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やぁやぁ、庶民の皆さん。

リムジン外から失礼します。

っと調子に乗ってしまうぐらいに注目された。

普段なら会長だけのはずが僕たち兄妹も一緒だ。

何かしら噂されるのは必然と言えるだろう。


「今日は楽しかったよ。また機会があったら一緒してくれるかい、冬実?」

「えぇ、私には勿体ない言葉ですが、また機会があれば是非。」

「ふ、冬実姉さん! 行こう!」


社交辞令的な会話をする二人に突っかかる僕。

どこからどう見ても小物だ。

こうすることで少しでも会長の地位を盤石なものにしておきたい。

会長もそれを理解したのか、軽く微笑んでいた。

なお、清夏は中等部だから先に降ろされていた。


「あらあら、秋くんが私の手を取るだなんて……嫉妬なのね。嫉妬してくれているのね。いつもは私が嫉妬しているのに。」

「冬実姉さん。身体をくねくねさせてるところ悪いけど、ここでお別れだよ。」

「そ、そんなっ! 私の何がいけなかったの!? お願い、考え直して! 悪いところは全部直すから……。」

「彼氏に依存する厄介な彼女役を演じているところ悪いけど、一年生は別の棟だから。」


そう、この学校はマンモス校であり、学年毎に棟が違うのだ。

だから決して兄妹でありながら禁断の関係に終止符を打つ展開ではないのだ。

冬実姉さんは演技派なので本気にしている生徒がちらほらと。

特に上級生の男子生徒からは嫉妬の目で睨まれている。


「そうね。お姉ちゃんとしたことが取り乱したわ。でも、秋くん。急にお別れとか言わないで。死刑宣告よりも辛いから。」

「冬実姉さんはもっと自分の命を大切にしてください。」

「あーーーきーーー!!」


ふと横からやってきた強い衝撃。

あまりの勢いだから往なし切れずに縺れ合うように倒れてしまった。

避ければ問題なかったが、それだと別の生徒が被害を被っていただろう。

だから、あえて避けなかったのが正しい。

どこに言い訳してるんだ、僕は。


「星太。重いから僕の上から退くんだ。」

「ひどいよ、あき。女の子のことを重いだなんて。」

「え~と、お前は女の子のカテゴリなのか?」


もしかして会長と同じように性別偽ってる系なのか。

それなら慎重に言葉を選ばなければいけない。

あっ、冬実姉さん。

そんなこの世の終わりみたいな顔しないで。


「ボクの中、とっても温かくて気持ちいいんだよ❤なんなら、ここで試してみる?」

「僕の下半身にお尻を擦りつけるな。嫌でも反応しちゃうだろ。」

「そうだよね。あきは自分からする方が好きだもんね❤」


僕は星太を抱き締めるようにして体を起こす。

さすがに朝から公衆の面前で騎乗位は学生には刺激が強すぎる。

ひとまず目の前で固まっている冬実姉さんに弁明せねば。


「冬実姉さん。彼は御稚児おちご 星太しょうた。れっきとした男だから心配ないよ。」

「あき、ボクは男の娘だよ。」

「お前はちょっと黙っとこうか。」

「はひっ❤」


星太を睨んで黙らせると冬実姉さんに向き合う。

僕と目が合うと冬実姉さんは再起動するように意識を取り戻した。


「私は成瀬なるせ 冬実ふゆみと申します。御稚児さんは秋くんととても仲が良いのね。」

「仲も良いけど、中が良いんだよって、お姉さま!」


あれっ、星太は知らなかったんだっけ?

そういえば、昨日も清夏のことを知らない感じだったな。


「ご紹介に預かりました御稚児おちご 星太しょうたと申しますわ。あきさんとは仲良くさせていただいておりますわ、お姉さま。」

「あらあら、本当に女の子みたいね。」

「僕でも時々判断に迷うから仕方ないよ。」


星太ってこんな風に喋れるんだな。

ってか、あきさんって初めて言われたぞ、この野郎。

外堀を埋めにくるのはやめろ。


「あぁ、お姉さま。折り入ってお話が。ボクとあきさんの仲を認めて頂きたいのですわ。」

「えぇ、大丈夫よ。秋くんとは友達なのだから、私の許しなんて必要ないわ。」

「あっ、いえ、そういうことではなくてですね。」

「いやぁ、今後ともよろしくな星太。友達として。」

「ぐっ。」


こればっかりは姉さんの方が上手だったようだ。

多分、本人は全くこれっぽちも意図していないんだろうけど。


「そろそろ、始業ベルがなるわね。秋くんも御稚児ちゃんも急いだ方がいいわ。」

「よし、星太! 行くぞ!」

「えっ、ボクはまだお姉さまとお話することが……。」


ひとまず退散だ。

これ以上、星太の暴走を見過ごすわけにはいかない。

そういえば清夏が星太のことを彼女じゃないかとか言ってたけど、その理由が少しわかった気がした。

色々と講釈を垂れていたのだろう。

口だけは達者だからな。


「お姉さまー! ボクとスールの誓いをー!」

「おまっ、もしかしてバイなのか!?」

「ボクはノーマルだよ。あきが特別なだけ。」

「それは喜べばいいのか。残念がればいいのか。」

「あきは欲望に身を任せればいいんだよ❤」

「そしたら、今頃お前はボロ雑巾だよ。」

「んひっ❤」


あれ、なんで星太は喜んでいるだ?

まぁ、いいや。

とにもかくにも僕の友達は個性が強い。

姉様や妹様には関わらせないようにしよう。

僕は糞野郎と鞭野郎のことを考えては思考の外へと追いやったのだった。


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