動くぬいぐるみ事件(お題 ぬいぐるみ/カッター/温泉)
ここはクソミステリー世界!今日もクソミステリー世界で、三須照小学校五年生の米田 共作君は、ベタベタな探偵帽を被り、どこで買って来たのか、ウンコ型棒キャンディーをしゃぶりながら、クソミステリーに挑む!
「共作ちゃーん! お湯加減どう~?」
「なかなか良い感じだぞ、小雪ちゃーん」
今回妹分助手の小雪ちゃんと共作は、温泉旅行のペアチケットを商店街のくじ引きで当てたので、温泉に来ている。小学生だけでんなもん来ていいのか? まあ気にするな! クソミス、バカミスなんて、温泉と女子があれば良い!
「こっちもいいお湯加減だよ~」
知る人ぞ知る感じの温泉なので、歌詞きり状態。小雪ちゃんは、リボンで結んだツインテールがチャームポイントの女の子だが、女湯で温泉満喫中なので、今は長い髪を上げて一つにまとめてある。しかし名が体を表すがごとく、真っ白な肌の方がもっときめ細やかで美しく……ご時世も考えて、ここは各々の想像に任せときましょ。
「ところで共作ちゃ~ん、なんで女湯の脱衣所に、カッターを持ったクマさんのぬいぐるみがあるの~?」
「それはクソミステリーだからだ! いかん、小雪ちゃん、そいつ動いて襲って来るぞ!」
「うわーん、もう襲って来たよ~!」
「小雪ちゃん!! 今行くぞ!!」
共作は塀を乗り越え、
「ド三流ホラーに出て来そうなクソ熊め! 喰らえ!! 探偵強化靴キーック!!」
こんな事もあろうかと履きっぱなしだった、博士の作った強化キックが繰り出せるシューズでカッターを持ったぬいぐるみのクマをお空の彼方へ蹴り飛ばした。これぞ叙述トリック! えっ? 違う?
「うわーん! 怖かったよー! ありがとー共作ちゃ~ん!」
ポロリ。
「あっ」
「あっ」
ちゃんと巻いてあった、小雪ちゃんの身体のバスタオルが、思い切り立ち上がった表紙にポロリと落ちてしまい、色んなものが丸見えになり──。
「きゃ~!!! 共作ちゃんのエッチー!!! お嫁に貰わなかったら許さないんだから~!!!」
「ゴメン、ゴメンって、貰うから、絶対貰う!!!」
共作は半ば強引に指切りげんまんをさせられたけれど、なんだか嬉しそうだったそうな。このリア充!