第33話
突如出現した教室で冬子が気を失う中、ハテナな女子が冬丸に声をかけた。冬丸が女子と目が合う。彼女はどこにでもいそうな女子だった。彼女は冬丸を見てにっこり笑みを見せた。
???「ようこそ!」
冬丸「誰?」
???「ようこそ!」
ハテナな女子が満面の笑みで冬丸を見ながら手を広げた。2度も同じことをするので冬丸が女子の真似をした。2人はしばらく変顔をしたふざけた。その光景はまるで遊んでいるようだった。
冬丸「なにやらせてんだ!」
???「あんたから始めたんでしょう」
冬丸「てかここどこだよ!」
???「ここは名も無き部」
冬丸「なに訳のわからねぇこと言ってんだ」
???「何部がいいと思う?」
冬丸「はぁ?」
???「何部がいい?」
冬丸「その前に会長に何をした?」
???「なに部がいいと思う?」
冬丸「俺の質問に答えろ」
???「答えて!!」
冬丸「……デ部」
???「ハハハハハハハハハっ」
冬丸「えっなになになに!?」
ハテナな女子が冬丸の回答に大爆笑をした。冬丸はその笑いが凄く不気味に感じた。今にも襲われるかのような感じだった。彼女が笑っているスキに冬丸は冬子と脱出しようと試みた。しかし、そう簡単にはいかなかった。
冬丸「どうなってんだ!」
???「何をしているの?」
冬丸「ここから出せ!」
???「ここから出たいの?」
冬丸「うぉ!」
いつの間にかハテナな女子が驚くほど素早く冬丸の側にきた。それでも彼は扉を開けようと必死だった。
???「いいよ、出してあ・げ・る」
冬丸「えっ」
???「ポイっ」
冬丸「あっ」
???「バイバーイ」
扉が開くと冬丸は放り出される感じで外に出た。安心もつかの間。冬子はまだ中にいる。冬丸は彼女を助け出すため扉を力強く叩いた。
???「せっかく出してあげたのに」
冬丸「その子も出してくれ!」
???「ヤダ」
冬丸「頼む!」
???「ベーっだ」
冬丸「なんだコノヤロー!」
???「ばいばーいチュっ(投げキッス)」
冬丸「……あっ会長!」
ハテナな女子が冬丸に投げキッスをして冬丸の顔が一瞬だけ赤くなった。冬丸が冬子の愛称を叫んだ次の瞬間、扉は跡形もなく消えた。冬丸はその場に立ち尽くした。そこへ騒ぎを聞きつけてP子とQ美がやってきた。
P子とQ美「彼氏さん? どうしたんですか!?」
冬丸「会長が……会長が……」
P子「春夏秋さんがどうしたの?」
Q美「春夏秋さん!」
Q美の目線の先に冬子がいた。それを目の当たりにした冬丸は会長と叫ぶなり側に来ては肩を揺さぶった。P子とQ美も彼女に声をかける。
冬子「んん?」
冬丸「今、保健室連れてってやるからな」
冬丸はP子とQ美に手伝ってもらい冬子を担いだ。そして保健室まで大急ぎで向かう。彼のその姿に2人は感心していた。その後、保健室にてまだ目を覚まさない冬子を前に冬丸が御茶野たちに事情を聞かれていた。
冬丸「会長の様子がおかしくなって」
御茶野「それで?」
冬丸「俺も止めたんです! でも……」
御茶野「副会長は中に入ってしまった」
冬丸「入るとき副会長に手を掴まれてしまって」
御茶野「お前も入ることになった」
冬丸「はい」
御茶野「そうか」
冬丸「もしかして嘘だと思ってます?」
御茶野「ああ」
冬丸「信じてください!」
御茶野は呆れ、保健子も彼の発言を信じようとはしなかった。それからすぐ冬子が目を覚ました。体調に問題はなく、彼女もまた冬丸と同じことを話した。2人揃って同じ話をしたのだが御茶野と健子は信じようとはしなかった。
冬丸「信じてください!」
御茶野「ムリ……かな」
冬子「そんな」
御茶野「で部活動調査は終わったのか?」
冬丸「終わりました」
御茶野「そうか」
数日後、2人はあの部屋が出た場所にやってきた。また前みたいなことが起きぬよう壁であることを確認した上で当時のことを振り返った。
冬子「ここだ」
冬丸「今はただの壁……だよな」
冬子「そう……ですね」
冬丸「それにしてもあん時の会長、ホラーだったな」
冬子「そんなにコワかったですか?」
冬丸「もう不気味すぎて……」
冬子「あのとき自分でもどこに入るのって感じで……」
冬丸「無意識に入っちゃったんだ」
冬子「はい」
冬丸「なんだったんだろうな」
冬子「なんだったんでしょうね」
2人は扉が出現した壁をジッと見つめた。校長室にて珈琲谷が生徒会の体験話を園子に伝えた。珈琲谷は信じてはいなかった。
珈琲谷「副会長が気を失った原因は今も不明です」
園子「そう」
珈琲谷「全くなんというか」
園子「懐かしいな」
珈琲谷「校長?」
園子「生徒会長くんの言っていることは本当です」
珈琲谷「信じるんですか?」
園子「ええ」
珈琲谷「校長やめてくださいよ」
園子「実際に体験したんですけど」
園子は珈琲谷に校長就任直後の出来事を話した。それは壁に突如、扉が現れたこと。中には何の部がいいか聞く女子がいたことなどその時の様子を事細かに説明した。そのような話をされると珈琲谷も信じるほかなかった。
園子「副会長さんが気を失ったのはそれが原因です」
珈琲谷「そういわれましても……」
園子「信じるの? それとも信じないの?」
珈琲谷「いや、それは……」
園子「私は信じます」
珈琲谷「教職員にはなんと話せば……」
園子「私が話します」
校長は誰がなんと言おうと生徒会のことを信じる。そう断言した。その後、校長が実際に体験したということで冬子が気を失った原因は突如、現れた扉のせいであるということになった。深夜、誰もいない学校の片隅でまたあの扉が出現した。
???「なに部がいいと思う?」




