第6話
第1章最後のおはなしです。
ミレニアム高校には3年生と1年生には男子生徒がいません。
リリ子「あ~っ生徒会長のヤツ~」
ルル香「マジむかつく。ねぇララ美」
ある日の登校中、リリ子とルル香は冬丸に対してムカついていた。今にも冬丸に怒りをぶつけたい気持ちだった。
ララ美「なんか変な感じ」
ルル香「えっ」
リリ子「どうしたの?」
一体、ララ美はどうしたというのか。ルル香とリリ子は顔を見合わせた。ララ美は話を続けた。
ララ美「今回のことはあたしたちが悪いワケで……」
ルル香「どうしちゃったの?」
リリ子「ララ美らしくないじゃん」
ララ美「あたしもいつもの自分らしくないな~って」
ルル香「ねぇちょっとアレ見てよ」
ルル香が指をさした先にいたのは夏男と春子だ。彼らは周囲を羨むほどイチャイチャしていた。ルル香はリリ子とララ美に冬丸たちにやった事をもう1度やろうかと持ち掛けた。だがララ美はもとよりリリ子もノリ気ではなかった。
リリ子「アイツに次なにされるかわかんないよ」
ルル香「え~」
リリ子「やるんなら1人でやりなよ」
ルル香「それはムリ」
ルル香とララ美は冬丸のことを恐れていたことを知ったリリ子は止む無く断念。後ろで彼女たちの標的にされかけていたこととは知る由もない夏男と春子はイチャイチャを止めることなく遠ざかった。F女3はぼんやりと彼らを見つめていた。すると後ろから歩いてきた女子生徒とララ美の肩がぶつかった。
ララ美「いたっ」
この影響でララ美はその場で尻餅をついた。それと同時に持っていた鞄の中身が散乱するなど酷い目に合った。ララ美と接触した女子生徒は「ぼーっとしてるからでしょ」と謝りもせず。一緒にいた生徒と嘲笑いながら歩き去った。
リリ子・ルル香「大丈夫?」
リリ子とルル香がしゃがんでララ美に寄り添う。不運に見舞われたララ美は厄日だと悲しそうにしていた。そんな彼女の元へ冬丸が現れた。
冬丸「ほいほいほいっと」
リリ子「あーっ!」
ルル香「生徒会長!」
冬丸「おはよう」
冬丸はララ美の鞄から出た教科書などを素早く片づけた。そして不運に見舞われた彼女に渡す。ララ美は冬丸の顔を見て呆然としている。
冬丸「はい」
ララ美「……」
冬丸「立てるか?」
ララ美「……」
冬丸「足、怪我したのか?」
冬丸が話しかけてもララ美は何も言わない。そんな彼女に冬丸は言った。
冬丸「そんな顔してるとカワイイ顔が台無しだぞ」
ララ美「えっ」
冬丸「怪我は? 保健室までおんぶしてやろうか?」
ララ美「ううん。大丈夫」
冬丸「そうか。よかった。じゃっ遅刻すんなよ」
そう言うと彼はタッタッターと走り去った。ララ美はそのままの状態で冬丸の背を見つめていた。
ララ美「……」
ルル香「大丈夫?」
リリ子「ララ美?」
ララ美「可愛いって言われた」
リリ子「なにアイツ」
ルル香「かっこつけちゃって」
ララ美「あたし……あいつのこと好きになっちゃったかも」
ルル香・リリ子「エッ!?」
今まで口にしたことのない言葉を発したララ美にルル香とリリ子は衝撃を受けた。彼女に惚れられた冬丸は今日もいつも通り。なんら代わりなく。いつもの学校生活を送っていた。
夏男「お前やるなぁ」
冬丸「かっこよかったろ?」
夏男「格好イイっつうかコワかった。みんなもそう思ってんじゃね」
冬丸「そう思われても仕方ねぇよな」
冬丸がガチギレした全校集会後、誰も噂はしなくなった。その理由はみんな冬丸に酷い目に遭わされるかもしれないと思っているからだ。その日の生徒会室にて。
冬子「噂なくなりましたね」
冬丸「これで安心だな」
冬子「はい。先輩!」
冬丸「ん?」
冬子「ありがとうございました」
冬丸「おう」
冬丸がニッコリ笑顔を見せると冬子がクスっと笑った。その瞬間、生徒会室が和やかになった。その翌日、冬丸が学校に姿を見せるなりF女3に囲まれた。冬丸は復讐をされるのかとドキドキしていた。
冬丸「なんだ?」
冬丸がF女3に向けてファイティングポーズを見せた。するとルル香とリリ子が冬丸にこう言った。その頃、ララ美は冬丸を見れず。恥ずかしそうにしていた。
ルル香「あんたのせいだからね」
リリ子「責任とりなよ」
冬丸「責任って?」
リリ子「ララ美、頑張って」
冬丸「どうしたの?」
ルル香「ほら〜ララ美〜」
冬丸「??」
リリ子「じゃっ」
ルル香「あとよろしく」
冬丸「よろしくって……」
冬丸が不思議そうにしているとルル香とリリ子がサッとその場から離れた。その場に残った冬丸はララ美の熱い視線をジワジワと感じとる。そして冬丸が遅る遅るララ美を見た。ララ美が冬丸をどう料理してやろうかと言わんばかりに目をギラギラさせている。
冬丸「どっどうしたの?」
冬丸はララ美に恐怖を感じ、ブルブル震えはじめた。そんな彼にララ美がラブラブ光線という名のハートを幾つも放った。
冬丸「ぎゃーっ!」
ドドドドドとハートが冬丸に突き刺さる。白目を向いた冬丸のもとへララ美が瞬間移動でもしたかのように目の前にやってきた。そして冬丸をこれでもかという力で抱きしめた。
冬丸「ギャーっ!」
ララ美「サイコー! きゃーっ!!!」
冬丸「なんじゃこりゃーっ!!!」
周りの生徒や教員たちが何をしているんだと2人に注目する。そんなことを気にはせず。ララ美が冬丸の耳元で優しくこう言った。
ララ美「冬丸様のおかげで私、目が覚めました」
冬丸「ふっ冬丸様!?」
ララ美はキャハっと恥ずかしそうに両手で顔を覆い、ビューっと走り去った。彼は解放されたのだが心臓のバクバクが止まらない。そんな彼にララ美が振り向きざまに小さなハートを送った。
ララ美「キュンっ」
それは徐々に巨大化していく。
冬丸「ぎゃーっ!!」
冬丸は巨大化したハートにプチっと潰された。それを見届けたララ美は嬉しそうにはしゃいでいた。その一方でリリ子とルル香は彼女の行動に引いていた。その一部始終を園子は校長室で見届けるなり笑みを浮かべていた。そんな彼女に珈琲谷が話しかけた。
珈琲谷「校長」
園子「なに?」
珈琲谷「全校集会で生徒会長がした行為についてですが」
園子「迫力あったね」
珈琲谷「この件に関して生徒会長、春夏秋冬丸を処分します」
園子「どうして?」
園子が専用の椅子に腰かけて珈琲谷の目を見て言った。
園子「解決したんだからいいじゃない」
珈琲谷「しかし!」
園子「教頭先生」
珈琲谷「はい」
園子「処分は致しません。これは校長の命令です」
珈琲谷「かしこまりました。校長は今回の生徒会長の行動を評価するということでよろしですね」
園子「そういうこと。生徒会長の勇気ある行動を評価しま~す」
第1章が終わりました。
これから2章、3章と展開していく予定です。それまでしばしお待ちください。
珈琲之助