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倒されるべき勇者  作者: ロールほうれん草
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第六話「母の気持ち」

 今、二人はレイの家の前にいる。


「もう言いたいことは決まってんだろうな?」

「はい、大体は。あとはその場その場で」


 用事を終えた二人は、ノエルの説得に来ていた。

 そこでちょっとした作戦会議をしていたところだ。


「先に入るので、後から来てくださいね」

「おう」


 レイはドアを開け、


「ただいまー」


 と、視界にいない母親に向かって言う。

 レイの家では挨拶は絶対となっている。

 家から出るとき、帰るとき、家に誰もいなくても挨拶をする。

 朝に関しても元々していたが、今日の朝のようにレイが起こされているため、朝の挨拶は少なくなっているのだが。


 しばらく玄関に立っていると、


「おかえり、レイ」


 洗い物をしていたのだろうか、布巾で手を拭きながらレイの方へ来た。


「今日、お客さんがいるんだけど。入れてもいい?」

「あぁ。全然かまわないよ」


 ノエルは、笑顔で答える。

 承諾を得たレイは、さっそくゼルを中に入れる。


「入って来てください」

「邪魔するぜ」


 そう言い、家に入り、レイの横に並ぶ。


「まぁ、中に入りなよ。ここで話すのも何だしね」



 ノエルに向かい入れられた二人は、椅子に座らされている。

 その二人の向かい側に、ノエルが座っている。


「とりあえずその人を、紹介してよ」

「分かったよ。えーと……」

「俺はゼル、冒険者だ。レイとは店で知り合った。知り合ったのは結構前だな」


 レイが言う前に、ゼルが自分の情報を伝える。


「冒険者か……。今日は一人で来てるみたいだけど、パーティーとか組んでるの?」

「いや、俺は一人だ」

「ソロの冒険者かー、かなりきついでしょ?」

「まぁ、さすがに別のパーティーに入れてもらったりするときもあるが。基本一人だな。一人で冒険するのもなかなか楽しいぞ?」

「ふぅん……」


 ゼルは自分の冒険スタイルについて話した。

 ノエルはそれを聞き、ゼルの事について大体のことを知り、さっそくレイに、


「この人を連れて来たってことは、冒険者についての相談?」

「……うん。そうだよ」


 ノエルの質問に言葉を詰まらせながらも肯定する。

 そしてさらに言葉をつづける。


「前も言ったけど、僕は冒険が好きで冒険者に憧れているんだ」

「うん」

「今日もゼルさんと話して、自分の気持ちを整えて、冒険者になりたい、なるんだって思ったんだ」

「そうかい」

「ゼルさんも最初少しだけついてきてくれるって言ってるし、冒険者・・・どうかな?」

「うん、全然いいよ」

「やっぱり……、って、え? いいの?」


 あっさり言われてレイは驚く。

 もっとためらわれると思っていたのだ。

 最終的に口喧嘩になり、家出みたいになるとまで考えていた。


「確かに、冒険者は命がけだし、危ないよ」

「うん……。」

「正直、今でも冒険者なんてなって欲しくないって思ってるかもしれない。でも私は決めたんだよ。」


 ノエルはレイの目をしっかりと捉え、


「――あなたを信じるって」


 ノエルはいつかこんな話が来ると思っていた。

 その時のために、どうするかもずっと考えていた。

 その結果、信じることに決めたのだ。


「だからレイ」

「はい」

「冒険者になりなさい。世界中を旅しなさい。あなたはいつかきっとすごい人になれるから」

「うん、任せてよ!」


 こうして、ノエルの説得、もはや説得でもなかったが、終わったのであった。


「で、冒険者になるのはいいとして。これからどうするのさ」

「それならもう考えてあるぞ」


 ノエルの質問に答えたのはゼルであった。


「まず隣の村、チタン村に向かおうと思う」

「なるほどね……、あそこなら武器も揃ってるし」

「レイは剣術とか武術とかも何も知らないし、ついでにそれも教えようと思ってる」


 今いるシユル村は、農業や牧畜など、食料関係に関わっている。

 それに対してチタン村は、武器や道具を作っており、シユル村とは交易をしている。

 主に食料と武器、道具の交換である。


「あそこならいい武器も買えるし、序盤は安心だね」

「あぁ」

「あとはそうだね……。いつ頃行くんだい?」

「急ぐ必要はないんだが、明日行こうと思っている」


 準備はチタン村でできるため、あまりこの村にいる必要はないのだ。


「明日かー。寂しくなるねぇ」

「たまには帰ってくるから安心してよ」

「うん、そのときは美味しい料理たくさん作ってあげるよ」

「楽しみにしてるね」


 これでノエルとの話も終わり、あとは冒険者の集いの店主とメイへの報告だ。

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