序
地中海に浮かぶ小さな島には、一軒の家と庭がある。その家にはおじさんが一人住んでおり、彼は頻繁に友人を招いて日本語について熱く語っている。彼は日本語の細かい部分を気にしてしまう性格で、気にしだしたら誰かに語るまでその気が収まらないという厄介な病にかかっている。招かれる友人もおじさんと同じくらいの年齢の男女であり、同じように日本語の細かい部分を気にしてしまう性格の持ち主である。
彼らのことをヨーロッパの人々は知らない。もしかしたら、彼ら以外には彼らの世界が見えていないのかもしれない。どうして日本ではなく、遠く離れた地中海にいるのだろうか。私は以前おじさんに尋ねたが、彼自身もここに来た理由を忘却したようで、謎は解けなかった。きっと今でも、彼は思い出せずにいるだろう。
今日も小舟が島に着岸し、象牙でつくった杖を持った男性が彼の家のドアをノックした。
この作品は日本語についての論文ではなく、おじさんの考えを記述したものです。作中の日本語については諸説あるものや絶えず変化するものがある以上、まったく正しいというわけではありませんのでご注意ください。また、筆者は言語に関する専門家ではありません。読者の皆様が皆様なりに日本語について考えるきっかけとなれば幸いです。
また、登場人物は実在しません。地中海に浮かぶ小さな島に一軒家があったとしても、それはこの作品のおじさんの家ではありません。