表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/39

第一話 再会

初連載となります。

完結目指して頑張ります。

目標はブックマーク一〇件です。


稚拙な文章ですが、どうぞよろしくお願いします<(_ _)>


※9/21追記

 説明が多く、くどいと感じたので修正しました。短すぎたため、二話目と繋げました。スト―リーに影響はないので、既読済みの方は読み飛ばしても話はわかります。

 空は青く、雲もない。太陽は明々と鬱蒼とした森を照らしていた。

 その太陽の下で、リラクは一頭の狼型の魔獣——グレイハウンドと対峙していた。

 リラクは少年の色を残す顔で、好戦的な笑みを浮かべ、その蒼い双眸で魔獣を睨みつけた。

 魔獣も唸り声をあげ、鋭い牙を剥き出しにし威嚇する。

 最初に動いたのは青年だった。拳を握りしめ、地を駆け——、魔獣と衝突する。

 森の中で大きな咆哮と怒号が鳴り響いた。




「ふっふふ~ん」


 リラクは鼻歌を歌い、鞄を軽く叩く。中には戦利品——グレイハウンドの魔石。

 空は赤く染まり、リラクが歩くカロウセの町の街道は、仕事帰りの人で混雑していた。

 街道を歩き、一件の建物の前で足を止める。看板には『ハンターギルド』の文字。ハンターを生業にする人間が魔石、素材、薬草などを換金する場所だ。リラクもその一人。

 扉を開け、中に入る。目の前では、リラクと同じハンター達が受付で換金の手続きをしていた。ハンターに対応する受付嬢達は愛想のいい笑顔を振りまいている。

 リラクも同様に受付窓口の前に立ち、


「やあ、ミーニア。換金に来たよ」

「いらっしゃいませ、リラクさん。では換金するモノを見せてください」


 リラクがミーニアと呼ぶ少女は、愛嬌のある顔でニッコリと笑った。綺麗な茶髪に隠れる犬耳をピクピク動かす。


「あいよ」


 リラクは今日の成果を受付台に置いた。

 ミーニアはリラクが持ってきた素材をひとつずつ調べていく。


「ふむふむ……、最低ランクの五等級魔石がひとつに、熱さまし用の薬草ですか。そうしますと、払う金額はこれくらいですね」


 引き出しから数枚の硬貨を取り出し、受付台に置いた。


「ありがとう」


 リラクは硬貨を手に取り、鞄にしまった。

 ふとその様子を不満顔で、ミーニアはじっとリラクの顔を見つめている。

 そのことにリラクは気づき、


「……どうした?」

「…………もっと稼がないんですか?」

「は?」

「何でもっと稼がないんですか? リラクさんがこの町に来てから一ヶ月、いっつも換金するモノって一緒ですよね? 他のハンターさん達はもっと持ってきてますよ」

「いや、十分じゃない?」


 リラクが今日受け取った額で、宿屋一泊に朝食がついてくる。安い所なら二泊は固い。十分生活できるレベルだ。


「全然ですよ! 将来はどうするんですか?」

「将来? 田舎の村で畑を耕して、スローライフを送る予定だけど」

「なんて夢のない……。リラクさんは回復魔術師でしたよね? だったら治療院を開いたらどうですか? ハンターでの今の稼ぎより、圧倒的に稼げますよ」

「えー、嫌だ。そんなことしたら毎日治療の依頼が来るじゃん。休日がないのは嫌だよ」

「えっ……、もったいなくないですか? お金に困らないくらい稼げますよ」

「全然。俺は死ぬほど働こうとは思わないの。安定した食事に宿、あとはゆったりした時間があったらそれでいいんだ。人生、働きすぎは良くないんだよ……」


 苦い記憶が蘇り、悟った表情で笑った。

 だが、ミーニアは納得がいかない。


「働いてください」

「働きたくない」

「働いてください」

「働きたくない」


 押し問答のように繰り返し、二人は言い合っている。周囲のハンターや受付嬢は「また始まった」と、生温かい目線を送っていた。

 そのときリラクの背後で少女の声がした。その声には驚きの色が混じっている。


「えっ……、リラク?」

「ん?」


 リラクは自分の名前に反応し、振り向く。そこには金髪の少女が書類の束を持って立っていた。青い瞳を大きく見開き、驚きを隠せない様子。

 リラクも目を見張った。その顔に見覚えがあったからだ。


「も、もしかして……」

「リスティさん! 久しぶりですね!」


 リラクが彼女の名前を呼ぶ前に答えたのはミーニアだった。彼女はリスティに会えたのが嬉しいのか、受付から身を乗り出している。


「えっ、えぇ……。久しぶりね……」

 リスティは、ミーニアに言葉を返す。視線はリラクのままだ。

「んっ?」


 ミーニアはリスティの様子に訝しんだ。リラクとリスティの二人を交互に見て、顎に指を置いて考える仕草をした。


「もしかして……、お二人は知り合いですか?」

「ああ……、幼馴染なんだよ……。こんな所で会えるとは思わなかった」

「わたしもよ……」


 驚きすぎて二人の反応が鈍い。口端がまだ引き攣っている。

 逆に反応が良いのはミーニアだった。


「凄い偶然ですね! お話の中の主人公みたいです! 良かったらこのまま二人でお食事に行ったらどうですか? そして夜更けに宿に二人で泊まって……、きゃっ」


 一人で勝手に盛り上がっている。

 ただミーニアの提案はリラクにとっても渡りに船だった。半年前に村に戻ったときには、リラクと同世代の幼馴染が誰一人いなかった。近所に住む人の話で旅に出たと聞いて、ショックを受けたのだ。


「夜更けに二人で宿屋の下りは意味がわからないけど、リスティのことは気になってたし……、いいかな?」

「えっ……」


 リスティの頬が赤くなった。ぼーっと、リラクを見つめる。


「わたしも行きたいな……」


 そう呟いたがすぐに、


「あっ、でもユニオンの仕事があるから無理かも……」


 と、視線を下に向け、肩を落とした。


「ユニオン?」


 そのリラクの疑問に返答したのはミーニアだった。彼女は自分のことのように嬉しそうに話す。


「リスティさんは凄いんですよ。五十人以上が所属するカロウセで一番の大型ユニオン——ホワイトファングのハンターなんです。魔獣討伐成績もトップクラスで、ハンターギルド内でも期待の星なんです」

「へぇー、凄いんだな」

「そうでもないよ」


 リスティはあまり嬉しくなさそうだ。


「だからリラクごめんね。一緒にご飯に行けないよ」

「そっか。じゃあ、仕方な——」

「——リラクさんに手伝ってもらえばいいんじゃないでしょうか?」

「はあ?」


 突然のミーニアの提案に驚き、リラクは裏返った声を出した。

 ミーニアはリラクの反応を無視し、困った表情でリスティに愚痴る。


「リスティさん聞いてくださいよー。この人、全然ハンターの仕事しないんですよー。いっつも魔石一個と薬草の束ばっかりです。リスティさんの爪の垢を飲ませてあげたいくらいです。だから、ちょっとこき使ってください。リラクさんは回復魔術師ですので、戦闘は微妙かもしれませんが、サポートは得意なはずです」

「えっ、あ、うん……」


 ミーニアの勢いに仰け反りながら、リスティは頷いた

 ミーニアは、リラクの方を向きニッコリ笑い、


「ということですので、しっかり働いてくださいね!」

「え~」

「嫌そうな顔をしないでください。リラクさんのためです。いいじゃないですか。可愛い子とご飯が食べられるんですよ? 安いもんです!」

「えっ? 俺タダ働きかよ」

「文句言わないでください。お金払っても一緒に行きたいという人も世の中にはいるんですよ? 少しくらい労働の喜びを味わっていただきたいですね!」


 リラクはため息をつき、リスティに視線を向けた。


「いいのか?」

「まあ、確かに魔獣討伐の手伝いをしてもらえるなら助かるかな。……でも良いの? ご飯だけで手伝ってもらっても?」


 横目でミーニアを見て、


「ああ、いいよ。手伝ってやるさ。任せてくれ、大船に乗ったつもりでいろ」

「でも、リラクさんの船は何か沈みそう……」

「うっせっ」


 ミーニアのツッコミに悪態をつくリラクを見て、リスティはくすっと笑った。

お読み頂きありがとうございます。

本日中に三話までアップロードする予定です。

引き続きお読み頂けましたら幸いです。


以下のブックマーク、総合評価、感想を頂けますと、執筆の励みになります。

どうぞよろしくお願いします(´・x・`)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ