第二十二話 暗い夜道で男は嗤う
お久しぶりです。更新再開します。
本章より少しダーク要素が入ります。タグにも追加しました。
また、今話はダークな性描写を含みますので、苦手な方は読み飛ばして下さい。
今話は短いので、本日は二話更新します。
本話が一話目です。
タッタッタッ——
アンナは夜の街道を走る。周囲に人影はいない。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
すでに息は絶え絶えだった。ただの町娘であるアンナに体力はない。が、それでも足を動かすのを止めなかった。
なぜなら後ろには——。
「逃げなくてもいいじゃないか? 僕と一緒に気持ちいいことをしようよ?」
一人の男がゆっくりと歩を進め、アンナに近づいていた。厭らしい笑みを浮かべ、確実に距離を詰めていく。だが、焦った様子はない。まるでアンナが力尽きるのを待っているかのようだ。
恐怖で青い瞳に涙が滲む、金色の髪を靡かせて、アンナは暗い道をひたすら走った。今いるのがどこかなど、もはやわからない。ただ逃げなくてはという強迫観念が、彼女の心を支配する。
「きゃっ!」
アンナは足をもつれさせ転倒した。地面に身体を打ち付ける。
どうも身体の調子がおかしい。全身が火照ったように熱く、疼きが止まらなかった。足にも上手く力が入らない。
おかしくなったのはあの時からだとアンナは思い出す。追いかけてくる男がアンナの前に突然現れて、香水を吹きかけてからだった。独特な甘い匂いがする変わった香水だ。
「もう降参かい?」
すでに男はアンナの目前に立っていた。アンナを見下ろし、口元は嗤っている。
「彼女が見つからないのは残念だが、今日は君で我慢するよ」
男は唇を舐めた。
「や、やめて……。だ、誰か……助けて……」
アンナは心に恐怖、身体は歓喜するという、相反する感情を抱き、か細い悲鳴を上げる。身体の自由はすでになかった。
「大丈夫だよ。すぐに気持ちよくなるからね」
男はアンナの身体に跨り、身体を重ねた。
夜の街に、女の嬌声が響く。
だが、その声に気づくものは誰一人としていなかった。
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