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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
先生に説教する生徒会長
22/55

第22話

翌日、下校時間に生徒会を含めた教員たちが生徒の見守りを行った。教員たちが不審者を警戒する中、冬丸はウチの学校に女子がこんなにたくさんいたのかと可愛い子を探していた。案の定、冬子にバシっと肩を叩かれた。


冬子「可愛い子いました?」

冬丸「真剣にやらねぇとブチ殺しますよみたいな顔で言うなよ」

冬子「それはそれは」

冬丸「それにしても女子多くない?」

冬子「ウチ、元女子校ですから」

冬丸「次から次と何人いんだよ」

冬子「ざっと1000人近くはいるかと思います」

冬丸「そんだけいんなら警戒する必要なくない?」

冬子「どうしてですか?」

冬丸「不審者出た瞬間、みんなでワーって襲いかかるんだよ」

冬子「なるほど」

冬丸「そうしたらいくら大柄な男でも太刀打ちできないと思うよ」

冬子「そんな都合よくいきますかね?」

冬丸「いくいく。なんなら会長を不審者役にして実験してみるか?」

冬子「なんであたしなんですか。普通、男がやるもんでしょ」

冬丸「ヤダね」

冬子「自分から言い出したくせに」


とかなんとか2人が会話をしていると真面目に取り組むよう注意が入った。冬丸と冬子が何も喋らなくなって数分後、イチャイチャする夏男と春子が目の前を通過した。冬丸がじーっと見つめるも2人は自分たちの世界に入っているのか気付かない。


冬丸「無視しやがった」

冬子「真剣に取り組みましょう」

冬丸「会長は真面目だね~」


との発言に冬子は生徒会長のくせにと思ったことだろう。それから徐々に生徒の数が減ってきた。冬丸が茫然としていた時だ。冬子が彼に言った。


冬子「先輩」

冬丸「ん?」

冬子「彼女さん来ましたよ」

冬丸「彼女?」


冬丸は大体、想像がついた。そう、彼らの目の前を通過したのはF女3だ。冬丸はララ美に絡まれるのかと思っていた。だが彼女は何もせず。リリ子やルル香たちとしゃべりながら目の前を通った。


冬子「予想外ですね」

冬丸「うん」

冬子「先輩なんか寂しそう」

冬丸「そんなことねぇよ」

冬子「またまたまた~」


冬丸がどこか寂しそうな感情を出していたことをララ美は知っていた。実際、彼女はいつものように冬丸とイチャつきたかった。ではなぜ実行しなかったのか。それは教員たち学校関係者が周りにいたからだ。いくらララ美でも彼らがいるところでは恥ずかしい。


リリ子「あんた珍しいじゃん」

ルル香「いつもなら冬丸様~っていくクセに」

ララ美「あんだけ先生がいたらできる訳ないでしょう」

リリ子「やってきなよ」

ルル香「ララ美らしくない」


リリ子とルル香の嘲笑う姿にララ美はシューっと殺気を醸し出した。2人はそれを感じとるなりピタっと止めた。するとララ美も元の感情に戻った。そのときだ。


冬丸「ララ美さん!」


その声にF女3が一斉に振り向いた。リリ子とルル香は冬丸が声をかけて来るなんてと驚きを隠せなかった。ララ美に至っては感激しておりスーパー乙女になっていた。


冬丸「これ、ララ美さんのでしょ」

ララ美「はい。わたくしのでございます」

リリ子とルル香「!?」

冬丸「よかった」

ララ美「冬丸様」

冬丸「なに?」

ララ美「お届けいただきありがとうございました」

冬丸「うっうん。じゃっ」

ララ美「はい。ごきげんよう」

リリ子とルル香「……」


冬丸は彼女たちに笑顔を見せてすぐにその場を離れた。またいつものようにアレを放たれるのではないかと警戒してのことだった。ララ美は冬丸の後ろ姿を見てキュンキュンしていた。それを目の当たりにしたリリ子とルル香は少々、気持ち悪がっていた。


男「今振り込んだ」

イロハ「わかった。確認する」


見守り担当ではないイロハは職員室を出て少しした場所でスマートフォンを使って男から情報料が振り込まれたか確認した。


イロハ「どうする?」

男「どうって?」

イロハ「真夏に厳重な警戒がしかれちゃったでしょ」

男「ああ」

イロハ「あんた好みの生徒の情報いらないの?」

男「いくらだ?」

イロハ「そうねぇ。また連絡する」


突然、イロハが電話を止めた。それは園子が側を通ったからだ。彼女はお辞儀をして園子が通り過ぎるのを待った。


園子「イロハ先生」

イロハ「はい」

園子「イロハ先生は担当じゃないの?」

イロハ「はい、担当ではございません」

園子「そっか」

イロハ「校長は今、なにを?」

園子「校内の見回りよ。不審者が侵入していたら大変だからね」

イロハ「それはご苦労様です」


その時、イロハのスマートフォンが鳴った。園子はイロハに気にせずに出てもよいと言った。だが彼女は画面を見て男とわかり「知らない番号からですね」といい感じに返した。


園子「知らない番号って怖いよねぇ。あたしもね……」


イロハは彼女が話しを続けたことにより男からの電話に出ることができなくなった。話を中断したいのだが校長だけにこの場の雰囲気を壊しては今後に響きかねない。イロハは我慢をして園子が話を終えるのを待った。


園子「おっと長く話すぎちゃった。ごめんなさいね」

イロハ「いえ、とんでもございません」

園子「あたしも頑張らなくっちゃ! それじゃ」

イロハ「失礼いたします」


イロハはお辞儀をして園子を見送った。彼女が見えなくなった後、イロハは男からの電話に出た。


男「急に切るんじゃねぇよ」

イロハ「校長が来たんだから仕方ないでしょう」

男「でさっきの話だけど」

イロハ「あなた好みの生徒の情報ね」

男「いくらだ」

イロハ「アイドルじゃないから安くはしてあげる」


イロハは男に金額はまた後ほど話すと言った。彼女はまた男へ生徒の情報を流す約束をしてしまった。これもお金のためだと彼女は自分に言い聞かせた。


イロハ「真夏の次は誰にしようかな」


イロハはつぶやくなり奇妙な笑みを見せた。

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