第9話
七不思議といっていますが1つしかないので一不思議になるのかな?
冬子「私たちと一緒に生徒会で活躍しましょう! 役員募集中でーす!」
冬丸「なにも朝からやんなくても……」
朝早くから冬丸と冬子は正門の前に立ち、登校する生徒に向けてビラ配りをしていた。だが誰も手に取ろうとしない。中には取ったビラを捨てる生徒もいた。
冬丸「おいおいおい、捨てることないだろ!」
女子「いらないもん」
冬丸「なんだと」
女子「なによ」
冬丸「こっちは朝から配ってんだ」
女子「それはそれはご苦労様~」
冬丸「なんだその言い方は!」
この時、喧嘩が勃発すると誰もが思っていた。そんな状況化で彼女の捨てたビラをララ美が拾った。彼女の後ろにはリリ子とルル香がいる。
ララ美「はい。どうぞ」
女子「いらないって」
ララ美「どうぞ」
女子「捨てといて」
ララ美「捨てる? これを?」
女子「そうよ。何か文句でも?」
ララ美「調子こいてんじゃねぇよ」
女子「えっ?」
ララ美「冬丸様が朝早くから配ってんだろ! 捨てるとはいい度胸してんじゃねぇか。あ!!」
女子「でっでも……」
ララ美「なんか文句でもあんのか!」
女子「すっすいません」
その女子はララ美の気迫に怖くなり、その場から立ち去ろうとした。その時だ。
ララ美「待ちな!」
ララ美がつかつかと彼女に近づきビラを渡した。そして言い放った。
ララ美「大事にしろ。わかった?」
女子「はっはい! 大事にします!」
ララ美からビラを渡された女子はすぐにターっと走り去った。その途中、彼女らにバレないようそっとビラをゴミ箱に捨てた。そんなことを知る由もないララ美はコロっと態度を変えてニッコリと笑顔で可愛く冬丸にビラを一枚頼んだ。
ララ美「一枚くださいな」
冬丸「どっどうぞ……」
冬丸は手をビクビクさせながらララ美にビラを一枚渡す。直後にララ美は先ほどまでの態度はなんだったのかと思わせるほどカワイイ仕草を見せた。急変したララ美に誰もが驚いたことだろう。ビラ配り終了後、冬子が冬丸に言った。
冬子「これで集まってくれるといいですね。って! いないし!」
冬丸はビラ配りが終わるや否や速やかに立ち去っていた。授業が始まるまで冬丸は夏男といつものように会話をしていた。内容はララ美のことだ。
夏男「絶対彼女、お前に気があるって」
冬丸「知ってるよ」
夏男「なんだわかってんだ」
冬丸「そりゃそうだろ。毎日のように変なことしてくるんだぜ」
夏男「ヤバいな」
冬丸「ヤバすぎるよな」
夏男「でもよくたえられるな」
冬丸「逃げ場ないだもん」
夏男「そうなんだ」
冬丸「でもさ」
夏男「なに?」
冬丸「ちょっとは楽しんじゃってる部分もあるかな?」
冬丸の一言にクラスメートの視線が集まった。冬丸と夏男は一瞬だけ彼女たちに注目されたことに焦りを見せる。
冬丸「俺、なんか変なこと言った?」
夏男「言った。それにしても物凄かったな」
冬丸「あっああ」
冬丸はララ美の行為を楽しんでいると言ったことが原因だとは思ってはいなかった。
冬丸「行くか」
お昼休み。冬丸は昨日の楽譜を返そうと1年生のところにやってきた。冬丸は冬子に聞けばわかるだろうと彼女がいるであろう教室に顔を出した。
冬丸「会長いるか?」
女子「あっ生徒会長だ」
冬丸「ねぇ1つ聞いていい?」
女子「なに?」
冬丸「あのさ」
女子「だからなに?」
冬丸「春夏秋冬子どこ?」
女子「誰それ?」
冬丸「誰って生徒会の副会長に決まってんじゃん」
女子「そんな子いたっけ?」
冬子「先輩じゃないですか」
冬丸「いたいた。邪魔して悪かったな。ありがとう」
冬丸は話しかけた女子のいる教室からスーっと身を引いた。話しかけられた女子はあれが我が校の生徒会長なんだと思ったことだろう。冬子が冬丸に言った。
冬子「あたしがいる教室は隣です」
冬丸「あっ間違えた!」
冬子「で?」
冬丸「なんだ?」
冬子「あたしに何の用ですか?」
冬丸「そうそうそう」
冬子が呆れる中、冬丸は秋美のいる教室を聞いた。冬子は秋美に何の用事か尋ねのだが冬丸は真相を語ろうとはしなかった。
冬子「怪しい。てかなんで秋美のこと知ってるんですか?」
冬丸「さぁそれはどうしてでしょう」
冬子「秋美になんの用か教えてください」
冬丸「どうしようかな」
冬子「じれったい。わかりました。呼んできます」
冬丸「サンキュー」
冬子は疑問が残る中、秋美を呼びに行った。冬丸は秋美はどんな女子なのかとなぜかノリノリでその時を待っていた。
秋美「あっあの」
冬丸「お前が秋美か?」
秋美「そっそうです」
冬丸「ちょっと話がある。来い」
秋美「えっええ?」
冬丸は秋美の手を引いてあるところに向かった。周囲の生徒たちは何事かとざわついている。冬丸は人気のないところで足を止めた。秋美は彼から何をされるのかドキドキしていた。冬丸が真剣な眼差しで秋美を見つめている。秋美は焦っているのか冬丸と目を合わせることができない。
冬丸「はい」
秋美「えっ」
冬丸「これキミのだろう」
冬丸が秋美に楽譜を渡した。秋美は楽譜を手に取るなり自分のものか確認する。
秋美「どうしてこれを?」
冬丸「昨日な、先生から音楽室の戸締りを頼まれてさ」
秋美「あっそれで」
冬丸「うん。楽譜を置いたままにすんなよ」
この時、冬丸は「放課後に鳴り響くピアノ」の真相を尋ねたかった。しかし、誰かに聞かれていたら彼女に迷惑がかかると思い聞かなかった。
秋美「あの!」
冬丸「ん?」
秋美「ありがとうございました!」
冬丸「おう」
秋美はピアノを弾いていた真相を聞かれなかったことにホっとしていた。
第10話へ続く




