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異世界転生した元居酒屋の俺、スキル「重量操作」で伝説の料理聖になる

作者: 黒の課長
掲載日:2026/06/05

−−異世界転生して3日。

料理に対する熱い想いが伝わり……

俺は酒場の厨房で働らかせてもらってる。


そこで目にしたのは異世界のポプュラーな食材。

……魔獣の鶏肉。


「そいつは煮ても焼いても硬くて臭ぇ」

「兄ちゃん、新メニュー考えてみるか?」

店主のおっさんに言われる。


俺は現代日本の、居酒屋の定番……

『唐揚げ』……の味を思い出していた。

「もっと劇的に美味しく!柔らかくしてみせる!!」


先輩のペリンチョが口を出す。

「いいんスか〜?あんな新人に作らせて」


「自分で新メニュー作るのが、夢なんだとよ」

「期待してるぞっ!」


「知らないっスよ〜!?」

「あっし、味見しないっスよ〜!」



−−1週間後

この唐揚げのせいで……

国王が店に来ることになる、とは知らず。




……前の厨房で自分は、その他大勢だった。

やってやる、俺は意気込む。


まずは……魔獣の鶏肉を一口大に切る。

そして醤油ベースのタレに漬け込む。


俺が異世界転生して手に入れたスキル……

重量操作(ジューシー)


俺が手をかざすと、タレと肉に均一な重量がかかる。

一瞬で、肉の繊維がほぐれタレが染みこんでいく。

普通なら一晩はかかるところだ。


次に衣をまぶし、熱した油に入れる。


重量操作(ジューシー)』−−二段階比重揚げ!!

 まずは低温で一度揚げ。

肉の周りの重量を操作して、圧力をかける。

これによって160℃の低温でありながら、肉の中心まで一気に熱を通す。

旨味を肉の中に完全に閉じ込めるんだっ!


 そして仕上げは190℃の高温。

今度は逆に、衣の表面の重量を極限までゼロに近づける!

衣の中の水分だけが重量から開放され、外へ弾け飛んだ。

これにより、究極のサクサク感が生まれる。


「ジュワァァァァッッッ!」

「パチパチパチパチ……!」

異世界の住民が聞いたことない、揚げ音が響き渡る。

同時に香ばしい醤油とニンニクの香りが店全体に広がった。


「お、おい……なんだこの暴力的に美味そうな匂いは……」

店主がゴクリと喉を鳴らす。


黄金色に輝く、揚げたての唐揚げを出す。

「熱いうちに食ってみてよ」


店主が口に入れる。

−−サクゥッッッ!!!

「―――!?な、なんだこの食感は!!」

圧倒的なサクサク感。


次の瞬間。

−−ジュワァッッッ!!!

中から溢れ出した、濃厚な肉汁。

「う、美味すぎるぅぅぅー!!」


「コレがあの硬い魔獣の鶏肉か!?」

「信じられないくらいジューシーで柔らかい!」

店主は唐揚げを貪り食い、酒をあおった。

「美味いぃぃっ、最高だ〜っ!!」


思わずペリンチョも前に出る。

「あっしも、食いたいっス!」


カリッッッ、フワァッ、ジュワ――――ッッ!

「やばぁぁぁ――――っ!!う、旨味の暴力っっ、ス」

「あっしを、あっしを弟子にして下さいっっ、ス」



◇◇◇◇◇◇◇◇


正体不明の激ウマ肉料理が売り出された……

と言う噂は、またたく間に街中に広がった。

連日の大行列、店は朝から晩まで超満員。


そしてある日−−


店の前に豪華な馬車が止まった。

「こ、国王陛下だ!」

店内が壮絶とする。


護衛騎士達が道をあけ、その中央を国王が歩いてきた。

「噂の料理を食べに来た」

俺は揚げたての唐揚げを差し出した。


国王が一口食べる。


サクゥ、ジュワァ

……動きがピタリと止まる。


「こ、この食感は……!?」

「そして、なんとゆう旨味……!!」


そして食べ終えた国王が、真剣な表情で言う。

「余は今まで、世界中の宮廷料理を食べてきた……」

「だが、これほどの至高の料理に出会ったことがない!」


立ち上がり、こっちを見る。

「私の専属の料理長になってくれぬか!!」


店主が目を見開く、ペリンチョ、周囲の客も息を呑む。


……だが俺は首を横に振った。

「ここで皆んなが美味いって、笑ってくれるのが好きなんです」


国王は少し驚き、そして大きく笑った。

「なるほど、ならば無理には誘うまい」



その後この唐揚げは−−

『国賓をもてなす最高峰の国家料理』に指定され、俺は一介の料理人でありながら国を揺るがす、「伝説の料理聖」として歴史に名を刻む事になるのだった−−



−−俺の異世界料理『唐揚げ』

そして夢はまだ始まったばかり−−






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