4、キセム
「なんだったんだよあの変な帽子は…」
やっと頭痛から開放された悠斗が文句を言う。
「ん、あの帽子は洗脳用の術具を改造したものよ。」
・・・・・・・・・
「てめぇなに勝手に人を洗脳してやがるっ!!!」
「大丈夫。わたしが改造したものだから、安心して。」
「安心できるか!俺の頭に何吹き込んだ!!!」
「言語。」
「……言語?」
「そ、言語中枢に洗脳かけて聞こえてきたここの公用語を自動変換するシステムを悠斗に入れたの。自分の使用言語は『第三層心理に基づき、我が言語を変えよ』って言えば変更可能よ。」
そういえばさっきから話し方が念話じゃなくなっている。
…ということは、
「これで!英語の赤点とは!!おさらばだー!!!」
「………まあ、脳に負担がかかって少し脳細胞が死滅しちゃうんだけど。」
・・・・・・・・・
※※※
「ここはわたしの家から一番近いキセムって街。」
そうして連れてこられた街は、いかにもRPGといった感じの街だった。
街はぐるりと城壁みたいなもので囲まれており、地面は石畳。
「そういや、どうやって情報を集めるんだ?」
「街の組合と喫茶店で聞いてみる予定。」
――ギルドと酒場――では無いらしい。シルリアが酒場と言ったらそれはそれで驚くだろうが。
※※※
「さて、ここがキセム治安維持防衛組合、通称<組合>。主に街の治安維持、付近の害獣、外獣駆除が仕事。」
「外獣?」
聞き覚えの無い言葉に首をかしげる。
「覚えてないの?ほら、今日庭に入り込んでいた翼のある動物。」
そう言われ思い出す。逞しそうに羽ばたく大翼、強靭そうな四肢。……スプーンに負けたけど…
「世界と世界の間、界の隙間である外世界に満ちる気から作られたといわれる生物の総称。」
「総称ってことはあれ以外にも外獣っているのか?」
「あれより強い外獣だって結構いるわよ。」
あのライオンもどきでも十分強そうだったのだが…上には上がいるらしい。
「お喋りはここまでにしてそろそろ入りましょ。」
シルリアはそう言って組合の扉を開いた。
「はーい、どうかし……ってなんや、シルリアちゃんやないか。」
第一声。
「ずいぶんと嫌そうな言い方ね。これからは手伝いをやめたほうがいいかしら?」
「嫌なわけあるかいな、わしらも助かっとるて。で、何の用や?仕事でもするか?
「仕事は明日にするわ。今日は連れがいるから。」
「お、なんや。シルリアちゃんのおと「用件は人探し。」
関西弁のような言葉(翻訳機、壊れてないか?)を話す男の発言を遮って用件を言うシルリア。「魔法を研究している男、実力もある。この条件で当てはまる人はどれくらいいる?」
スルーせんといてや…という呟きが聞こえた気がしたが無視しておいてもいいだろう。
「魔法を研究している男で若いもんか……すまんな思いつかへんわ。」
「そう。」
一つ目の当てには何も情報がなかったようだ。
※※※
「なぁシルリア、さっきの人は……」
「ナッシュ。キムル治安維持防衛組合組合長。」
組合長…トップということか。
「あの人の言葉がすごく訛って聞こえたんだけど。翻訳システム大丈夫?」
「ええ、彼はケーラー訛りが強いから翻訳システムはだいじょうぶよ。」
訛りまで翻訳してしまうとは……すばらしい翻訳システムだ。




