第36話
伊藤学園とは冬丸たちが通うミレニアム高校を含め、4つの高校と3つの中学校を運営する学校法人である。ちなみにミレニアム高校以外は女子校である。そんな伊藤学園には生徒会連合なるものが存在する。それは4つの高校の生徒会から成る組織だ。長は代表といい、生徒会長の上に当たる。現在は伊藤レイという理事長の孫娘で園子の姪が務めている。
レイ「なんだって!?」
ある日、伊藤学園高校と同じ敷地内にある理事長室にてレイが理事長からミレニアム高校に生徒会があることを知らされた。
理事長「ということだからよろぴく」
レイ「なぜ!」
理事長「ん?」
レイ「なぜもっと早く伝えてくれなかったのですか?」
理事長「……」
なにか理由があるのか。理事長が深刻な表情を見せた。レイが様子を伺うと理事長は報告が今になった訳を重々しく語り始めた。
理事長「ある日、それは心地の良い日だった」
レイ「??」
理事長「私はその日、とても気分がよかった。それはなぜだと思う?」
レイ「えっと……」
理事長「ぐっすり眠れたから」
レイ「……」
理事長「そんな日に限って!」
レイ「どうしたのですか?」
理事長「昭太(理事長の夫)さんが……」
レイ「おじい様が? おじい様がどうされたのですか!」
理事長「豪華客船の旅に行かないかって! ヤダも~」
レイ「……」
理事長「でね船旅を終えて毎日のんびりと過ごしてたら~」
レイ「えっええ……」
理事長「ミレニアム高校に生徒会ができてたの~。だからミレニアム高校に行ってピッカピカに生徒会室を掃除してそりゃあも~まぶしくなるくらい!」
レイ「あぁ……ああ?」
理事長「そのあとすぐレイちゃんに言おう言おうとしたんだけどね……昭太さんが……」
レイ「おじい様がどうしたのですか?」
理事長「ぎっくり腰になっちゃって側にいてあげないとって思って。そしたら~今日になっちゃったって訳」
レイ「……」
理事長「レイちゃんごめんねぇ」
レイ「あっあの!」
理事長「なに?」
レイ「豪華客船のくだりいります?」
理事長「いいじゃない~思い出話」
レイ「そっそうですか」
理事長「そうだ! おこづかいあげよう」
レイ「なんですか急に! いりません!」
理事長「お詫びの印として。これで許してちょんまげ!」
レイ「……」
レイが一瞬だけ青筋を立てた。理事長は少々おふざけがすぎたかとこころの中で反省したもつかの間。ミレニアム高校に生徒会があるからとレイに満面の笑みを見せた。それからレイは奥歯をかみしめながら理事長室を出た。
レイ「ああ見えてかなりのやり手なのよね」
レイはそうつぶやくと授業があるからと教室に戻った。その日の放課後。ミレニアム高校で今日も冬丸はララ美にラブラブ光線を受けていた。ララ美から放たれたハートがドドドドドっと大量に冬丸に突き刺さる。流石の冬丸もやられ続ける訳にはいかないと顔の前に腕でエックスを作りララ美の攻撃を回避した。すると次の瞬間だ。
ララ美「ハーっ!」
冬丸「ノー!」
ララ美の一言でラブラブ光線が一層勢いを増した。回避することができなくなった冬丸は大量のハートに押し潰され、白目を向いた。
ララ美「やったー!」
冬丸「やられた」
ララ美「冬丸様」
冬丸「なに?」
ララ美「毎日付き合ってくれてありがとうございます」
冬丸「いやぁそれほどでもハハハ」
ララ美「もう! 冬丸様ったら!」
冬丸「ハハハハハ……キター!!」
冬丸は言わなければよかったと後悔した。それは巨大なハートにプチっと潰されたからだ。丁度その頃、伊藤学園高校の視聴覚室にて「伊藤学園生徒会連合定期ウェブ会議」の準備が行われていた。全員が指定された席に座る。机には1人1台タブレット端末が置かれている。数分後、タブレット端末に伊藤学園高等学校、マロン高等学校、京都浪漫高等学校、各校の会長と副会長、計6名が個々に映し出された。画質は鮮明で誰がどのようにどのような感じで参加しているのかしっかりとわかるようになっている。この会議に参加できるのは生徒会長と副会長なのだが伊藤学園高校のみレイを含めた7名全員が参加している。
睦月「出席をとります」
レイが来る前、睦月が役員たちに言った。彼女たちは緊張した面持ちで彼女を待っている。レイが入室すると彼女たちがレイに向かって一斉に「お疲れ様です!」と威勢の良い挨拶をした。レイはクールにお疲れ様と一言言い、皆の前に立ち着席の合図をした。レイが睦月たちを見渡す。そして緊張が走る彼女たちにレイが重大なことを口にした。
レイ「本日、伊藤栗子理事長よりミレニアム高校に生徒会が存在するという報告をいただきました」
レイの一言に皆、ざわめいた。レイが教卓を両手で叩くと静まり返る。レイは全体を見渡した後、皆に言った。
レイ「もう少しするとミレニアム高校の生徒会が参加する予定です」
また会場内がざわめいた。どのような人物が現れるのかという理由からだ。とそのとき伊藤学園高校生徒会の下っ端である春夏秋冬奈という女子生徒がレイにこんなことを聞いた。
冬奈「ミレニアム高校の生徒会長ってどんな人なんですか?」
睦月「!?」
冬奈が許可なく発言した。これはやってはいけないことの1つであり、睦月たちに衝撃が走った。しかし、冬奈はこのことを忘れていたのかキョトンとしていた。そして周りをキョロキョロする冬奈にレイが口を開いた。
レイ「あなたの名前は?」
冬奈「春夏秋冬奈です」
レイ「春夏秋さん、よろしくね」
冬奈「よろしくお願いしまーす!」
レイ「仲良くなりそうね」
レイが不気味な笑みを浮かべた次の瞬間、睦月を睨みつけた。彼女に緊張が走る。ほかの役員たちにもレイの雰囲気が伝わり言葉を失っている。
冬奈「仲良くってあたしと友達になりたいんですか?」
レイ「……」
冬奈「黙りこんじゃってカワイイ」
レイ「どうも」
冬奈「どうもで~す」
レイ「フフフ」
レイが冬奈に笑みを見せたあと直ぐ、また睦月を睨みつけた。睦月は冷や汗が止まらず。倒れそうになっていた。そんな彼女を側にいる役員たちが必死にフォローした。当然、冬奈は何も気にはしていない。




