冒険者
冒険者とは傭兵のようなもので、街の周りに湧く凶暴な動物やモンスターなんかを狩ると、国から報奨金が貰えるといった手合いらしい。
依頼で動くというわけではなく、今居るような冒険者の宿に集められた情報を元に狩るか、自分で見つけて狩るかして、その証明として部位を持って帰って提出する事でお金と引き換えて貰うという。思ったよりかなりアバウトだ。曰く、依頼を受けてから動くと後手後手に回ってしまうかららしいが。宿で貰える情報にはお金がかかるので、自分で探して狩ったほうが儲けられたりするそうだ。
「で……元手になる情報料がフィリアさんには無いので、街から出て自分で探さないとダメなんです」
「成る程。じゃあ何でここに?」
テーブル席の一つに座り、喧騒の中、お互いに大声で叫ぶように話し合う。こうでもしなければ聞こえないのだ。
「冒険者登録をしないと、お金が貰えないのは勿論、街から出るのにも色々と手続きとか面倒じゃないですか。冒険者、というだけで色々と権利が保障されるんですよ」
「ほうほう。……登録にお金とか、要らないのか?」
「銀貨五枚です。ありましたよね、確か」
ある。払えばほぼ一文無しになってしまうが、間違いなく安い買い物と言える。
どの道増やさねば二進も三進もいかないのだし。
「それに、規定された期間の間何も狩らないでいると、失効されるので、あまりほいほいと手を出すものでもないんです」
「そうなのか。じゃあさっさと登録するとしようかな。どれくらい稼げばいいかとかってわかるか?」
「うーん……多分銀貨十五枚くらい、ですかね。旅を続けるフィリアさんはいくら稼いでも困らないので、森に入って目に入ったモンスターを倒していけば」
「おけおけ。まあじゃあ、気楽にいくかな。ナーミアは宿で待っててくれるか?」
「あ、はい。僕は闘えないので……でも、夜ご飯迄には帰って来てくださいね。夕日が落ちきる頃には、用意して待っていますから」
わかってる、とナーミアの頭をくしゃりと撫でる。
ご飯の時間に待ってて貰えるのなんて何時ぶりだろう。きっと反故には出来ないな、と俺は笑った。
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