
「お礼はいらないわ、元はといえば あなたが動けなくなったのは私の結界が原因だから」
結界? 何のことだろうか・・・
「そういえば抗体とか毒素とか言ってたね、よくわからないけど、すごいな、
いったいどんな力なんだい?」
「そうですね・・・詳しいことは、またいずれ、」
彼女はそういって微笑んだ そして
「ところであなたは、何故こんな森の奥に迷い込んだのですか?」
彼女の質問にボクは、自分が人間であることも含め、すべて事情を話した。
遥か東で生まれ、仲間は誰もいないこと。
1人で旅してここまでやってきたこと。
そしてそれは、同じ人間を見つけるためなのだと。
そう、ボクはあてのない旅をしているのだ。
「あなたの旅に今、目的の場所がないのなら、私と一緒に北へ行ってはくれませんか?」
突然の申し出だった。
「私は北へ行かねばなりません、ですが私はこの地から離れたことがないのです、
だから私と一緒に来てほしいのです」
ボクはここまでの旅で手がかりらしい物は何もなかった。
これまでどおり西を目指すのも、彼女と北へ行くのも変わるまい。
「わかった、一緒に行こう、君に助けられた命だし 君に協力するよ」
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500万年前 コールドスリープから目覚めた人類が現れる
しかし大型化した肉食昆虫の存在や過酷な自然環境などにより、
その都度滅びていった。
断続的に現れては滅びる人類によってもたらされた技術と知識は
まだ進化の過程において2足歩行を開始したばかりの昆虫類の
その後の進化に多大な影響を及ぼした。
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ボクは彼女の棲家に案内された。
「私たち昆虫類が何故これほどまでに人間の姿に近い形に進化したのか
考えたことはありますか?」
そしてその中にある本の貯蔵庫、
数万冊はあるだろう図書館のようなその部屋の中にいた。
「1億年の昔、世界を滅ぼしたウイルスによって昆虫に人間の遺伝子が取り込まれ
そして私たちは劇的な進化をとげたのだと・・・
私は考えています」
たしかにそうだった、旧世界はウイルスで滅んだと、父や母から聞かされた
でも、昆虫類である彼女が何故それをしっているのだろうか
「ここにある本は、私の一族が数千年にわたり世界を旅して集めた知識です
世界各地にちらばる同胞もみなそれぞれに一族の知識を受け継いでいます」
彼女はその同胞に会うために北の地に行くのだと教えてくれた
そして、その訳も。
「私の種族はそれほど遠くない未来に滅ぶこととなるでしょう
もう同種の雄が絶えてしまいましたから
現在残っているのは私を含め、同種の雌が数体のみなのです
これらの死によって種は絶滅します、その前に話し合わねばならないのです」
「教えてくれないか、君の種族にとってそれほどまでに大切なその
知識とは、いったい何なんだい?」
「知識とは世界を知る力です、そして 未来への道を見つけるための力でもあります
その道を見つけるために残された同胞と会い、種族の知識を
ひとつにまとめる必要があるのです」
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