少女との出逢い
『内容は?』
『ある少女の護衛だ』
『そんな仕事、俺じゃなくても出来るだろ?』
陸の呆れた声。
『まぁそう言わずに話を聞け。その少女はただの子供じゃない。お前と同じ能力を持っている』
『俺と同じ……。そいつはどんな能力を持っている』『それは俺にも分からねぇ。ただその子は狙われている。陸、お前にお願いしたい』
『誰に狙われているんだ?』
『それは………今は言えない』
しばらく沈黙が続いた。『その少女に興味がある。分かった、その仕事引き受けよう』
その答えに浅井は満足そうに言った。
『陸ならそう言ってくれると思ってたよ。それじゃあ詳しいことは後で送っておく。じゃあ頼んだぞ』
『お、おい!浅井!切れた………。まぁ、仕方ないか』
さっきからこちらの様子を伺っているものがいた。
浅井は電話の向こうから気配を感じとっていたようだ。
『そこに隠れてる奴、出てこいよ』そろりと顔を出したのは幼い少女だった。幼いと言っても、小学2、3年生ってところだ。
『お前は………何者だ』
少女は何も言わずうつ向いたままそこに立っている。『俺に何のようだ』
口調を強めにし尋ねると、『助けて』と今にも消えてしまいそうなくらいの小さな声が聞こえた。
『お前がクライアントか』かすかに少女はコクリと首を上下に振った。
『名前は?』
『沙良〔さら〕』
蚊の鳴くような声でそう呟く。
『沙良………か。俺は陸だ』『お兄さんが私の?』
『だと思うが』
陸は沙良と目を合わせようとはせずに返事だけ返す。だから、沙良がどんな顔をして俺を見ているのか分からない。
『良かったです。優しそうな方で』『えっ?』
はっとして沙良に目をやった。
見ると、うっすらと笑みをうかべていた。
『お、俺が恐くないのか?』陸が少したじろう。
『全然。私には分かります。お兄さんが本当は優しいってこと。』
少し照れ『そんなこと言われたのは初めてだ。今までずっと、みんな俺を恐がってたから。もしかして……人の心を読むのがお前の能力か?』
『違います。これは自分で身につけた人を見る力と言いますか………』
そういう沙良の顔は少し寂しそうだった。
『俺たちは、同じような人生を送ってきた訳か』
陸は哀しく沙良に微笑みかけた。
『んじゃ、沙良の能力って何?』
陸は沙良と目線を合わせようとしゃがみこんだ。『わ、私の能力は………』沙良は言いづらいのか目が泳いでいる。
『予知夢だよ』
どこからともなく声が聞こえた。
けっこう長くなりました。アドバイスよろしくです。