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14、嗤顔

組合の仕事には主に二つの種類がある。

護衛と討伐だ。


しかし、悠斗は討伐の仕事しかしたことが無い。

理由は簡単だ。

相方が面倒だと言うからである。


護衛は討伐と違い全力を自由に振るうことが出来ない。


ナッシュもそのことを知っているため、シルリアには討伐系の仕事しか提供しない。

ナッシュや他の組合員は護衛系の仕事を多くこなしていることだろう。


しかし現在、シルリアと悠斗はともにある人の護衛についている。

「〜」

嫌いな仕事についているはずなのにシルリアの沈黙がいつもの「ー」より高揚しているのには訳がある。




※※※




事の起こりはいつものように組合にて。


「シルリアちゃんおもろそうな護衛の仕事が入ったで。」

即答での了解の声は響かない。


あ、そうそう。シルリアが報酬を確認せず仕事を引き受けるのは

「少なかったら脅せば増えるわよ。」

という理論の元の行動らしい。

脅された方々、心中お察しします。


っとはなしを戻して。

仕事の内容が護衛であるために、すぐには良しとしないシルリア。

だが、

「報酬がな、あの『魔法そのもの』の二つ名を持つフェフィナー・デメスキータの書いた魔導書『空魔の解書』や。」

その言葉を聞いた瞬間、あるスイッチが入ってシルリアの目が輝きだしたんだ。




※※※




未だにシルリアの興奮が治まらないところを見ると、その魔導書はよほど凄いものなのだろう。


依頼の内容だが、依頼主の講演および移動時の護衛が仕事で、ナッシュによると今回の依頼主はいろいろと強行的な手段で利益を上げている人らしく、

「危なくなるかも知れへんからそのときはシルリアちゃんの影にでも隠れな。」とまで言われた。


彼は今講演会場にて講演をしている。


始まって50分、公園も終盤であとは終わりを見届けて宿泊所まで護送するだけだ。


―シュッ、バキン

悠斗が夢の世界に旅立とうとしているそのとき、仕事が始まった。


火の玉が飛び、シルリアが事前に張っておいた惑う障壁に阻まれる。

それを見越したかのように何人もの武装した人間が壇上へと上がり…


―ドンッ


シルリアが放った無詠唱魔法の強すぎる雷撃に皆一様に腰を抜かした。



悠斗は会場脇から飛び出し依頼主を回収し、既にほとんどの人が退避し終えたドアへと向かい、


「大地に張る根の如く、無形の(いかづち)よ、地を巡り輪廻し、力強く花開け。―展雷場てんらいじょう―」


シルリアを中心に四方八方へ電撃が走る。

しかし、無詠唱のときと大きく異なる点がひとつ。

それは電気の流れが一瞬では終わらないことだ。

継続して流れる電流は鞭のようにしなり、割かれ、融合する。

それらは騒動で逃げなかった人、即ち攻撃を仕掛けてきた者たちを貫き気絶させていく。


仕事が始まる前に手加減するといっていたはずだがこれは手加減されているのか?



その後の帰路は何一つ問題なく終わり、シルリアの目の輝きは次第に強まっていく。




※※※




「くそっ、あいつがここに戻ってきたってことは会場班は失敗したってことか。」


「護衛は二人だけだって情報だったが、あれは嘘だったのか!?」


「どっちにしろ俺たちには今やる意外にすることは無い。やるぞ!」


「ああ。あの魔導書はあってはならないものだからな。」




※※※




「護衛ご苦労。礼を言おう、助かった。」


「それはどうでもいいから報酬は?」


人の感謝の言葉を無碍むげにするな。


「空魔の解書ならここにある。」


懐から一冊の本が差し出される。


シルリアの目の輝きはいよいよ尋常じゃなくなり、それしか目に入ってないかのように見つめて手を伸ばし……



「くらえぇぇ!!!」



不意に横から魔法が乱発された。


とっさに魔法で不可視の防御壁を構築するが、いくつかは防御壁内部に侵入する。

そのうちのひとつの火の玉がシルリアのほうに飛び


――空魔の解書の一部を焼いた――


……ブチッ……


突然発生した魔力の奔流の、その強すぎる強さにその場にいた全員が鳥肌を立て身を固くする。

魔力に乗せられているのは生存本能が警鐘を鳴らし今すぐにでも逃げ出したくなるような純粋な怒気。

そして魔力の中心は



「フフフ…」




わらっている。


「フフフ……私の…空魔の解書……」


銀の鬼が永久氷土のような目を開き獲物を見ながら嗤っている。

誰一人動かない……いや、動けない・・・・



「―捕獄縛鎖じゃま―」


それは本来詠唱魔法には欠かすことの出来ない詠唱を、絶大なる魔力量で補ったもの。




複数の闇の鎖が顕現し、身体を締め付け動きを完全に止める。



「―禍業渦(ばつを)―」


闇で造られた刃が旋回し少しずつ傷付け続け


「―治天使の癒恵(えいえんに)―」


傷が一瞬で回復し、また闇が傷付ける。


「―厄夢災降(さようならよいゆめを)―」


痛みに気を失った奴らが泡を吹きながら震えだした。




「…シルリア、どうすんだ?」


「家に戻って『空魔の解書』を修復するわ。」


そっちじゃなくて、


「あいつらに何をしたんだ?」



「最初のが―捕獄縛鎖(ほごくばくさ)―相手を捕まえる魔法。」


……見間違いかな?鎖の一つが刀を締め折った情景を見た気がするのだが。



「その次が―禍業渦(かぎょうか)―普通の攻撃魔法。」


……攻撃と言うよりむしろ嬲り殺し



「そして、―治天使(ちてんし)癒恵(ゆけい)―高レベルの治癒魔法。肉体的外傷はもちろん、精神崩壊も治せるわ。」


……組み合わせた魔法が天使の魔法を堕天使の魔法に変えた気がする。



「最後に―厄夢降災(やくむこうさい)―悪夢を見せる。」


……泡吹いて震え出すような悪夢!?



「…というか、まだ悲鳴が聞こえてるんだけど。」


「結構魔力込めたから70時間は続く筈よ。」


三日も!?何と言うか…


「南無。」


「何してるのユウト?早く帰るわよ。」


シルリアは既に帰路を歩き始めている。


対して悠斗は、


「おーい」


まずは放心状態の依頼主を回復させないと…

すいません。

学校の関係上更新が遅くなってしまいました。

本当に申し訳ございませんでした。

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