2、長距離攻撃用武器スプーン
(え?)
悠斗は驚いていた。
ティーポットとカップが中を浮いてきたのだ。
糸で吊るされているのか?と思ったが、それらしきものは見当たらない。
シルリアはそれが当然であるかのように振舞っている。
『あ〜、鬱陶しい。また入って来てるよあれ。』
外を見たシルリアは紅茶に砂糖を入れ、スプーンで混ぜながら言う。
シルリアの視線を追って窓の外を見ると、大きな翼で羽ばたくライオンが……
(何ですか、あれ。)
悠斗が、凶悪そうな化け物に固まっていると、
『えいっ。』
という軽い台詞とともにシルリアがスプーンを投げた。
そのスプーンは、およそ人が投げたとは思えないような速度で吹っ飛び、いつの間にか開いていた窓を通って、その速さから来る衝撃波とともにライオンの腹を消し飛ばした。
「な、な、」(何じゃありゃ!!!)
開いた口が閉まらない。
『魔法、見たこと無いの?』
前足と後ろ足が離れたらイオンが落ちていくのを、見るまでもないという感じに無視して聞く。
『ま、魔法?…それって杖とか呪文とか使って火とか出したりするの?』
『杖って老人が使うものだよね…。それに呪文って………聖句の間違いじゃないの?大体あのレベルの魔法なら聖句も必要ないし。』
どうやら異世界には魔法の杖や呪文というものは存在しないらしい。
※※※
『ねえ、ユウトってどこから来たの?』
シルリアの問いに、悠斗は朝から今に至るまでのほぼ全てのことを話す。
うんうんと相槌を打ちながら最後まで話しを聞いたシルリアは一言、
『デンシャって何?』
これを聞いて、うすうす感づいていたことを信じざるを得なくなっていた。
(嗚呼、俺はどっかのファンタジックワールドに吹っ飛ばされたんだ…………)
『おーい。』
(…………)
『おーい。』
(…………)
『ちょ、大丈夫!?』
大丈夫なわけない。だが、もはや諦めの極地にたどり着いていた悠斗は、自分の思っていることをそのまま話した。
(今後、俺は頭のかわいそうな子扱いされるのかなぁ〜)
そう思っていると、
『なるほど。そういうこっとだったのか。』
……納得された……
『え!?信じたの!?』
『うん。ということは、ユウトはこの世界のこと知らないんだよね。』
首肯。
『まず、この世界の名前がウィグル。そしてこの世界以外にもデイスっていう世界があって結構昔から交流があるの。』
いきなりびっくり発言。
『この二界間交流はそれなりに昔から続いている。わたしたちにとって異世界なんて結構身近なものなの。』
『だから信じたの?』
『ええ。もう既に二つの世界が確認されているもの。他にもあったって不思議じゃないって。』
異世界にはさらに異世界があるようです。異世界の異世界……面倒だ、両方とも異世界でいっか。




