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「式の日取りが決まったら呼ぶから安心してね。」

「おう、友人代表として挨拶してやるよ。」

「それでは僭越ながら私が動画を作らせて頂きますね。」


教室に入るや否や星太は糞太と鞭に話し掛けていた。

それに追従するように乗る二人。

このまま見過ごしたらどうなるのだろうか。


「ウエディングドレスも良いけど和装も良いよね。お色直ししようかなぁ……。」

「一生に一回しかないんだから後悔のないようにしろよ。」

「しかし、困りましたね。動画にする内容が少々過激になるやもしれません。」


あれ、本当に僕結婚しちゃう系な感じなのか。

普通にありそうなシチュエーションだから判断に困る。

いや、そもそも僕はまだ十六歳なのだ。

結婚は出来ないのだ!

ケッコンカッコカリは出来るけどね!


「星太、僕の理解が追いつかないんだけど、どうしてこんな話になってるのかな?」

「えっ、だって妹と姉に紹介されたんだよ! もうそういう前提でしょ!」

「確かに一理あるな。」

「思わせぶりな態度の我が友の自業自得ですね。」

「えっ? 僕のせいなの?」


確かに星太には少々過激なやり取りはしているが、それは男だという安心感があったからで。

でも、つまるところは信頼関係。

性別に対する差別も過去と比べるとなくなりつつある。

あれっ、これはつまるところひょっとするとひょっとするのか?


「いや、騙されないぞ! そうやって誤魔化して後で笑うつもりだな!?」

「チッ。」

「おやおや。」


糞野郎、舌打ちしやがったな。

鞭の奴も眼鏡の位置を直しながら、バレたような顔してやがる。

危ない危ない。

流されて同性婚してしまうところだった。

流されるなら藍蘭島にしとけよ。

ガールがブラボーな方がお好みか?!


「あきは照れてるだけなんだよ❤」

「星太、ハウス。」

「はい❤」


そう言って僕の膝の上に座る星太。

自分の席に座るように言ったつもりだったのだが上手く伝わらなかったようだ。

やれやれだぜ。

僕は星太が落ちないようにシートベルトのように腰に手を回す。


「失礼しますわ。」

「なっ!?」


ガラッと突如扉を入ってきたのは黒崎先輩であった。

もうそろそろホームルームが始まるっていうのにどうなってるんだ。

ほら見ろ、三つ編みで瓶底メガネの女子が声を上げているじゃないか。


「ここだったのね。」


つかつかと黒崎先輩が歩き出す。

その足は迷いなく、そう迷いなく進みだす。

すると、僕の目の前で音が止んだ。


「探したわ。一年の教室が多すぎるのよね、この学校。」

「もしかして先輩行き当たりばったりで行動してます?」

「人海戦術と言って欲しいわね。」


一人の人海戦術を行き当たりばったりって言うんだよ。

というか一人の人海戦術ってなんだよ。

ツッコミそうになるが、教室の沈黙が痛い。

ボソボソと深窓の令嬢の言葉が聞こえる。

そういや、そういうあだ名でしたねサークルクラッシャーさん。


「ボクのあきに何か用ですか?」

「ボクのって、あなたは誰かしら?」

「先に名乗るのが筋だと思いますが、名乗らせて貰います。あきの恋人の御稚児おちご 星太しょうたです。以後お見知りおきを。」

「私は小説研究会の……小説サークルの方が馴染むかしら。そこの部長をやっているの黒崎くろさき 可憐かれんですわ。」

「それで。そのサークルの部長さんがボクのあきに何かようですか?」

「用ってほどじゃないわ。ちょっと時間の都合を付けたいだけよ。」

「恋人の前で他の女との密会の約束とは先輩は略奪愛がお好みで?」

「えーと、そういうわけではなくて。なんと言えば良いのかしら。」

「そんな曖昧な理由で浮気を見逃せと、先輩はそう仰るわけですね。」

「浮気とそういうつもりはないのだけれど、困ったわ。」

「星太、少し黙ろうか。」


見るに堪えかねて星太の口を右手で塞ぐ。

むがむがと何かを言っているが、これ以上話をさせても先輩を困らせるだけだ。

仕方がない。

星太の性感帯は首筋である。

どうして今それを説明したかと言うと、僕がその首筋に噛みついたからである。

歯形を付けるように数回噛み付けると星太はへべれけ状態になった。

以前からこうすることで星太の暴走を止めて来たのだ。

裏付けされたデータがあるのだ。


「それで、先輩はどうしてこの教室へ?」

「……さも当然のように会話を始めてるけど、あなた今凄いことをした自覚はないの……。でも先輩からの忠告よ。公衆の面前で彼女とイチャつくのはどうかと思うわ。」

「星太は男なので大丈夫です。」

「そう、それなら大丈夫……大丈夫かしら?」


変なところで疑り深い先輩である。


「まぁ、いいわ。お昼休みか放課後に時間の都合を付けて欲しいの。」

「それだけですか。」

「それだけよ。」

「わかりました。お昼休みに伺います。」

「そう、じゃあサークル棟で待っているわ。」


そう言って黒崎先輩は教室を後にした。

いやぁ、大変な来客であった。

衝撃的過ぎて糞太と鞭が蚊帳の外じゃないか。


「これはもしかすると本当に刃傷沙汰が見れるかもしれねぇな。」

「刃物は傷が残りやすいので好みではないですが後学のために見ておきたいですね。」


これこれお二人さん。

物騒な話題を出すのはいけませんよ。


「んひっ……あふっ……うひぃ……。」

「星太、そろそろ先生が来るから起きて(ry」

「ホームルームを始める。」


来てしまった。


「な、成瀬! お前はまた不純同性交遊を! 昨日は黙認しただけであって許したわけじゃないんだぞ!!」

「前途多難すぐる。」


このあとめちゃくちゃ怒られた。


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