お化け屋敷
思った通り、由依は劇の準備があるからと朝早く出かけて行った。
この調子なら一緒に回るという約束もどうなることやら…
俺も今日はサッサと支度して家を出た。
………
…
「うおおおおおおおぉぉぉ!」
何やら教室が騒がしい。
どうせまた秀介と優奈がバカをやっているのだろうと思い、暗幕で覆われた教室のドアを開けた。
するとそこにはメイドがいた。というか奏だった…
「春人〜…助けてよ〜」
色んな奴にもみくちゃにされながら奏が俺にSOSを送ってきた
「おいおい、お前ら。いつからここはお化け屋敷からメイド喫茶になったんだ?」
俺は助け舟を出そうとしたが、あっさり壁に阻まれてしまった。
というか俺の前にリアルに壁ができた。
というか秀介だった。
「前にちゃんと言ってただろ。一人一人に変装してもらうと。俺は壁だ!そして奏はメイド。そして春人は吸血鬼だ!」
「分かっているが、なんで奏はメイドなんだよ。お化け屋敷関係ないだろ…」
秀介は待ってました、とばかりに自慢げな様子だ。こいつが次に何を言うのか大体想像できる自分が恨めしい。
「冥土の土産にメイドを用意したんだよ!」
このドヤ顔…これでも秀介は成績だけは俺より良いから手に負えない。
「ちなみに私はゾンビだよ!涼は雪女!似合うでしょ?」
またいい感じに優奈が入ってきた。と言うか和洋ごちゃ混ぜ過ぎだろ、統一しろよ。
そんなことより、こいつらほっといて早く奏を助けないと。
「おいおい、もうその辺にしてやれ。奏が泣きそうに…というかもう泣いてるからやめてやってくれ」
結局、奏は制服で受付をすることになった。