第29話
ララ美「冬丸様―っ!」
その日の放課後、いつものようにララ美が冬丸に接近した。こととき彼は昼間のことで気が滅入っていた。ぼんやりとする冬丸はニコニコするララ美の顔をジーっと見た。1分くらい続いたのかララ美が恥ずかしそうにするも冬丸は目を離さなかった。
ララ美「どうしたんですか」
ララ美が語尾にハートマークを付けて言った次の瞬間だ。冬丸が「!!」と目を大きく見開いた。そして冬丸はララ美の肩に両手を添えた。それはまるで冬丸がララ美に告白でもしようかという感じだった。
ララ美「冬丸様」
ララ美はついにその時がきたのではないかとドキドキが止まらない。冬丸にそのようなつもりは一切ないのだが……。しかし、ララ美は今か今かと興奮していた。
冬丸「ララ美さん!」
ララ美「はい」
冬丸「俺」
ララ美「はい」
冬丸「おっ俺今日!」
ララ美「はい!」
冬丸「お昼休みに」
ララ美「はい」
冬丸「実は……」
ララ美「冬丸様!」
ララ美が目をキラキラさせて彼の手を優しく握りしめた。それはまるで愛の一幕のように2人はハートに包まれた。冬丸は周りがピンク色になっていく光景を不思議に思っていた。
冬丸「??」
ララ美「私、以前から冬丸様のこと……」
冬丸「知ってる。知ってんだけどさ……」
ララ美「これからはずっと私と一緒に……」
冬丸「えっあっえっと……」
ララ美「あんなことやこんなこと……」
冬丸「ラ……ララ美さん?」
ララ美「冬丸様」
冬丸「てっ手……放してくんない?」
ララ美「嬉しいくせに」
冬丸「はっ放せない……強すぎる」
このときララ美は冬丸を絶対放してやるものかと手を力強く握っていた。冬丸は何をされるのかハートマークになったララ美の目を見て息をのんだ。絶対、彼女はなにか勘違いをしている。冬丸は確信し、自分が聞きたかったのかことを正直に話すことにした。
冬丸「俺の話を聞いてくれ!」
ララ美「喜んで!」
ララ美はついにキターっとバクバクが止まらない。そんな彼女を前に冬丸はお昼休みに自分が体験したことを話した。ララ美は大いに期待していただけにシューっと気が抜けて倒れそうになった。
冬丸「大丈夫?」
ララ美「大丈夫……です」
冬丸「よかった」
ララ美は当てが外れ、口をポカーンと開けると2人を包み込んでいたハートが一瞬にして消えた。先ほどまでの空気が嘘のように一変し、ララ美がスッと彼の手を放した。そのとき冬丸は勘違いさせたことに対し、ボコボコにされるのではないかとドキドキしていた。彼が恐る恐るララ美と目を合わせると殺気のようなものがじわじわと放たれている。冬丸のみならず周囲の生徒までもがララ美のオーラを感じとった。
冬丸「ごめん!」
ララ美「……」
冬丸「勘違いさせて本当にごめん!」
ララ美「別に怒ってない」
冬丸「よかったー」
ララ美「で」
冬丸「へ!?」
ララ美「てめぇの大事なところを蹴ったのは誰だ」
冬丸「えっ」
ララ美「誰かって聞いてんだコノヤロー!」
冬丸「おっ俺、冬丸……です……はい」
ララ美「てめぇの名前を聞いたんじゃねぇ」
冬丸「あっえっと……かっ空手同好会の……」
ララ美「そうか空手同好会のヤツらか」
冬丸「はっはい」
ララ美「俺がぶっ殺……やだーっ!」
冬丸「……」
ララ美「あたしったら~もーっ! ぷんぷん」
ララ美が一瞬にして鬼から乙女に変わった。いうまでもなく冬丸はもとより周囲の生徒までもが驚いていた。ララ美は冬丸の気を引こうとカワイイ仕草を見せつけた。
ララ美「キュン」
久しぶりにララ美が冬丸にハートを放った。冬丸は苦笑いをして素直にララ美から幾つものハートを受け取った。冬丸が白目を向いてララ美からの愛を受け取っていたときP子とQ美がやってきた。
P子「ララ美さん?」
冬丸「あーっ!」
Q美「ララ美さんだ!」
P子「あーっ! 生徒会長!」
このときララ美はキョトンとした。冬丸がララ美にコイツらだと言った瞬間、ララ美の顔つきが変わるかと思ったが何も起きなかった。冬丸はどうして何も変化がないのか首を傾げた。
ララ美「P子! Q美!」
冬丸「パコとクミ?」
P子とQ美「ララ美さん!」
冬丸「なんだなんだ?」
ララ美「空手同好会には入らないからね」
P子「やっぱダメですか?」
ララ美「あたしもねぇ色々と忙しいの」
Q美「そんなこと言わずに~」
ララ美「ダメなものはダメ」
冬丸「あの~」
冬丸はP子に大事なところをやられたと再度、ララ美に言った。今度こそララ美がスーパーなんとかに覚醒するのではないかと思った。しかし、ララ美はなにも変化することはなかった。それどころか冬丸の話を聞いていなかった。
P子「入っていただければ即、部長にいたします!」
ララ美「P子」
冬丸「パコか……パコパコパンパン!」
ララ美「!!」
冬丸「ぎゃーっ!」
下ネタを連想させる発言をした冬丸がララ美にぶっ飛ばされた。P子とQ美は久しぶりに見るララ美の凄さに感激していた。ひゅーっと吹き飛んだ冬丸はララ美の前にドン!っと落ちた。その姿は仰向けで白目を向いている。
P子「ヤバくない」
Q美「白目向いてる」
気絶しているのかしていないのか。ピクピクする冬丸の体をララ美がツンツンしていた。彼のその姿にP子とQ美は大丈夫なのかと心配していた。そこへ冬子が現れた。
冬子「先輩、今日は生徒会だって言ったでしょ」
冬丸「……」
冬子「も~こんなところで寝ちゃってぇ」
P子とQ美は寝ていないと首を振った。そのときララ美は冬丸のツンツンする指を徐々に下にしていく。もう少しでというところで冬子がララ美に「貰っていきます」と言い、ズルズルと冬丸を生徒会室まで引きずって行った。
ララ美「もう少しだったのに」
とララ美は悔しがった。




