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8

僕は校長室の一件の後、教室に入るタイミングを窺っていた。

既に別の教師が授業を始めてしまっていたためである。

さすがに授業中に堂々と入る勇気はなかった。

というか、僕に対する配慮とかないの?

もしかしたら、校長や天草先生が言っていた罰とはこのことだったのかもしれない。

僕を孤立させるとは、なかなかにやるじゃないか。

僕の中での校長と天草先生の危険度が上がった。

なお、それは完全に僕の勘違いだと教えてくれる人はここにはいない。


キーンコーンカーンコーン。

授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、教師が教室から出て行く。

それと入れ替わるタイミングで極力目立たないように教室へと入る。

授業終わりの喧騒に紛れ、席に着いた。

ミッションコンプリート。

今なら時空を捉えられそうだ。


「おい秋、大丈夫だったか?」

「えっ、あぁ、うん。」


僕の存在に気付いた糞太が話し掛けてきた。

教室が静寂に包まれる。

あれ、僕また何かやっちゃいました?

無自覚チート系主人公になった覚えはないんだけどな。


「さすが秋だぜ。俺の忠告通り、あの女教師のアナルを攻めたんだろ? 礼には及ばないぜ。」

「アナルはそんなに活躍しないぞ。」

「えっ!? 秋の口撃と舌技で落としたんじゃないのかよ!!」

「変換ミスだよな! そうだよな! そうだと言ってよバーニィ!!」


場合によってはミンチにしちゃうぞ☆

いや、確かにさくらんぼの茎は舌で結べるけども。

もしものときに練習したんだけど、それはアナルのためじゃないんだ。

期待に応えられなくて、ごめんよ糞太。


「同志糞太。それくらいにしておきなさい。我が友秋。辛いでしょうが、これを。」

「これは?」

「我が家に伝わる軟膏です。鞭による傷、鎖や縄による痕もたちどころに目立たなくなる薬です。」

「お前らの中の僕って一体何者だよ!? 性欲猛々しいな、おい!!」


ツッコミが追いつかない。

というか、僕がツッコむとか相当だぞ。

こいつら、僕がいなかったら確実に浮いてたぞ。

えぇ、そうですよ……現段階では僕の方が浮いてますよ。

変態の隠れ蓑にされる僕って一体何者。


「あき……。」

「ん? あぁ、星太。お前も何か言いたいんだな。」


この流れ的に星太も僕を弄りたいのだろう。

いいよ、僕は寛大に受け止めるだけさ。


「これ。」

「えっ?」


星太から飴を貰った。

もしかして、お詫びのつもりか。

確かに八割くらいは星太のせいだったけども。

それでもバカ二人の後だと、素直に嬉しい。

こいつも反省する心を持っていたんだな。

僕は感動しながら、飴を口に入れた。


「あっ。」

「美味しい?」

「あぁ、普通に美味いぞ。」


鞭が何か言おうとしていたけど、今のお前に発言権はないぞ。


「僕の味、する?」

「ん? 星太の味?」


どういう意味だ。

思考のループの末、鞭に聞いた。


「鞭、どういうことだ? 言いかけていたことを言っていいぞ。」

「それは落ち込んでいた同志星太に私があげたもので、あの、その。非常に言いにくいですけど、一度同志星太が口に含んだものになります。」

「あぁ、なるほど。だから、僕の味。」


合点がいったぜ。

綺麗に包装されていたから、全く気付かなかったぜ!


「あははははっ!」

「ふふふふふ❤」


いたずらが成功したかのような星太の笑顔につい笑ってしまった。

僕は星太の鼻と口を両手を使って塞ぐ。


「んぶっ。」


十秒~二十秒~と将棋の対局よろしく秒読みをする。

だんだんと星太の顔が赤くなっていく。

そして、ついに耐え切れなくなったタイミングを見計らい、口を押えていた手を離す。


「ぶはっ!」


星太の口が大きく開き、その状態をキープするように頬を抑える。

あとは気道確保の要領で天井向かせるだけだ。

大口を開けた星太の上から僕は。


「うんべっ。」

「んうっ…///」


僕は口に含んでいた飴を星太の口に強引に流し込む。

少なくない唾液と飴に星太は一瞬驚くが、観念したよう受け入れた。


「どうだ星太? 僕の味は?」

「ふぁ、ふぁい……すごく美味しいでしゅ❤」


あれ、なんか想像してたリアクションと違うぞ。

でも、まぁ、やられっぱなしは趣味じゃないことを証明できたぞ。

なんか盛大に自爆した感じがするが気にしないことにした。

過去は振り返らないのである。


「で、結局どうなったんだ? あの女教師が何の御咎めもなく解放するとは思えないんだが。」

「別に。普通に話したら解放されたぞ。」

「その普通が気になるのですが。我が友秋の普通は過激ですからね。」

「あぁ、それわかるわ。」

「わかるのかよ。」


やっぱりこいつらの僕の評価が少しおかしい気がする。

僕は普通の男の子だぞ。


「ただ揚げ足を取って譲歩してもらっただけだよ。」

「あぁ、あれをやったのか。納得だぜ。」

「揚げ足取り。水掛け論に人格否定。我が友秋の苛烈で愚劣な言葉攻めの結果ですか。」

「しかも、一言一句覚えてるんだから、尚更性質が悪いぜ。」


言われた言葉だったら、意識していなくても一週間くらい覚えていられる。

意識すれば一生忘れることはない。

フォトリーディングならぬ、ワードローディングってやつか。

語呂が悪いな。

どうやら僕に言葉の選びのセンスはないようだ。


「まぁ、少なくとも入学初日から色々やらかしていくわけだ。」

「人の噂も七十五日とは言いますが、また噂を更新していくでしょうしね。」



あれ、僕また何かやっちゃいますか?

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