出会い編 15話 気持ち
「お前、昆虫だな、そんななりで堂々と歩きやがって、ただでさえ肩身が狭いってのに
目ざわりなんだよ」
小さな集落で、近づいてきた3体が言った。
チッ、めんどうなのにからまれた、
「なんとか言えよ!」
「だまってんじゃねえぞ、てめえ!」
1体が髪をつかもうとして頭に手を伸ばしてきた。
その手が目の前で止まった
いつの間にか、マクスが横に立っていた
あたしの目の前で止まったその手はマクスにつかまれていた。
マクスからは力を込める気配すら伝わってこなかったが、
つかまれた腕はニブイ音をたて折れ曲がり、その1体はうずくまった。
そして別の1体の首を左手でつかむと、そのまま片手で持ち上げた。
マクスの左手をつかんで足をバタつかせ、もがいているが声にならない様子だった。
残りの1体が後ずさって言った、
「お前、2枚羽!?・・・ハエか、どおいうつもりだ!」
「はあ!?、そっちこそ、もんくがあるなら聞いてやるぞ!」
ゆるめた左手から1体が地面に落ちた。
首をつかまれていたその者は、苦しそうにしながらも別の1体と一緒に
手を折られた1体を抱えるようにして、去って行った。
「1体にしとくのも心配だから様子を見てこいって、タウがさ、」
「あんた、ケンカっぱやいわね」
「おまえだって、頭からトゲが出てるぞ」
マクスは笑っていた。
オペラクラリスとマクスは、しばらくして連れ立って帰ってきた。
オペラクラリスは自分が昆虫であることが、すぐに分かってしまうため、
小さな集落に入った場合にボク達に迷惑をかけてしまわないよう
単独行動をとったのだろうと、
その気持ちに気付いてはいても、仲間に入れてもらったという遠慮からか、
ハスもマクスも言い出せずにいたようだ。
マクスに、オペラクラリスを迎えに行くように言ったタウが、
そのことをボクに教えてくれた。
帰ってきたマクスとオペラクラリスは、うれしそうだった。
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