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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
他校の問題に口出しをした生徒会長
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第41話

ミレニアム高校生徒会一行は伊藤学園高校にまだ授業が残っているとは知らず。電車とバスを乗り継いで目的地に向かっていた。なぜか2人の機嫌が悪い。それは冬子が学園内にある停留所から3つ手前のバス停で降車ボタンを押してしまったことが原因らしい。


冬丸「なんで3つ手前のバス停から歩きなんだよー」

冬子「すいませんでした」

冬丸「間違えんなよー」

冬子「はぁ!?」

冬丸「あハ」

冬子「(額に青筋が浮き出る)」

冬丸「冬ちゃん冬ちゃん落ち着こう。はい、深呼吸して~。吸って~吐いて~吐いて~吐いて~」

冬子「あたしより爆睡していたのは誰ですか?」

冬丸「ニャ!?」


冬丸は今の冬子に刺激を与えるとどうなるのか興味が沸いてきた。だが、とんでもないことになったらと思うと勇気がでない。冬丸は彼女に向けたものではない愚痴を言った。


冬丸「学校まで遠いね」

冬子「……」

冬丸「あぁ遠いなぁ~にゃ~にゃにゃ~」

冬子「……」


さすがにこれ以上はと冬丸は思い、彼女に向けた発言ではないと念をおした。それでも冬子の機嫌は治らない。そこで冬丸は爆睡していたお詫びとして自動販売機でドリンクを買った。


冬丸「そんなにむくれるなよ」

冬子「あ~あっ」

冬丸「これね女子高生に人気だってよ」

冬子「いいんですか?」

冬丸「いいよ。冬ちゃん様にあげる」

冬子「ありがとうございます!」

冬丸「単純なヤツ」

冬子「何かいいました?」

冬丸「ミレニアム高校まで頑張って歩こう!」

冬子「伊藤学園高校ね」

冬丸「そうでしたハハハ」


冬子の爆発をなんとか回避することに成功した。そして歩くこと数分。ようやく伊藤学園高校に到着した。伊藤レイに会えると期待を胸にして2人が正門を通過しようとした瞬間、御茶野に似た厳格そうな警備員に止められた。


警備員「止まってください!」

冬丸「なにか?」

警備員「どこの学校の生徒ですか?」

冬丸「春夏秋冬丸です!」

警備員「名前ではなく学校名をお願いします」

冬子「ミレニアム高校です」

警備員「生徒手帳の提示をお願いします」

冬子「どうぞ」

冬丸「え~っとどこだ生徒手帳? 出ておいで~っとあったあった」

冬子「すいません」

警備員「いえ」

冬丸「どうぞ!」


冬丸の確認が済んだ後、警備員が何を目的に来校したのか彼らに尋ねた。冬丸は伊藤レイに会いに来たと言ったのだが彼は誰のことか難色を示した。


警備員「伊藤レイ?」

冬丸「そうレイちゃんです!」

警備員「少々お待ちください」

冬丸「俺たち間違えたんじゃないの?」

冬子「そんなはずは……だってほら」


冬丸は冬子が指さす方向を見た。そこには伊藤学園高校と書かれていた。ではなぜ警備員は伊藤レイのことを知らないのか。理事長の孫娘にも関わらず。


警備員「お待たせしました」

冬丸「理事長の孫なのになぁ」

冬子「ほんとですね」

警備員「よろしいですか?」

冬丸「よろしいですよ」

警備員「今、職員室に連絡をいたしました。職員の方から来校理由をもっと詳しく教えてほしいとのことです」

冬丸「そ~ね~、伊藤レイが俺たちに会いたがっている。どうですか?」

冬子「先輩違うでしょ」

警備員「お願いいたします」

冬丸「んーあっ! 俺たちミレニアム高校生徒会です!」

冬子「ちょっといきなり肩に手を回さないでください」

冬丸「なんで?」

冬子「セクハラ!」

冬丸「細かいヤツ~」

冬子「はぁ!?」

警備員「あの!」

冬丸「はいはい」

警備員「詳細をお願いいたします」

冬丸「生徒会の活動できました」

冬子「そうです。生徒会の活動です」


警備員は彼らが「生徒会活動の目的で来校した」と職員に内線で連絡をした。2人はやっと中に入ることができた。彼らは職員に案内された部屋で伊藤レイが生で見れるとウキウキドキドキしながらそのときを待った。


冬丸「なんか立派な部屋だね」

冬子「そうですね。ただの生徒なのにね」

冬丸「ケーキとか珈琲とか出てきたりしてぇ」

冬子「そんなことある訳ないでしょう」

職員「お待たせしましたー」

冬丸「もしかして伊藤レイさんですか?」

冬子「どう見ても違うでしょ」

冬丸「制服着てねー」

冬子「すいません。このバカが調子に乗って……」

冬丸「バカはねぇだろうよ」

職員「もう少しお待ちください。その間、これをどうぞ」


本当にケーキと珈琲が出た。2人はこんなおもてなしを受けて後で恐ろしいことが起きるのではないかと心配になった。職員が退室した後、冬丸が豪華なケーキを食べようとした。それを冬子に止められ彼は疑問符を何個も頭上に浮かべた。


冬丸「監視されてるって?」

冬子「ドラマでよくあるじゃないですか」

冬丸「そうだった!」

冬子「ねっだからここはちゃんと待ちましょう」

冬丸「って! そんなバナナ」

冬子「え~だって」

冬丸「では実食!」

冬子「待った!」

冬丸「うっ!」

冬子「先輩!?」

冬丸「め~。ほっぺが落ちる~」

冬子「……」

冬丸「食べないんだったら俺が食べてやる」

冬子「ダメです」


2人は美味しいケーキと珈琲を堪能している。そんな幸せなひと時がある人物の登場で緊迫した空気に一変した。


冬子「……」


冬子は緊張しすぎて物凄くガチガチだ。一方、冬丸は多少の緊張感はあるがガチガチではない。机にはケーキをキレイに食べ終えた後の皿と空の珈琲カップがある。彼らの向かいに満面の笑みで理事長が腰掛けている。


理事長「あなたが生徒会会長の春夏秋冬丸くんね」

冬丸「はい、そうです!」

理事長「お隣のあなたは副会長の春夏秋冬子さんね」

冬子「はっはっはっはい! はっ春夏秋冬子! でででです!」

理事長「緊張させてしまってごめんなさいね」

冬子「とんでもごっございません! はい!」

冬丸「会長、緊張しすぎ。いつもはこんなんじゃないんです。すいません」

理事長「いいんですよ。1つ聞いていいかしら?」

冬丸「なんでも聞いてください!」

理事長「あなたたちは兄妹なの?」

冬丸「はいそうですじゃなくて違います! 全くの赤の他人でございます」

理事長「そうね。似ていないものね」

冬丸「はい」

理事長「それとあなた」

冬丸「えっ?」

理事長「さっき、副会長のことを会長って言っていたけれど……」

冬丸「あだ名でございます」

理事長「あだ名。面白いわね」

冬丸「春夏秋冬子は将来、生徒会長いや生徒会連合代表を目指していますので会長と呼ばせていただいております!」

理事長「あらそうなの」

冬子「生徒会連合代表目指してるなんて言ってない!」

冬丸「そうだっけ?」

冬子「もーっ失礼でしょう」

理事長「仲がよろしくて何より」


理事長は微笑んだ。それと同時に堂々と答える冬丸に感心していた。しかし、どうして理事長が彼らに会いに来たのか。それは時間が持て余していたからである。肝心の伊藤レイはというと授業の最中だ。彼らがレイに会えたのはその後すぐのことだった。帰りの電車内で帰る方向が同じの2人は横並びで座っていた。


冬丸「配信通りの人だったな」

冬子「……」

冬丸「まぁ俺的には生の方がよかったかな」

冬子「……」

冬丸「お?」


冬子がそっと冬丸の肩に寄り掛かった。見ると気持ちよさそうに眠っているではないか。なんだか雰囲気が良い。冬丸は目的地に着くまでそっと静かにしていた。周りの人から恋人みたいに見えているかもしれない。

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