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倒されるべき勇者  作者: ロールほうれん草
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第八話「オリーブ」

 6時に家を離れ、チタン村に向かう二人。

 特に問題もなく進んでいく。


 その途中で、レイはやけに存在感のある洞窟を見つける。

 それを指さして、問いかける。


「ゼルさん。あれって何ですか?」

「ん? あぁ、あれか。いわゆる『ダンジョン』ってやつだな」

「あれがダンジョンかあ! 」


 ダンジョンは世界中にたくさんあり、いま二人が見ているのがまさにそれである。

 ダンジョン内には、モンスターがおり、不思議なことにそれを倒すと消滅し、その場になんらかのアイテムが落ちる。

 そのアイテムを売ることによって金を設ける、というのが冒険者の基本である。

 他にも宝箱などがあり、それも売ったりする。


 そのためかなり危険なため、入口の前に注意がかかれた看板が置かれていたりする。


「そうだな。村で武器買って、それなりに練習をしたら行ってみるか」

「はい!」


 洞窟の前を通り過ぎ、レイは上機嫌に道を進んでいった。



 歩き始めて20分ほどで目的の場所についた二人。

 シユル村には畑や牧場などがあったが、チタン村は全くない。

 その代わり家具や武器などを売っている店が多い。


「よし、とりあえず宿をとるぞ。ついでにそこで飯も取ろう」

「もう決めてあるんですか?」

「あぁ、いつも俺が行ってるところだ」


 ゼルはシユル村で一晩過ごすときの方が多いが、武器の修理などでチタン村に泊まったりもする。

 そこでいつも泊まっている宿を使おうというわけだ。


 部屋をとり、朝食もその宿で済ませる。

 邪魔な荷物を置いた二人はさっそく、武器を買いに行く。


「レイはどんな武器が欲しいんだ?」


 どの種類がいいか知りたかったため、ゼルはそう聞く。


「かっこいいやつがいいです!」

「……参考になんねぇな」


 武器についてはほとんど決めてなかったようだ。


「まぁ、あそこは色んなのが置いてあるしそこで決めればいいか」



「ここだ」


 と、ゼルはある建物の前で止まる。

 レイはその建物をみて。


「小っちゃいですね」


 率直な感想を伝える。


「外見は残念だが中身はすげぇぞ?」

「はぁ。」

「とりあえず中に入るか」


 店の入口であろうドアを開き、


「オリーブ? いるかー?」


 と呼びかける。

 すると奥からそれに対する返事が来る。


「オー! ゼルダナ? ひさしいナ! ちょっと待っててクレ」


 若干片言なしゃべり方で応える。


 1分ほどまっていると、さきほど声がしたほうから人が現れる。


「……」


 レイはこの武器屋の主である人の容姿を見て絶句する。

 彼女、オリーブは緑髪の長髪で帽子をかぶり、緑の瞳を持った、


――幼女であった。



「なるほどナ。そこの少年の武器が欲しいト」

「そうだ、作ってくれるか?」


 ここオリーブの店は武器屋であるが武器を売るだけでなく、客から頼まれた物を作るというオーダーメイド的なこともやっている。


「全然かまわなイゾ。どんなのにスルか決めてクレ」

「助かる。レイ、周りの武器みて決めるぞ」

「……」


 レイはまだ彼女の事を信じ切れていない。


「少年! ワタシの事を疑っているナ!? 言っておくガ、ここの武器はワタシが作ったものなんだからナ!」


 腰に手を当て自慢げに言う。


「安心しろ。こいつはこんななりだが腕は確かだ」

「こんなとハなんダ! こんなとハ!」


 ゼルの言い草に憤怒する。


「褒めたんだがなぁ」

「ワタシの姿をバカにするナ!」


 どうやらオリーブは自分の容姿に不満を持っているらしい。


「んじゃレイ、見ながら決めるぞー」

「マテ! まだ話は終わってな……」

「はいはい。オリーブさんは美人でカッコイイナー」


 ゼルは彼女を適当に流す。

 頬をプクーと膨らませながらそっぽを向くオリーブ。


「ハハハ……」


 そんな二人を見たレイは乾いた笑いしかできなかった。


 くだらない言い合いがあったが無事、レイは欲しい武器を見つけることができた。


「ゼルさん、これが欲しいです」

「ほぉ、刀か」


 レイが選んだのは約1メートルほどの刀。

 シンプルなデザインなものだった。


「いいんじゃないか?」

「オ、決まったのカ」


 話の内容から決まったと感じ取ったオリーブは選ばれた武器を見に来る。


「……フム。そんなカンジで作ればいいのダナ?」

「はい」

「任せてオケ。それジャ、二週間後くらいにまた来てクレ」

「できるだけ良いのを頼むぞ?」

「フン! ワタシを誰だと思っているんダ!」


 かなりの自信があるようだ。


「そうだオリーブ。なんでもいいから木刀を二本くれないか」

「ン? 全然いいケド、なんでダ?」

「こいつ剣術とか何も知んねぇから教えようと思ってな」

「そういうコトカ。それナラ、コレとコレを持ってイケ」


 近くにあった物を二つゼルに差し出す。


「ありがとよ」

「ワタシの作った武器を使うんダ。しっかり教えてやれヨ」

「おう」

「少年もガンバルのダゾ!」

「は、はい!」


 どんな武器ができるのかと期待する反面、プレッシャーを感じてしまうレイであった。

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