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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
生徒会長と代表
35/55

第35話

御茶野「春夏秋!」

冬丸「会長、呼ばれてるぞ!」

冬子「(無視)」

御茶野「俺はお前に話しかけているんだ」


御茶野が睨みを効かせてズンズンと冬丸の目の前にきた。彼は何をしたのですかと御茶野に問いかけた。御茶野は言った。


御茶野「今からお前の噂について話しを始める」

冬丸「俺ほんとヤバい動画なんて見てません! はい!」

御茶野「じゃあ証拠を見せろ」

冬丸「証拠って……犯罪犯したみたいじゃないですか」

御茶野「つべこべ言うな」

冬丸「先生、この噂は誰かが勝手に言い出したことで……」

御茶野「証拠を見せろと言っている」

冬丸「……」

御茶野「今ここで何も進展がないと噂は本当ということになる」

冬丸「勘弁してくださいよ!」

冬子「証拠見せりゃいいだけじゃん」

冬丸「そう言うけどさ~」

御茶野「なんだ?」

冬丸「夏男に聞いてからでもいいですか? お願い!」

御茶野「なぜだ?」


冬丸は夏男と相談したい。自分だけの判断では明かすことはできないと言った。御茶野は眉を顰め、難色を示していた。冬子は本当のことを中々話そうとしない冬丸に呆れていた。冬丸は目線を下にして御茶野と目を合わさないようにしていた。段々と御茶野から殺気を思わせるような気がジリジリと伝わってくる。そのとき冬丸はあることを思いついた。


冬丸「そうだ! 本当のこと言わなきゃいいんだ!」


冬丸は何の動画を見せようか考えた挙句、カワイイ動物に決めた。冬丸は誰にも悟られないよう慎重にスマートフォンを素早く操作をして彼らにそれを見せた。


冬丸「これです」

御茶野「なぜ白状する気になった?」


このとき御茶野は彼を疑っていた。なぜなら先ほどまで戸惑いを見せていた冬丸が急に明るくなったからだ。冬丸はここで焦ってはバレてしまうかもしれない。そう思い深呼吸をして冷静になった。


冬丸「隠していても何も始まらないと思い明かすことに決めました」

御茶野「そうか。そういうことか」

冬丸「はい」


その後、御茶野が生徒会室から出ようとしたそのときだ。御茶野が冬丸に念を押した。それは嘘だった場合に対することだ。冬丸は本当ですと最後まで自信満々に演じきった。そしてなんとか乗り切ることに成功した。


冬丸「ふ~」

冬子「先輩」

冬丸「なに?」

冬子「まさか先輩がカワイイ動物好きだなんて以外でした」

冬丸「そっそうかなハハハ」

冬子「嘘じゃないですよね?」

冬丸「嘘じゃないよ!」

冬子「そうですか」

冬丸「なっなんだよ!」

冬子「別に~」


この会話を御茶野は廊下で聞いていた。彼は軽く頷き冬丸を信じることにして職員室へ戻って行った。冬子が彼を疑った理由。それは春子から夏男が動物に興味がないと聞かされていたからだ。しかし、急に興味を持つこともあるとして冬子はさほど気にはしていなかった。その日の夜、冬丸は自分の部屋で夏男と電話をしていた。話の内容は動画についてだった。


夏男「え!?」

冬丸「悪ぃ!」

夏男「なんで動物好きにしたんだよ」

冬丸「それしか思い浮かばなかったんだ」

夏男「マジかよ」

冬丸「仕方ないだろ。殺気立ってたんだから」

夏男「わかったよ」

冬丸「さすが夏男ちゃん。よろしく!」


電話を終えた夏男はため息をつきながら自分の部屋の天井を見上げた。


夏男「可愛い動物か……」


姿勢を正した夏男はスマートフォンで動画サイトにアクセスするなりカワイイ動物と検索をして動画をポッチっとタップした。すると意外や意外。ハマってしまった。気づけば2時間、3時間が経過していた。翌日、通学路にて春子と歩いていた夏男が冬丸を見つけるなり動画に興味を持ったことを告げようと走った。


夏男「冬丸―っ!」

冬丸「ん?」

ララ美「冬丸様―っ! おはようございまーす!」

冬丸「ララ美!」

ルル香とリリ子「朝から元気だねぇ」


冬丸はどっちを対応しようか夏男とララ美を交互に見た。とその時だ。ララ美が夏男の肩に当たった。その瞬間、夏男がその場でクルクルと回転した。春子が大回転する夏男を止めた。彼はフラつきその場に尻もちをついた。


ララ美「おはようございます!」

冬丸「おっおはよう」

ララ美「どうしたんですか?」

冬丸「いっいや……あっあれ」

ララ美「やだも~!」

冬丸「ははは……」

ララ美「ねぇ冬丸様」

冬丸「なに?」

ララ美「あの噂って……エッチな動画でしょう」

冬丸「違うよ!」

ララ美「またまたまたーっ」

冬丸「ほんとに違うから!」

ララ美「え~」

冬丸「え~ってなんだよ」

ララ美「そういうお年頃ですもんね」

冬丸「なによそれ」

ララ美「行きましょう」

冬丸「おっおう」


ララ美が冬丸の手をギュッと握った。そして2人はなぜかスキップをしながら学校へ向かった。お昼休みのこと。


夏男「バレなくてよかったな」

冬丸「俺に感謝しろよ」

夏男「おう」

冬丸「ヒヒヒヒヒ」

夏男「フフフフフ」


校内の人通りが少ない場所で冬丸と夏男が例の動画を視聴していた。その専用サイトを開くと「この動画は中学生を含めた16歳未満は視聴できません」の文字が現れた。一体、彼らはどのような内容の動画を観ているのか。それは冬丸と夏男、2人だけのヒミツだ。

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