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未来の星での物語  作者: 凡人(ぼんど)
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出会い編 16話 旅する理由

羽も、髪の色も、種族の証なのだから隠す必要はないと、

タウははっきりとそういった。


マクスとオペラクラリスはよく一緒にいる、気が合うのだろう。

しかし、そんな2体から姉さん風を吹かされてハスは少し困っている様子だった。


「タウとは何故旅をすることに?」


小さな集落を後にして3日目の夜営の場所で食事を終えた後、

ハスが尋ねてきた。


「ボクはタウに助けられたんだ、森をさまよってキリギリスに襲われた、

 タウのおかげで食べられずに済んだんだ」


タウについての詳しい話はさけて、ぼくは続けた。


「皆も知ってのとおりボクは人間なんだ、そしてボクの親は旧世界時代の人間らしい」


「旧世界時代?」


「そう、1億年以上前らしいけど、この地上に人間を含めたさまざまな種族が

 いたらしい、それがウイルス感染によって大絶滅し、残った僅かな数の人間が

 コールドスリープシェルターでこの新世界時代に渡り、目覚めたというわけさ」


「じゃあ、トキトも?」


「いや、ボクはこちらで生まれた人間なんだ、ボクのいたシェルターが

 目覚めたのは30年ほど前のことらしい、

 小さなシェルターで、目覚めることができた人間も20人ほどだった、

 そしてその中で、新たに生まれたのは、ボク1人だけだった」


「仲間の人間達は今でもそこにいるんですか」


「いや、みんな死んでしまった、

 長期のコールドスリープは身体にかなりの負担があるらしく、

 目覚めた人間の寿命は通常よりも短いらしいんだ、

 たぶん皆50年は生きていなかったと思う、

 問題がなければ人間は100年近く生きるらしい。

 それでボクは1人になったとき、この世界で他の人間を探してみようと思ったんだ。 

 でも、まったくあてはない、

 だから助けてくれたタウと旅することにしたんだ」


「その旧世界時代には、人間はもっとたくさんいたんですか?」


「信じらえないだろうけど、その時代では人間が最大勢力だったらしい、

 世界中に生息し、あの空にある月や、別の星にまで行くことができたらしい、

 人間の歴史の最後は セイレキという呼び名で数えたらしいけど、

 それも3000年を超えたところで終わったと聞いたよ」


「ふーん、それで、人間が見つかったらどうすんの?」


マクスが聞いてきた、オペラクラリスがとなりで黙っていた。


「分からない、でも人間がいたら、昆虫や新蟲と共存して

 滅びない方法を探したいと思ってる」


「それは無理なことよ」


ボクも皆もタウを見た。


「何故だい? 現にボクらはこうやって・・・」


「たしかに争わずに暮らす方法ならあるでしょう、でも、

 人間は人間の子しか産めないの、けど昆虫も新蟲も人間との間に子を成せるのよ、

 もっとも生まれるのは新蟲だけど」


「それは、たしかにそうだけど、でもそれが人が滅びる理由には・・・」


「純血種どうしの交配でなければ純血種は生まれないわ、

 それは私たち昆虫も同じ、

 人との間に子を成しても、新蟲との間に子を成しても、

 そして他種族の昆虫との間に子を成しても、生まれるのは新蟲よ、

 だから人間も争いによってではなく、自然の摂理によって淘汰されるはず、

 私たち昆虫がそうであるように、

 もっとも、人間が人間だけの世界を築き、他種族を排除するとしたら、

 話は別だけど」


「それじゃあ、滅びない方法はないというのかい?

 人間を探すボクの旅も意味のないことだと・・・」


「種が滅ぶことは辛いことよ、でも、もし運命なら見届けるべきことでもあるわ

 それにね、人間が見つかっても、そこで旅は終わりじゃないわ、

 私の目的のためには、ずっといてもらわないと困るの、

 みんなも来てくれると嬉しいのだけど、護衛も必要だし」


「あたし達はかまわないぜ、行くとこないしな」


マクスの言葉にハスもオペラクラリスも頷いていた。


ボクは聞いてみた


「でも、いつかはどこかの町で安心して暮らしたくはないのかい?」


「うーん、でも、食いものがあって、ぐっすり眠れて、冬が越せればそれでいいかな」


ハスもオペラクラリスも頷いていた。


「ねえ、タウの目的ってなに?」


オペラクラリスの質問に、タウは静かに答えた


「私の種族はそれぞれが、代々種族としての財産を受け継ぎ守ってきたの

 でもそれを次に引き継ぐことができなくなった、

 同種の雄が絶えてしまったのよ、だから残った同胞と話し合って

 これからを決めなければいけないの、それが目的よ」


「その財産って何?」


「さまざまな知識よ」


「なんだ、金や食べ物じゃないのかぁ」


マクスは冗談っぽくガッカリした素振りをして見せた。


「残念ながら食べ物じゃないのよ、でも、そういうわけだから」


「わかった、まかせな、 なっ!」


マクスはそう言って、皆に声をかけた、皆も頷いていた。




 

お読みいただきありがとうございました


よろしければ ブックマーク そして 評価


是非 よろしくお願い致します。


次回より、新章 「アリの女王編」スタートです

是非 お楽しみに


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