プールサイド殺人事件(お題 炊飯器/プール/緑)
ここはクソミステリー世界!今日もクソミステリー世界で、三須照小学校五年生の米田 共作君は、ベタベタな探偵帽を被り、どこで買って来たのか、ウンコ型棒キャンディーをしゃぶりながら、クソミステリーに挑む! 昨日は雨が酷かったね、共作太郎。この文章書いてる今は晴れてて、お空も青くて綺麗だし、こういうお天気が続くといいね、ハム太……じゃねえわ、古いわ、共作太郎。
「共作ちゃ〜ん、ご飯が炊けたよ〜!」
三須照小学校の春のプールサイドにて。何故か炊飯器でご飯を炊いているのは、共作の幼なじみ兼妹分兼助手兼未来のお嫁さんの柏木小雪。いつもリボンでツインテールを飾っているのですが、今日はプールが舞台なせいかポニーテールにして、活動的な印象です。
「なんで炊飯器でご飯炊いてるの、小雪ちゃん」
「おにぎり持ってこようと思ってたんだけど〜、寝坊しちゃって〜そしたら博士がこれ持っていきなさいって〜」
共作の使っている時計型ミサイルを作ったのも博士ですが、こんな感じの日用家電もお手の物です。軽量化されているので小学生の女の子でも持ち運びやすく、なんとソーラー発電が出来るので、コンセント要らず!
とても便利で個人がコレ作っちゃうのはすごいですが、どっかの大手メーカーが多分こんなようなもんとっくに作ってるだろうし、そもそも外で無理に炊飯器で飯炊く必要あるかあ?って気もしますな。普通に博士の家のご飯の残りでも分けてもらって、おにぎりくらい手早く握ってくれば良かったのでは? アウトドアに使えると言っても、やっぱキャンプなら飯盒でご飯炊く方が楽しそうだし、お手軽に済ませるならレトルトのおかゆやご飯とかあるし……。やっべ、ボロカスに言っちまった、発明品の立場がない!
「炊飯器が現地で炊けるならお茶碗によそった方が良いかなーって持って来たよ~おかずも!」
「ナイス小雪ちゃん!」
共作と小雪ちゃんは、ご飯におにぎり昆布とか梅干しとか乗っけて仲良くモグモグ食べ始め、なんで季節外れの学校のプールサイドに来たか忘れてしまいましたとさ。ちゃんちゃん♪
「忘れていない! 今日はこの季節外れのコケまみれのプールで起きた事件を解決しに来たのだ!」
「共作ちゃん、ほっぺにご飯粒ついてるよ? はい、取れた♪」
「あ、ゴメン。とにかく、ここの季節外れの学校のプールで、スク水着てパンティー被った近所のヤベーおじさんがヤゴやアメンボと仲良く泳いでたら、何かヤバそうな怪物に齧られて死んでいたのが発見されたんだ!」
「いつもの推理も何もない、バカミス以下の怪異話~? でもでも、そもそも被害者が怪異で逮捕案件だよ~! 齧って退治してくれた怪物に感謝状送りたいレベルだよ~」
「僕もそう思うけど、一応死人が出てるからね。警察も割とどうでもいいのと怪異系で本気で捜査するにはビミョ~だから、僕みたいな小学生探偵が駆り出されてきてるわけだけど……そら来た!」
突如、プールのコケが真ん中ら変に集まったと思うと、海坊主的なデカイ化け物と化した!
「ウォオオオオオ!! 腹減ッタ食イ物寄越セー! コノ間ノスク水オジサンハキモイシマズイー! オ前ラハ美味ソウダナー!!!!!」
「キャ~! 海坊主? プール坊主?よくわかんないけどそんな感じの化け物のご飯にされちゃうよー! 助けて共作ちゃーん!!!」
「なんの! 博士の大発明炊飯器で真心こめて小雪ちゃんが炊いてくれたご飯+ご飯のお供セットを喰らえ!」
共作が味付け海苔とか梅干しとか昆布とか混ぜて、お茶碗を二つ重ねてゴトゴトして作ったおにぎりを怪物の口に投げると、怪物は頬を抑えて笑顔になった。
「ウマイ……ウマイ!! ナンテ美味シインダ~!!!」
「だろ? いくら存在価値がない、いるだけで気持ちが悪い、スク水とパンティを装着して無許可で小学校のプールで泳いでいたキッショイおじさんでも、人間を食べたらいけないよ。この炊飯器をあげるから、もう人間は食べちゃダメだよ、あと夏になったら海に帰ってね」
「承知シタ……コレカラオレノ主食ハコシヒカリ……ササニシキ……」
かくして、博士の大発明と小雪ちゃんの愛情と、共作のゴトゴトおにぎりで事件は解決した! しかし、また次の事件が共作を待っている! 頑張れ共作! 学校の勉強がおろそかにならん程度に。