第3話
ここで校長の母である理事長が登場します。ですが彼女には名前を設定していません。
その理由として今のところあまり登場しないからです。
冬丸「掃除しろとか言われたりして」
放課後、薄暗い廊下を奥へ奥へ進むと生徒会室がある。冬丸は面倒くさそうに扉を開けた。彼とほぼ同時に重なり合うように清掃員の恰好をした年配の女性が姿を現した。冬丸がびっくり仰天するなり尻餅をつく。そんな彼に女性は言った。
女性「夢がかなって嬉しいわ。中、掃除しといたからね。頑張って!」
冬丸「どっどうも」
女性はテンション上げ上げで飛び跳ねるように走り去った。あの女性が理事長だとは知る由もなく冬丸はお尻の汚れを払ってから中へ入る。その瞬間、眩しい光が冬丸を襲った。
冬丸「うわぁ!」
ピカピカな教室に驚きつつ真ん中にポツンとある席に冬丸は腰掛けた。何分経っても誰もきやしない。冬丸はお昼だと食事を始めた。母親お手製の弁当をガツガツと食していく。
冬丸「メシ食ったら帰~ろっ」
1人でいるのも空しいので勝手に帰宅することに決めた。そうなれば誰かくれば厄介なので食事のスピードを速めた。そしたらむせた。
冬丸「やっべっ」
死ぬところだったと冬丸は反省し、食べるスピードを通常に戻す。すると最悪にも御茶野がやってきた。
御茶野「食べ終わったらでいい。今後の活動について話そう」
冬丸は一瞬だけ嫌な顔をした。できればこのまま食べ続けたいと思いながら冬丸は食事を終えた。
御茶野「おし! では生徒会の今後の活動について話す! まずは……」
御茶野が気合を入れて話を進める。そんな中、冬丸は満腹で眠いのかコクンコクンと頭を揺らしている。御茶野がそんな冬丸を見逃す訳はない。彼が冬丸に向けて暑すぎる視線を送る。
冬丸「寝てない寝てない! 頭揺らしてただけです! ホントうん!」
御茶野「それをなぁ言い訳って言うんだ。覚えとけ」
冬丸「はい。あの先生」
御茶野「なんだ?」
冬丸「俺が生徒会長で本当にいいんですか?」
冬丸が生徒約1000人の代表的存在で本当にいいのか御茶野に聞いてみた。
御茶野「いいんじゃないか。抽選した結果が春夏秋だったということだ」
冬丸「なんか心配だな~」
冬丸は呆然として御茶野の話をひたすら聞くこと約10分。冬丸は瞼を閉じていた。
御茶野「俺も心配だよ」
御茶野は居眠りをする冬丸に向けて静かに呟いた。と次の瞬間、大きな音を立てて扉が開いた。余りの音に冬丸が椅子ごと倒れた。
冬子「生徒会に入れてください!!」
冬丸が痛い尻を両手で押さえながら飛び跳ねている。そんな彼はさておいて御茶野が冬子の対応に当たった。
御茶野「名前は?」
冬子「春夏秋冬子です!」
御茶野「あいつの名前を聞いてるんじゃない。君の名前だ」
冬子「えっ春夏秋冬子です」
御茶野「だか……ん?」
冬子「えっ」
冬丸「俺と一文字違い……痛って!」
御茶野「この子、お前の妹か?」
冬丸「ノー尻痛ぇ~」
ようやく痛みが治まった冬丸は席を元通りにする。御茶野が教卓で冬子の名前を見た瞬間、感心していた。
御茶野「こんなことってあるんだなぁ」
冬丸「どうしたんですか?」
御茶野「この子、漢字もお前と一文字違いだ」
冬丸「えっマジ! 名前なんて言うの?」
冬子「春夏秋冬子です」
冬丸「俺、春夏秋冬丸。よろしく」
冬子「苗字が一緒だなんて奇遇ですね。あたし冬子です」
冬丸「いや~一文字違いやなんて。俺、冬丸です」
冬子「冬子です」
冬丸「冬丸です」
冬子「冬子」
冬丸「冬丸」
御茶野の頭上に冬の文字がクルクル回っている。彼は気持ち悪くなってきたので教卓を両手でバンっと叩いた。
御茶野「もういいか?」
冬丸「俺、冬……あれ? 終わり?」
冬丸がそう言った後、冬子が椅子と机を隣に設置した。冬子が着席すると御茶野が言った。
御茶野「よし! 春夏秋!」
冬丸・冬子「はい!」
御茶野「お前じゃない」
御茶野が冬丸に言う。気を取り直して御茶野が冬子に言った。
御茶野「春夏秋冬子さんには副会長をやってもらいます」
冬子「ええ!?」
冬丸「いいねぇ!」
冬子「いきなり副会長ですか!?」
御茶野「ダメか?」
冬子「いいえ! 私、生徒会に入るのが夢で目標が生徒会長なんです! よろしくお願いします!」
冬子が嬉しさのあまり目をキラキラさせていた。御茶野も彼女のやる気に笑顔になる。それを見て冬丸がこんなことを言った。
冬丸「それだったら会長やりなよ」
冬子「いいですいいですいいです!」
冬丸「君のほうが似合うよ」
冬子「いいえ! あたしはまだ会長になる資格はありません。会長について行きます!」
冬丸「そっか。今日から宜しくな会長」
冬子「だからあたしは……」
冬丸「あだ名、会長な」
冬子「会長が副会長のことを会長と呼ぶ……まっいっか」
御茶野が冬子の言葉に静かにコケた。
冬子「先輩、宜しくお願いします!」
冬丸「よろしく」
この時、御茶野は思った。この2人ならやっていけるのではないかと。
冬子「生徒会って何をするんですか?」
冬丸「今日からだから俺も何がなんだかさっぱり」
冬子「えっ今日からなんですか!?」
冬丸「だってそうだろ。俺、今日の終業式で自己紹介してたろ」
冬子「本当だ」
冬丸「おいおいおい」
冬子「ってことは創設メンバーってことですよね」
冬丸「そうだね。えっ嬉しいの?」
冬子「はい!」
冬子は生徒会の創設メンバーになれたことで学校の歴史に名を残せるのかもしれない。そう思うとニヤニヤが止まらない。それを見て冬丸と男茶野は若干、引いていた。
第4話いってみよう。