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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
生徒会長は抽選で選ばれました。
5/46

第5話

夏男やララ美、ルル香、リリ子に苗字がない理由。

それは苗字を出す機会がないからです。

冬丸「生徒会室! 到着~到着~」

ララ美「なにすんのよ!」


ララ美が生徒会室に入る前、冬丸に生意気な口を聞いた。すると冬丸がララ美の後ろに回りカックンをした。案の定、ララ美がバランスを崩す。


ララ美「ちょっと!」

冬丸「バランス崩したハハハ」

ララ美「調子のんな!」

冬丸「あ!」


冬丸がララ美たちを睨みつける。冬子は何をするのかと息をのんだ。F女3も冬丸に殺気のようなものを感じたのか素直に中に入る。冬丸は扉で腕を組んで仁王立ちにしている。冬子はF女3の近くにいたくないのか冬丸の隣に来た。ここから冬丸劇場が幕を開けた。


冬丸「よくも盗撮してくれたなぁ」

ララ美「フンっ!」

冬丸「暑かったろ」

ララ美「は?」

冬丸「熱中症とか大丈夫だったか?」

ララ美「はぁ!?」

冬丸「大変だったなぁ~うんうん」

ララ美「あんた大丈夫?」


ララ美がそう言うとルル香とリリ子が冬丸を嘲笑った。それをもろともせず。冬丸はジリジリと殺気を纏わりながらララ美と距離を縮めた。そして言った。


冬丸「お前らが拡散したおかげで俺は有名人だ」

冬子「せっ先輩?」

冬丸「今度の全校集会で俺はみんなの前に立つ。そこでお前らのことを話してやる」

ララ美「でっできっこないクセに!」

冬丸「できるよ。だって俺、コワいもの知らずだもん」


段々と冬丸のことがコワくなったのかララ美が動揺している。他の2人も新学期そうそうとんでもないことをしてしまったのではないかとオドオドし始めた。そしてララ美は冬丸に対して勘弁してと言わんばかりに白旗を上げた。


ララ美「許して! お願い!」


ララ美を皮切りにルル香、リリ子が謝る。何度も謝り続けた。冬子は彼女たちの謝罪を受け入れたのだが冬丸は違った。結局、冬丸は体育館で行われた全校集会にて舞台に上がり、演説台に立ってF女3の名前は明かさなかったものの予告通りのことをした。


冬丸「私と副会長は誰かわかりませんが一緒に帰宅している様子を盗撮され拡散されました。そして付き合っているのではと噂されています。尚、この話は学校から報告するよう指示された内容ではございません。急遽、変更してお届けいたしま~す」


予定にはないことを話し始めた冬丸に生徒や教員たちがザワついている。御茶野がやめるよう冬丸に迫る。しかし、彼は止まらない。


冬丸「私は自分で犯人を見つけました。そして! その生徒にここで話すと宣言しました!」

御茶野「春夏秋! 今すぐ止めて指示通りのことを話せ!」

冬丸「犯人は今頃、ビクビクしていることでしょう!」

御茶野「春夏秋! 聞いてんのか!」


生徒たちと教員が騒然とする。F女3はいつ自分たちの名前が出るのか物凄くドキドキしていた。冬子はいつもの定位置である演説台の後方にいた。冬丸は話を続ける。


冬丸「この騒動に関して噂を広めた犯人や生徒の皆さんに言いたいことがあります」


そう言うと冬丸は演説台に両手を置き、眉間にシワを寄せて周囲を見渡す。そして全ての人が冬丸に注目する。冬丸は全員に向けてこう言った。


冬丸「これ以上、噂をするのは止めて下さい。拡散するのも止めてください。お願いします」


冬丸は頭を下げた。今の彼を刺激すると何を仕出かすか分からない。その時だ。一部の生徒から笑い声が聞こえた。それは冬丸を嘲笑うかのようだ。それを彼が聞き逃す訳はない。


冬丸「誰? 今笑ったの? 誰だ!」


冬丸の一言に一瞬で笑い声が消えた。冬丸は怒りを抑えきれず舞台を降りた。そして嘲笑ったであろう生徒に直接文句を言おうとした。この予想外の行動に生徒たちはざわめき、悲鳴を上げている者もいた。だが御茶野を含めた教員たちに止められて大事には至らなかった。舞台に戻った冬丸はまだ怒っていたのか演説台を蹴った。


冬丸「文句があるなら正々堂々、直接に言いに来い! いつでも生徒会長! 春夏秋冬丸が相手になってやる!」


その音がマイクに乗せて全体に響き渡る。皆が衝撃を受ける中、冬丸は殺気立ちながら話を終えてその場を離れた。そんな冬丸が後ろにいた冬子に言った。


冬丸「すっきりしたか?」

冬子「……」

冬丸「どうした?」

冬子「えっえっと……」


冬丸の激に冬子はどうしていいのかわからなかった。彼女はこれで噂は治まるのか不安だった。冬丸が生徒の列に戻っている時、ララ美と目が合った。彼女は冬丸に怯えていたのかすぐに目をそらした。全校集会のあと生徒たちが体育館をあとにする中、御茶野が冬丸を呼び止めた。


御茶野「春夏秋」

冬丸「はい」

御茶野「着いて来い」

冬丸「……」


冬丸はこの時、御茶野の表情を伺うなり絶対怒られると思い、心が落ち着かなかった。御茶野が冬丸を連れて生徒指導室にやってきた。そこで彼は腕を組み、仁王立ちで冬丸に対して声を荒げた。


御茶野「自分が何をしたのか分かってんのか!」

冬丸「すいませんでした」


冬丸は少々不満げな様子で睨みつける御茶野を前に頭を下げた。それでも御茶野の怒りは続く。


御茶野「勝手なことをするな!」

冬丸「すいませんでした」

御茶野「なんだその言い方は反省してんのか!」

冬丸「……」

御茶野「黙ってないで何か言え!」


御茶野の強すぎる目力に下を向いていた冬丸が顔を上げた。そして冬丸は真剣な眼差しで御茶野に言った。


冬丸「こうするしかありませんでした!」

御茶野「なんだと」

冬丸「最初、この事件に関して何も気にはしていませんでした」

御茶野「で?」

冬丸「ですが副会長は違いました。だから生徒会長という立場を利用しました」

御茶野「だからと言って全校集会で勝手なことをして良いとは限らない」

冬丸「わかりました」

御茶野「なんだ」

冬丸「生徒会長をやめます」

御茶野「俺は全校集会で勝手なことをしたことに怒っているんだ」


御茶野は今回の事件をどう解決しようか教員の間で問題になっていたと冬丸に話した。


御茶野「そう言った意味ではよくやってくれた」

冬丸「ですが私は今回の責任を重く受け止め生徒会長を……」

御茶野「全校集会で勝手なことをしただけで生徒会長を辞めれると思うな」

冬丸「エッ!?」

御茶野「やっぱりな」


冬丸はこれを気に生徒会長を辞めれると思っていただけにショックだった。それと同時に御茶野を怒らすとコワいとも思った。だがいつも通りの学校生活が戻ってくるかもとホッとしたのも束の間。自分に文句のある生徒に襲われたらどうしようという不安もあった。

第6話に続きます。

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