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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
お昼休みを奪われてしまった生徒会長
55/55

第55話

冬丸が帰宅すると父と妹が2階で言い争いをしている声が聞こえてきた。台所から母の「おかえりなさい」の声が聞こえた。冬丸は「ただいま」と言ってマイルームへ向かった。


冬丸「ドアを閉めてもうるさい」


このとき冬丸はこの状況がいつまで続くんだと頭を抱えていた。明日も多分、お昼休みはなく放課後にお弁当を食べることになるだろう。そして家に戻ると妹と両親による口喧嘩が毎日のように聞くことになる。そう思うと段々と腹が立ってきた。


冬丸「!!」


冬丸はマイルームを出て扉を思い切り閉めた。部屋の外から自分が今、どのように感じているのか。思いをぶつける冬丸の声が聞こえてきた。部屋に戻った彼は静かに深呼吸をして壁にそるように腰を下ろした。あまりの衝撃だったのかそれ以降、妹が両親と喧嘩をする声が聞こえることはなくなった。


理事長「推しショックで休職中の購買担当の職員を明日、復帰させなさい」

園子「しかし」

理事長「これは命令です」

園子「ですが」


伊藤学園の理事長がミレニアム高校を訪問した。来てそうそう理事長が購買について園子に命じた。しかし、彼女はいきなり担当職員を明日の復帰させるのは厳しいのではないかと言った。だが理事長は考えを曲げることはなかった。


理事長「これ以上、休ませるわけにはいかない」

園子「わかりました」


園子は理事長の命令だと大至急、担当職員に連絡を入れた。その後、理事長が生徒の復帰について言及した。園子は放課後にミペアを含めた話し合いで冬丸が提案したことを伝えた。その案に理事長は興味を示していた。それからしばらくして……。


冬丸「推しショックで欠席中の生徒の皆さまへ」

夏男「欠席した分の授業を補講として受けていただきます」

ムメモ「補講は通常の授業後に実施予定です」

女子1「この補講は必ず受けていただきます」

女子2「受けない場合は留年する可能性がございます」

女子3「尚、補講1コマにつき1万円を徴収いたします」

冬丸「但し、この期日までに登校した生徒につきましては無料で補講を受けていただけます」


冬丸の提案を園子が職員たちと数週間に渡り慎重に協議をした結果がミレニアム高校のホームページに載った。それに合わせて各クラスの担任が生徒に内容を確認するよう通知した。


ララ美「おはようございまーす!」

冬丸「ララ美さんおはよう」


数日後、あの告知をしたにも関わらず。未だ何も変わっていない。今日も冬丸はガラガラの電車に乗って最寄り駅に降り立った。そして今の時間、誰もいない通学路を1人で歩いているところにララ美が声をかけてきた。


ララ美「冬丸様」

冬丸「なに?」

ララ美「ホームページ見ました?」

冬丸「見た見た」

ララ美「何も変わってませんね」

冬丸「だよねぇ。ホントどうなっちゃうんだろ」

ララ美「ねぇ」


と2人は今日も仲良く会話をしながら学校に到着した。門を通過後、いつものように御茶野たちに挨拶を済ます。そして冬丸とララ美が校舎へと足を運ぼうとした次の瞬間だ。遠くからミレニアム高校の生徒が大勢やって来た。冬丸たちはもとより御茶野たちも驚いている。


御茶野「何が起きたんだ」

冬丸「すげぇ」

ララ美「みんな来たー!」


生徒が大勢登校した光景を窓から眺めていた校長は絶大な効果が出たとすごく喜んでいた。しかし、教師にとってはこれからが大変だ。授業に加えて補講もしなければならないからだ。


珈琲谷「ほとんどの生徒の登校が確認されました」

園子「よかった~。ホッとしたわ」

珈琲谷「大変なのはここからです」

園子「そうよねぇ」

珈琲谷「しかし未だ大量の生徒が休んでいる学校が幾つもあると聞きます」

園子「みんなウチみたいにすればいいのに」

珈琲谷「それはどうでしょう」

園子「でもよかったじゃない」

珈琲谷「ですが教師の負担が今日から増すことになります」

園子「通常の授業に加えて補講もしないといけないもんね」


それから次々と何かしら手を打つ学校が増え始めたおかげで休んでいた生徒たちが学校に行きはじめるようになった。冬丸の妹も登校し始めたある日の放課後、冬丸があることを思い出そうと必死だった。


冬丸「そういえばアレどうなったかな?」

冬子「アレってなんですか?」

冬丸「あれだよあれ」

冬子「アレ?」

冬丸「え~っとなんだっけ?」

冬子「あれってなに?」


それは以前、設置した手作り満載の目安箱だ。しかし、彼は思い出すことができない。冬丸は頭をフル回転させて考えた。一方、冬子は何のことか検討もついていない。


冬丸「あーっ!」


ついに目安箱を思い出した。冬子も忘れていたせいか「あぁ」となっていた。それはそうとどこに設置したのか2人とも覚えていない。あちらこちらと探し回った結果、生徒会室から少し離れた場所にポツンとあった。


冬丸「あったあった!」

冬子「手作り感満載の目安箱」

冬丸「生徒会室の前に置いたのにどうやって移動したんだ?」

冬子「それはそうと埃まみれ~」

冬丸「ボロボロだぁ」

冬子「ん?」

冬丸「どうしたんです?」

冬子「中になにか入ってる」

冬丸「え?」


冬丸が蓋を開けて中からある物を手に取った。それを見た瞬間、2人は目を疑った。一体、目安箱の中に何が入っていたのか。

第9章が公開されるまでしばらくお待ちください。

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