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大切な何かを求めて…  作者: 針巣豚
プロローグ 日常
9/27

代償

帰って部屋に入るとまず、母は俺を突き飛ばした。


「お母さん。ごめんなさい。ごめんなさい」


俺は泣きじゃくりながら何度もそう言ったが、母には何も聞こえていないようだった。


「どうして…何が天才よ!この能無し!あんたなんか私の子供じゃない!」


母はどうしようもないくらいに狂っていた。子供の俺にはどうしようもなかった。ただ殴られ蹴られ惨めに、ゴミクズのように扱われた…。


「…ピアノもできない手なんていらないわよね?」


俺には何を言っているのか理解できなかった。

母はハサミを取り出して俺に向かってくる…。


どうしてこうなってしまったんだろう…。何が間違いだったんだろう…。どこから狂ってしまったんだろう…。どこから…


「ぐぎゃああああああああぁあ!がっ、ああああぁああ!」


部屋に悲鳴がこだまする。それが自分の声であることを理解するのに時間を要した。


「まずは人差し指…。次は中指…」


「があああああぁああ!ぎいああああぁあ!」


小学生の俺の指は細く繊細で、面白いくらいハサミでもよく切れた…。床は俺の血で紅く染まっている。


俺の悲鳴で由依が駆けつけてきた。マズイ。今由依が来ては火に油だ。だがその時の俺にはもはや叫ぶ気力も残されていなかった。


「お兄ちゃん?」


由依は最初何が起きているのか良くわかってないようだった。

母のただならぬ様子を見て顔を強張らせている。

ようやく状況が掴めたのか、母を押さえにかかった。


「やめて!お母さん!お兄ちゃんが死んじゃう!」


マズイ。今、母を刺激しては…


母の顔がが妹に向く。


「誰に向かって命令してるの!この役立たずが!この家に役立たずはいらないのよぉ!」


母は由依を引き剥がし、ハサミを振りかぶる。このままでは由依が殺されてしまう。


そう思ってからの俺の行動は早かった。何とか立ち上がり、近くに飾っていた皿を手にとった。


そして…由依に気をとられていた母の頭に向かって、思いっきり皿を振り下ろした…

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