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5 割れ目

帰る途中のことだった。コンビニの横で、近くの中学校の制服をきた学生たちが話していた。私はふと気づいた。『……そういえば、今日は月曜か』

何気なく言っただけだった。

学校のことなんて、深く考えていなかった。

私は振り返って彼女を見た。彼女は、涙を流しながら私を見ていた。

「誰も心配なんてしてくれなかった……」

「蹴られても、ノートを破られても」

喉が塞がって声が出なかった。「叔母さんだって...ご飯もお水もくれなかった...目があっただけで何度も叩かれた...」

私は立ち尽くした。胸の奥が、嫌な音を立てた。取り返しのつかないことを、私は言った。「夜景を見たら……もう、十分だから...」彼女は涙でぐしゃぐしゃの笑顔で言った。その笑顔は、もう全てを諦めた笑顔だった。涙は溢れるばかりだ。それは、私もだった。その笑顔を見た瞬間、胸の奥で、何かが静かに終わった気がした。

明日、という言葉が、

急に遠くなった。「じゃあ...叔母さんに...挨拶しなきゃ...」彼女は力が入らない私の腕を取り、ゆっくりと歩き始めた。なぜ、結衣はそれでも私の手を引けるのだろうか。深い傷に、追い打ちをかけた私の手を。『……私も行く。行かせて。叔母さんのところに』

結衣は小さく震えていた。胸の奥で、何かが軋むように鳴った。

どうしてこの子が、こんな目に遭わなきゃいけないんだ。

その震えが、私の胸から離れなかった。

怒りでも、正しさでもなかった。

ただ、ここで手を離したら、

私は二度と自分を許せない気がした。「でも...叔母さん、怖いよ...?」震えた目は、『怖い』では表しきれない思いを私に投げつけた。私は彼女の手を強く握った。『……一緒に行こう』


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