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18、乱戦‐See from Yuto‐

衝撃でバランスが崩れた悠斗の腹に氷の塊がぶつかり2、3m飛ばされる。


痛みを堪えながら目を開くとさっきまでシルリアがいたところはこれでもかというくらい大量の魔法が飛んできている。

土埃のカーテンがかかっており見えないがシルリアなんだし無傷だろう。


と、思っていた以上に早く魔法の連射が終わる。


土煙が霧散し無傷どころか半径50cm以内に魔法が着弾した跡が見られないシルリアが顔を出す。


シルリアは後方を見て眉を寄せる。

その視線を追って後ろの方を見ると、


(何だよあれは。)


2mを越える屈強そうな紫色の体を持つ奴が二体と、悠斗が異世界で初めて見たライオンに似た外獣が五匹、その後ろに何人もの人が立っている。


張りつめた空気を打ち破ったのは二体の紫の巨体だった。


30mの距離を一瞬で踏破しシルリアを挟むように陣取り、力の篭った拳を放つ。

しかしそこにシルリアはおらず、拳は空を切り地面を砕く。

そこへいつの間にか20m程離れていたシルリアが大量の炎弾(ファイアーショット)を撃つ。


それに呼応して紫の対躯が物凄い速度で左手を振るう。

そして又も来た衝撃に悠斗は身を固くする。


全てが悠斗には理解不能な速度。


何とか衝撃をやりすごした所で今度は反対側から悲鳴が聞こえてきた。


振り向くと例のライオンっぽいのが、ついさっきまで広場で遊んでいた子供たちの方へ向かって歩いている。


「!?止まれ!」


たて続けに投げられる四本のナイフ、しかし三本は距離のせいで外れ、当たった一本も威力が弱かったのか相手の歩みを止めることはできない。

くそ、と毒付き次の短剣を振りかぶったその時。


視界を覆わんばかりの無数の漆黒の刃が舞った。


瞬く間にライオンの前足を二つとも切り裂く。

(これは昨日の…)


周りを見渡す。


子供たち以外にも逃げ遅れた人たちはいる。


黒き嵐に時間的猶予を与えられた悠斗は次第に思考を取り戻していく。



あの超高速・超破壊の戦いに参加する必要なんてどこにあろう。


シルリアだからこそ、あんな戦いを繰り広げられるのだ。いちいち同じ舞台に立つ必要は無い。


やれることを。


短剣をしまい走り出す。


前足が無くなりただ唸るだけの外獣を無視し、他の迫るライオンへ二本くらいナイフを投げつけ、子供たちのもとへ。


「逃げるよ、立って!」


おどおどと立ち上がる、が一人だけ腰が抜けたのか悠斗の足に(すが)りつき泣き出す。


「どうしよう……ああー、よし、決めた。」


僅かに逡巡したあと、その子を抱き上げる。

一番近い道へ子供たちを引き連れ急ぐ。


そして広場へトンボがえりし人を探す。

残っているのは少女一人、ライオンと対峙している。


いや、対峙しているという表現は少し合わないか。

少女が魔法を撃ってるのに対し、ライオンはそれらをものともせず傷付いた足を引きずってゆっくりと近付いていっている。


ヤバイ


直感的にそう思いダッシュする。

しかし、外獣の方が早い。

悠斗は牽制になるかも分からない短剣を投げる。

それは偶然外獣の傷と同じ場所に刺さる。

ライオンは傷に刺さった短剣の痛みに振り上げた前足を再度振り上げる。


悠斗が少女の元に辿り着いたのと前足が振り下ろされたのは同時。

とっさに何も持っていない両手でガードする。


肉を切り裂く爪が真っ直ぐにガードへと向かい、服を紙のように裂き、その中のものへと食い込み…


ガキィィィイイン


金属同士がぶつかり合ったような音が木霊した。



悠斗はナイフやら短剣やらをいくつも持っている。


それは両腰のポケット、両膝、両もも、ベルトを通す所。

そして、袖口(・・)にもナイフを隠し持つことが出来るようにしてある。


外獣の爪は服を切り裂き、食い込んでいる。袖に隠し持っていたナイフの鞘に。


鞘は切り裂かれたものの中にあるナイフが爪を食い止めている。

傷着いた外獣と傷一つ無い悠斗の、拮抗する腕の押し合い。


それは突如、崩される。


「やあぁぁあ!」


悠斗が後ろにかばっていた少女が短剣で切りかかったのだ。

その非力な腕でも目に当たれば充分な攻撃力を持つだろう。

外獣はギャウと哭き、のたうちまわる。


一息つき、何故少女が短剣なんて持っていたのかと疑問が鎌首を持ち上げかけた所へ、ジャェェェエエと咆吼が響く。


何とか動けるといった感じのライオンが二体、左右からにじり寄って来ていた。


気付けば広場にいたのは悠斗、シルリア、少女の三人だけ。


シルリアを狙ったライオンは全て二体との戦いの流れ弾で一撃で倒れ伏していく。


両袖に隠し持っていたナイフは先程のライオンが離れた際に一緒に弾かれたために、唯一残った一本のナイフのみを構える。


しかし、ナイフ一本ではやはり突破は難しそうだ。


「ユウト、使って。」


少女が短剣を差し出す。

悠斗はライオンから目を離さずに聞く。


「いいのか?」


「剣は扱いに慣れてないから。」

ナイフを左手に持ち直し、右手を後ろに出すとそこに短剣が置かれる。

「右の奴を突破してこの広場を抜けるから、タイミング合わせて視界が塞がれないような魔法を放ってもらえる?」


「分かった。」


「いくよ。3、2、1、0」


視界の端を電撃が走る。

それと同時に悠斗も走り出し、ライオンに突撃する。

ライオンを食い止めている間に少女は悠斗の後ろを走り抜け、それを音で知った悠斗は戦線を離脱する。



後少しで広場から出られると思った時、突然足が地面の中に沈んだ。


いきなりの出来事に思わずたたらを踏む。

走っている時に横に並んだ少女の方を見ると彼女も地面に足を捕われているようだ。


「くそ。」

何とか脱け出そうとするも足は上がらず、それどころか地面から手のような物が出てきて体に纏わりつく。


「ユウト、動いちゃ駄目。」


少女が声を出す。


「これは確か浸泥伸手捉って魔法で、もがけばもがく程より強く拘束されるから。」


「分かった。で、君は怪我は無い?……って、え……」


「君ってやけによそよそしいね。最後に会ったのだって数日前じゃない。」


非難するような目で悠斗を見る活発そうなショートカットの少女は。


「…ティル?」


「…もしかして今まで気付いて無かった?」


「ゴメン。」


「それなら…僕今の魔法で足をくじいちゃったし介抱することでチャラにしてあげる。」


「…了解…」


いつかのやけに手に馴染む短剣も自分を非難しているように思えた。

どうも、てん丸です。


遂に累計PVアクセス数が50000を超えました!


それに評価のほうもやっと一件来ました。

なかなか現実的な評価、ありがとうございます。

今後はあまり日をおかず更新していきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。


小説評価を募集しています。

感想、修正すべき点、何でもかまいません、ぜひお願いいたします。

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