遊園地ゾンビ量産事件(お題 黒猫/落葉/封筒)
ここはクソミステリー世界!今日もクソミステリー世界で、三須照小学校五年生の米田 共作君は、ベタベタな探偵帽を被り、どこで買って来たのか、ウンコ型棒キャンディーをしゃぶりながら、クソミステリーに挑む! こんな念押しコピペ文章まで一応目を通してくれる君はきっと今日も明日もあさっても良い事が起きる!
「というわけで、今日は入った人がゾンビになって出て来るとウワサになっている、遊園地のお化け屋敷を調査しに来たわけだけど」
「ジェットコースター楽しかったね、共作ちゃん!」
こいつら、頭に米田市内遊園地のマスコットイメージの、ネズミ耳カチューシャなんかお揃いでつけててバカップル丸出し。共作は探偵帽が本体みたいなもんなので、帽子の上からつけてやがる。
カチューシャの色はネズミ色。米田市内遊園地のマスコット・ネズ太郎君は、間違っても有名にはならんような、イモ臭い顔をしています。ハハッ↑と笑う世界一有名なネズミや、へけっ↓と首を傾げる有名ハムスターと一緒には並べません。地元民からして、「ああ、あのイマイチ可愛くない奴」と切って捨ててたりする。
「ねーねー、次は観覧車乗ろうよぉ」
「僕もついつい警察の経費で降りるからジェットコースター乗っちゃったけど、捜査が先だよ」
共作は極自然に小雪の手を引いて、お化け屋敷へ。
「キャー、共作ちゃ〜ん、こわ〜い!」
「ハッハッハ、どうせみんな作り物だよ小雪ちゃん」
ここぞとばかりに共作の腕にしがみつく小雪、ここぞとばかりに余裕で笑う共作。こいつら「唐突にお化け屋敷が爆発して死にました」って書いて殺そうかな。とか作者がイライラしながらスマホに向かって文章を打っていると、小雪の身体が本気で震えている事に共作は気がついた。
「そんなのちっちゃな頃から共作ちゃんと来てるから知ってるけど、グロい飾りが前に来た時よりエグいことになってるよ〜」
「へー、この時代遅れの旧式遊園地も改革を頑張ったのかな……ゲゲェ!もひとつオマケにゲゲゲのゲ!! こりゃ本当の死体じゃないか!!」
なんと、共作達が歩いている通路の両側を飾る死体達は、本物の人間だったのです!.あ〜ヤダヤダ、グロいグロい。
「キーヒッヒッヒッヒ! 驚いたか共作!」
「お前は! 悪の科学者Dr.マッド!」
ついに! ついに第1話から存在を匂わせていた悪の科学者が共作達の前に現れました! と言っても別に描写する必要がないくらいベタな悪の科学者です。ボッサボサの頭髪、モノクル(執事さんとかがつけてるやつ)、丈の長い白衣。ごくごく普通の、平凡なマッドサイエンティストです。
「こいつらは全員、ワシの可愛い部下達よ。めちゃくちゃ嫌がったが、ワシのゾンビ軍団の材料になってもらった」
「ええ〜! 可哀想〜!」
「可哀想になんか思わなくていいよ、小雪ちゃん。しょせんは悪の組織だし」
「でもでも共作ちゃ〜ん!特別性格が良くなくても、この光景は気分悪いよ〜」
「確かに悪趣味だよなぁ。もっとエコロジーな素材使って人造人間とか作ればいいのに。名前の通りの悪のマッドサイエンティストなのは良いとして、なんか部下を材料にするとか割に合わなすぎて、頭の根本的な部分がすごく悪そう」
「貴様ら、言わせておけば!」
Dr.マッドが壁のよくわかんないレバーを引くと、よくわかんないエネルギーが哀れな下っ端の死体に注入され、よくわかんないうちに動き出した。
「え〜ん! 私の共作ちゃんの煽り力が高すぎてマッドだかドアマットだかわかんないおじさんが怒った〜!」
「怒った怒った〜! こりゃ大変だ〜! 小雪ちゃん、逃げよう!」
小学生って感じのノリで、Dr.マッドを囃し立てながら逃げる共作達だが、ゾンビ達に取り囲まれてしまった。大ピンチ!
「共作ちゃ〜ん! 時計型ミサイルは〜?」
「メンテナンス中なんだ! 今日届くはずなんだけど……来た!」
ゾンビ達の作った輪をかいくぐり、共作の元へヒラリと降りてきた影は、一匹の黒猫だった。口に封筒を咥えている。
「お疲れ、落葉」
「オチバちゃんって言うの〜? この黒猫ちゃん」
「いや、ラクヨウ。舞い落ちる木の葉のように身のこなしが良いから、そう名付けたんだ。最近ウチの庭をウロウロしてたから、餌付けして伝達係にした。そしてメタなボケはやめよう小雪ちゃん」
何故植物絡みの漢字の読みはややこしいのか? 銀杏はイチョウともギンナンとも読むし、紅葉はコウヨウでありモミジでもあるし。
「とにかくラクヨウのお陰でここを突破するのがラクヨーってね!」
時計型ミサイルを装着した共作は大体無敵! ってなわけでゾンビ軍団をミサイルで蹴散らし、小雪の手を引いて外に出た!
「よし、出られたぞ!」
「バカめ! 外に出たところで我がゾンビ軍団は地の果てまで追って来るわ!」
「そうだと思って! おりゃー!!」
ちゅどーん! 共作がお化け屋敷めがけて何発も時計型ミサイルを撃ったせいで、ゾンビ軍団ごとお化け屋敷は木っ端みじんになった。
「あーーーーーーッ!!! 何て事しやがる!! 遊園地のめっちゃ偉い人に賠償金要求されても知らんからな!」
「バーカ! お前が勝手にここでキモイ研究してたせいでここのめっちゃ偉い人に「老朽化も激しいし、ゾンビのウワサが耐えなくてキモいし、スタッフ全員避難させとくからテキトーに爆破していいよ」って許可貰ってるよ、も一つオマケにバーカ!」
「バーカバーカ、爆発オチなんてサイコー!!」
共作の妹分兼火事場見物好きの小雪は、むやみにはしゃいでいる。
「お前もマッドな研究くらい自分ちの土地でやれバーカ!」
「ほぎゃー!!」
ちゅどーんその2! Dr.マッドはお空の星になった。読者の皆さんご覧あれ、向こうの方にキラリと光る星が見えるよ……。
「今日も大活躍だったね共作ちゃん!」
「ああ、しかしまだミッションが残っている」
「ミッション? あ、観覧車乗るのまだだったね?」
「それもなんだけど……ラクヨウにゆでた鳥のササミ肉をあげないと。伝達した後はコレをあげないと不機嫌になるんだ」
というわけで、共作達は観覧車に乗った後(ラクヨウにはその間だけ待っててもらった、おりこう!)、自宅に帰って、鳥のササミ肉を茹でたとさ。一件落着!