第44話
ある日の放課後、睦月、如月、弥生が伊藤レイを犯人にするべくZ子を連れて職員室を訪れた。そしてZ子がイジメを受けていると教職員に報告した。彼らはこの学校でこんなことが起きていたのかと失望していた。しかも犯人が伊藤レイだったなんて……。
教職員1「伊藤レイさんが!?」
睦月たちの発言にみんな驚きの声を出した。あの伊藤レイが下級生をイジメていたなんてと職員室内は騒然としている。
教職員2「本当に伊藤レイさん?」
Z子「えっあっはい」
Z子は自信なさげに返事をした。その言葉に教職員の中には残念がる者や頼りにしていたのにと悔しがる者など誰もがレイに落胆していた。睦月たちは「ついにしてやった」と心の中ではかなりドキドキしていた。このことが覆されれば自分たちの身が危ない。しかし、伊藤レイを嫌っている3人はバレることはないと自信を持っていた。
Z子「あ~っやっちゃった」
誰でもこういうことはやりたくない。Z子は睦月たちの指示に従ってしまった自分を責めた。今からでも遅くはないと本当のことを言おうとしたのだが勇気が出ず。結局、自分をイジメた加害者は伊藤レイということになってしまった。
レイ「あたしが!?」
友人からイジメの加害者にされていると聞かされたレイは開いた口が塞がらない。なぜこの私がイジメの犯人に仕立て上げられなければならないのかとレイは信じられなかった。どうりで朝から視線を感じると思ったらこういうことだったのかとレイは思った。すぐにレイは居てもたってもいられず職員室に向かった。しかし、今は対応はできないと断られてしまう。
レイ「あたしはなにもしてはいません」
放課後、別室で校長を含めた数人の教職員から事実なのかと問われたレイはキッパリと「事実無根だ」そう答えた。だが中にはレイがやったと信じている者もいて中々、思い通りにはいかなかった。
レイ「その被害者と合わせてください。話をします」
レイはZ子に合わせてほしいと教職員に依頼した。しかし、Z子のことを考えて面会をさせる訳にはいかないと断った。何度もお願いをしたのだが加害者にされているがゆえに結局、面会は実現しなかった。丁度、そのとき睦月たちがいつもの場所でZ子に嫌がらせをしていた。
睦月「あとのことは自分でどうにかしてね」
如月「あたしたちには関係のないことだから」
弥生「よろしく」
Z子「……」
Z子がどうすればよいかと問いかけたが「知るか」と思っていたことを言われた。一方、レイは納得がいかないと理事長に会いたいと理事長室を訪れようとした。しかし、伊藤学園本部受付でアポを取らないと会うことはできないと言われてしまい実現には至らなかった。その日の生徒会室ではレイがイジメをしていた話題で持ち切りだった。
秋枝「珍しいじゃん。どうしたの?」
冬奈「えっあっなっなに?」
秋枝「あんたが黙ってるなんて珍しいなぁって」
冬奈「そっそうかな」
秋枝「なにか悩みごと?」
冬奈「……ちょっといいかな」
冬奈が秋枝という仲の良い生徒会の同期に誰もいない場所まで連れて行くなりある動画を見せた。その動画とは睦月、如月、弥生という生徒会トップ3がZ子をイジメている内容を隠し撮りしたものだ。それを見た秋枝が驚き焦る。
秋枝「今すぐ先生ところに行こ」
冬奈「待って!」
秋枝「どうしたの?」
冬奈「あのさ」
冬奈はこれを公開すると騒動になって睦月たちに次のターゲットにされたらどうするのかと秋枝に問いかけた。秋枝は物凄く迷った。報告すればZ子は睦月たちから解放される。しかし、決まった訳ではないが次のターゲットに私たちがなれば学校生活が終わったも当然だと秋枝は考えた。
秋枝「黙っとくつもり?」
冬奈「時がくるまでは」
秋枝「時がくるまで?」
冬奈「うん」
秋枝「その動画あたしにもちょうだい」
冬奈「えっ」
秋枝「コピーできるでしょ」
冬奈「どうして?」
秋枝「念のために」
冬奈「わかった」
秋枝は何を企んでいるのか。冬奈はとりあえず動画のコピーを秋枝に渡した。これにより証拠の動画は冬奈と秋枝の2人が所持しているということになった。秋枝は将来、会長の座を狙っている。この動画を教職員に渡せば確実に手に入れられるのではないかと思っていた。直ぐにでも持っていきたいところなのだが冬奈の言っていた報復のことを恐れてか実行することができないまま生徒会が始まった。
睦月「本日、伊藤レイ代表は欠席です。皆さんもご承知の事件の加害者ゆえに二度とここへは来ないかもしれません。また、これにより代表の座もおりていただきます」
睦月の発言に皆がざわめいた。冬奈と秋枝は犯人はレイではない。睦月たちが仕組んだことだと一緒に前に立つ如月、弥生を見つめながら思っていた。そこへ伊藤レイがやってきた。
レイ「あたしは何もしていない!」
学校から生徒会には顔を出すなと指示が出ているレイが現れたことに皆が驚いた。睦月たちが「違反だ」と言うもレイは「何もしていない」と言い続けた。すると生徒会の誰かが教職員を呼んできたのか。レイは彼らによって生徒会を退室することになった。それでもレイは「何もしていない」と聞こえなくなるまで言い続けた。
冬丸「なんか暇だな」
冬子「暇だなって何かしようとしてくださいよ」
冬丸「例えば?」
冬子「なんでもいいから」
冬丸「じゃあ冬ちゃんと話でもしようかな」
冬子「あたしは今、課題で忙しいので」
冬丸「お前それ家でやれよ」
冬子「いいじゃないですか暇なんだし」
冬丸「冬ちゃんも暇なんじゃん」
冬子「えっあっ」
結局、冬子も課題を除けばやることがないことが判明した。というか生徒会がこんなに暇で良いものなのか。ただ単にミレニアム高校生徒会がやる気がないだけなのか。多分そうだろう。
冬丸「生徒会というところはよ」
冬子「なんですか?」
冬丸「自習をするところじゃないんだよ。なにか自分たちで行動をだなって聞いてる?」
冬子「聞いてますよ~」
冬丸「そっそう」
冬子「終わったぁ」
冬丸「こんなんでいいのかねぇほんと」
冬子「ねぇ」
伊藤学園高校で騒動が起きていたなんて知る由もなく。ミレニアム高校生徒会は今日ものんびりとしていた。




