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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
先生に説教する生徒会長
23/55

第23話

男「男が側にいたらなにもできねぇだろ」

イロハ「大丈夫よ」


ある日、イロハが夏男の彼女である春子を次のターゲットとして男に情報を流した。彼は夏男がいることで妨害されるに決まっていると彼女に言った。すると彼女はうまくできるようにするからと男に伝えた。


春子「イロハ先生から?」

夏男「うん」

春子「そっか」

夏男「ごめんな」

春子「ううん」


夏男はとても大切な用があるとイロハから伝えられていた為、春子に今日は一緒には帰れないと言った。彼女は全然気にしていないと口にしたのだがその表情は悲しそうだった。そこへ現れたのは生徒会長だ。


冬丸「春子ちゃん悲しそうだねぇ。なにしたんだ夏男?」

夏男「お前には関係ない。あっち行ってろ」

冬丸「もしかしてイロハ先生に呼び出されて今日は一緒に帰れないって言ったのかな?」

夏男「よくわかったなぁ」

冬丸「正解者に拍手~」


春子は満面の笑みでパチパチと手を叩いた。冬丸はいざとなれば俺が守ってやる。心配するなと夏男に言った。


夏男「お前が一番心配だよ」

冬丸「俺を誰だと思ってんだ」

冬子「生徒会長だぞって言いたいんでしょう」

冬丸「出た」

冬子「出たってなによ。はいはい行きますよ」


見守り活動に参加するため冬丸は冬子に連れさられた。夏男はもしものことがあったらと春子に念を押した。彼女は何も起きない。心配しすぎだと笑顔で夏男に言った。


春子「早くしないとイロハ先生に怒られちゃうよ」

夏男「そうだな。行ってくる」

春子「行ってらっしゃい」


夏男は職員室へ向かった。春子はいつも通り。何も起きないと信じて帰路についた。春子が通学路を歩いていた時だ。後ろから通行人を装って男が春子のあとをつけていた。違和感がないせいか先生たちも男を不審者だとは思っていない。


冬子「春~子」

春子「冬子。見守り活動ご苦労様」

冬子「あれ? 彼氏さんは?」

春子「イロハ先生に呼び出されたの」

冬子「そうなんだ。かわいそう」

春子「ううん。こういう日もあっていいかなって」

冬丸「じゃあ俺が……」

冬子「気にしないで」

春子「じゃあまた明日」

冬子「じゃあねぇ」


春子が去ったあとすぐ、冬子が冬丸にこう言った。


冬子「一緒に帰ってやろうかって言うつもりだったでしょう」

冬丸「うわぁこえぇ」

冬子「先輩が言おうとしていることはなんでもお見通しです」


冬子が誇らしげに言った。そしてすぐ、冬丸が冬子の顔をジーっと見た。彼女はなんですかと気持ち悪そうにしている。


冬丸「全然見通せてないじゃん」

冬子「試したな!」

冬丸「へっへっへ」


と2人がふざけていると御茶野の殺気が漂ってきた。それは春子を付け狙っている男にも伝わった。


冬丸「御茶野先生の殺気だけで十分見守りの効果出てるよな」

冬子「私もそう思います」


分かっているとは思うが2人は御茶野に聞こえぬよう小声であった。今日も何事もなく平和に見守り活動が終了した。駅構内の人気のないところで春子が男に体を触られそうになっていることなど知る由もなく……。


男「す~ぐ終わるからね~」


春子は怖くて言葉が出せず。誰でもいいから助けてくれないかと心の中で念じた。だが誰も来やしない。男はニタニタしながら春子に手を触れようとした。その時だ。


ララ美「あの!」


男が振り向くとララ美がルル香、リリ子とともに仁王立ちしていた。男はこの子が困っていたから助けてあげようとしていただけだと動揺している。しかし、彼女たちは信じようとはせず。変な目で男を見つめていた。


ララ美「助けようって何かあったんですか?」

男「いっいやね」

ララ美「あの子すごく怯えているんですけど」

男「そっそうだ!」


男は不審者に襲われそうになっていたから助けようとしたと先ほどとは違う言い訳をした。リリ子とルル香が春子に寄り添う。そして彼に何をされようとしていたのか聞いた。その瞬間、春子が泣き出してしまった。その光景にララ美が男と距離を縮める。すると男が今だとララ美を振り切って逃走を始めた。


ララ美「待て!」


ララ美が追いかけるが男を見失ってしまった。仕方なくララ美は皆のいる場所へ戻ろうとした後ろで男が足音を立てず。改札の方へと姿を消した。


ルル香「男は?」

ララ美「見失った」

リリ子「この子も泣いてばっか」

ララ美「仕方ないよ」


ララ美が泣き続ける春子に大丈夫だからねとやさしい言葉をかけた。この出来事はF女3によって学校に知らされた。


御茶野「そうかわかった。とりあえず被害にあった生徒と学校に来てくれるか?」


ララ美からの電話を受けている御茶野をイロハが見ていると夏男がどうかしましたかと声をかけた。


イロハ「次もこの調子で満点、取り続けてね」

夏男「はい」

イロハ「今日はありがとう」


夏男がイロハに呼び出されていた理由。それは彼女の授業で毎度行われている小テストで満点を取り続けている夏男を褒めたたえるためだ。ということは嘘で本当は春子を男の餌食にするのが目的だった。夏男が職員室を出たあと用をたそうとトイレに入った。その間、春子がF女3に連れられて職員室にやってきた。


イロハ「……」


イロハはスマートフォンに男から連絡が入ってきたのでこっそり誰にも悟られないよう職員室を出た。

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