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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
生徒会長は抽選で選ばれました。
2/46

第2話

主人公の名前を春夏秋冬丸にしたのは春夏秋冬が頭に浮かんだからである。

ちなみに御茶野はお茶。教頭の珈琲谷はその名の通り珈琲からきています。

担任「春夏秋君!」

冬丸「はい!」


春夏秋冬丸。さっき全校集会であくびをした生徒は自分が生徒会長に選ばれたことなど知る由もなく。担任から試験の結果を受け取るなり喜んだ。


担任「ちょっと! なに喜んでんの?」

冬丸「前より点数がよかったもんでヘヘ」

担任「アンタは今回も学年最下位。最低記録を更新したの! わかる?」

冬丸「わかってますよ」

担任「わかってんなら喜ぶな」

冬丸「赤点じゃないだけいいじゃないスか」

担任「春夏秋君!」


調子に乗った罰として冬丸は5分程度、みんなの前で担任から説教を受けた。しかし、本人には届いていないものと思われる。


冬丸「なにが超スーパーチョベリバだよ。ってかチョベリバってなんだよ。なぁ夏男(ナツオ)


冬丸が話しかけたのはいくら席替えをしても毎回、席が前後になる仲良しの夏男だ。彼は成績トップの常連で顔もイイ。


夏男「先生はお前の為に言ってるんだ。ありがたく思え」

冬丸「んだよそれ。あっそうそうお前、1年生の彼女できたんだって?」

夏男「どこでそういう情報仕入れたんだよ?」

冬丸「どうなんだよ? オィオィ」

夏男「相手に告白されちゃったんだ。好きですってな」

冬丸「俺も好きです! って言ったの?」

夏男「ぜひ君と甘い恋がしたいってな」

冬丸「いいなぁ~。そうだ! 俺と変わろう。いつでもいいぞ~。なんだったらお前、俺と付き合ってみるか?」

夏男「キモイこと言ってんじゃねぇ!」

冬丸「冗談だよハハハっ」


冬丸は笑った。それが担任には全然、反省していない様子に見えたらしく冬丸は即、注意を受けた。そしてなんだかんだこの日のホームルームが終わった。あとは明日の終業式のみ。それが終われば夏休みだ。冬丸は帰宅する準備を終えて教室を出ようと歩き始める。とその時。校長が冬丸を呼び出すという内容の放送が学校中に流れた。


冬丸「校長が俺に何の用だ? お前知ってるか?」

夏男「知る訳ないだろ。てかお前、何したんだよ」

冬丸「フフフフフっ」

夏男「なっなんだよ?」

冬丸「決まってんだろ」

夏男「えっ?」

冬丸「校長はこの学校の後継者に俺を指名した! 間違いない」

夏男「じゃーな」


冬丸の発言に呆れた夏男はサーっと教室を出た。冬丸はその場でボーっと呼び出された理由を考えた。だが何も思い浮かばず。成績が理由で退学になったらどうしようと不安になり始めた。夏場にも関わらず冬丸は教室で1人ブルブルと震えていた。すると時間になったのかそれとも節電対策か。教室の冷房が止まった。


冬丸「行くか」


冬丸はどうにかなると軽い気持ちで校長室へ向かった。その途中、冬丸はどうして呼び出されたのか真剣には考えてはいなかった。


冬丸「呼び出されたのはなんでかニャー。にゃにゃ?」


冬丸はふらふらっと校長室の前に辿り着いた。いざ目の前に来ると冬丸でも緊張する。彼はここからどうすればよいのか真剣に考えた。


冬丸「開けていいのか? それともノックが先か……」


そう思った冬丸はドアノブを触った。とその時、何かとてつもない気配を感じた。冬丸はゾクゾクとして後ろをふり向いた。そこにいたのは御茶野だった。


冬丸「ぎゃーっ!?」

御茶野「うぉ! びっくりした~」


お互い驚いたところで御茶野が丁重に校長室の扉を開けた。


冬丸「失礼します」

園子「噂の生徒、キターっ!」


園子は専用の椅子に腰掛けながら利き腕を天井に向け上げた。そして彼女は冬丸をデスクの前に来るよう指示をした。彼は何を言い渡されるのかと手を前にして緊張していた。冬丸が後ろをチラっと見ると御茶野が誰も入って来れないよう扉の前で腕を組み、仁王立ちしている。


園子「春夏秋冬丸くん!」

冬丸「はい!」

園子「元気良すぎ!」

冬丸「ありがとうございます!」

園子「それではあなたを生徒会会長に任命致します!」

冬丸「ありがとうございます! エッ!?」

園子「もう決まったことなの。よろしくね」

冬丸「きっ決まったって……俺が生徒会長に……ですか?」


当然のことながら冬丸は信じることができなかった。そんな状況の彼に園子はどういう方法で会長を決めたのか打ち明けた。冬丸はその衝撃に飛び跳ねてしまう。


園子「やってくれる? それとも嫌?」

冬丸「イヤです!」


冬丸の堂々とした返事に園子と御茶野がガクっとコケた。園子は先代の念願を叶える為、どうしてもやってほしいと自ら考えたアイデアを冬丸に言った。


園子「やってくれたらそうねぇ。就任中は会長特別プラスポイントとして定期試験に100点足してあげちゃう! どう? どうどう?」

冬丸「あの〜」

園子「なに?」

冬丸「バイト代貰えたりします?」

御茶野「どこにそんな学校があるんだバカヤロー!!」

冬丸「びっくりしたー! なんスかいきなりー!」

園子「そうよ~。こっちまでびっくりしたじゃな~い」

御茶野「どっどうも……すいません」

園子「それにしてもアナタ面白い人ね」

冬丸「ありがとうございます」

御茶野「褒めてない!」

園子「褒めてます」

御茶野「あっ失礼しました!」


結局、会長特別プラスポイントは物凄くあとで問題になるからと即、却下された。それから話し合いの末、冬丸は無償で会長を引き受けることになった。


冬丸「プラスポイントくれないんですか?」

園子「ごめんなさいね」

冬丸「じゃあバイト代で……」

御茶野「こらっ」

冬丸「え~」

園子「ハハハハっ」


その後、冬丸はお辞儀をして校長室を出た。扉が閉まったとき御茶野が園子に言った。


御茶野「本当に大丈夫でしょうか」

園子「大丈夫よきっと。大丈ブイ! ブイブイ」

御茶野「……」


黙り込む御茶野に園子はニッコリとカワイイ笑顔を見せた。その頃、冬丸はササと忍者のように素早く学校を出た。そして校舎を見つめながら自分が生徒の代表になっていいものかと心配になった。


冬丸「生徒会長になっちゃった。まっいっか。どうなってもしらん!」


冬丸は呟き、なんとかなると鼻歌を歌いながら帰路についた。


夏男「えーっ!!」

冬丸「凄いだろー」


終業式前、10組の教室で冬丸が夏男に生徒会長の就任を明かした。冬丸の告白にクラスメートが一斉に驚きの声を発した。


夏男「この学校、大丈夫か?」

冬丸「大丈夫じゃないの」

夏男「先が思いやられるぜ」

冬丸「俺も」


そのあと終業式の為、体育館に集合の放送が流れた。生徒たちはゾロゾロと体育館へ移動する。終業式が始まる直前、演説台に姿を見せた御茶野が生徒たちに向けて言った。


御茶野「終業式の前に今日から生徒会会長に就任することなった2年10組、春夏秋冬丸君による自己紹介があります。春夏秋! 前へ!」

冬丸「聞いてないんですけど!」


冬丸は驚きを隠すことなく壇上に上がり御茶野からマイクを受け取った。


冬丸「今日から生徒会会長になりました。春夏秋冬丸です。以上!」


すぐに終わった自己紹介に生徒や教員、園子までもがガクっとコケた。彼が舞台から降りようとしたとき御茶野が意気込みを語れというジェスチャーをした。冬丸は瞬時に何が言いたいのか理解してはこんなことを言ってしまった。


冬丸「えっ意気込み? 冗談じゃないスよ」


冬丸の発言に生徒たちが御茶野を見てギョっとした。シューっと気が沸き上がる御茶野に教員たちもゾッとする。冬丸はヤバいと足音を立てないようそっと舞台を降り、瞬間移動でもしたかのように素早く生徒の列に戻った。園子が舞台で話をしている時、御茶野は冬丸に睨みを効かせていた。冬丸は気配を隠していた。


御茶野「おいっ」


何人もの生徒が園子の長話によって倒れた終業式が終わってすぐのこと。静かに教室に戻ろうとする冬丸を御茶野が呼び止めた。生徒たちが御茶野の雰囲気に気付き、冬丸への通路をさっと開けた。彼がツカツカと冬丸に近づく。


御茶野「なんで意気込みを言わなかった!」

冬丸「2、3秒で考えれる訳ないでしょう」

御茶野「それもそうだ」

冬丸「1年くれたら意気込みの1つや2つ話せたんですけど……ハハハっ」

御茶野「よしわかった! 来年、素晴らしい演説を頼む」

冬丸「!?」


冬丸は言わなきゃよかったとその場で白目を向いていた。教室に戻ると冬丸は生徒会長になったことでモテてるのではないかと勝手に想像を膨らませていた。が、冬丸に話しかけたのは夏男だけだった。


夏男「まっ頑張れや」

冬丸「それだけかい」

夏男「なんだよ」

冬丸「もっとなんか言ってよ。ねぇ夏男ちゃん。このこのこの」

夏男「キモいことすんな!」


冬丸が夏男にちょっかいをかけているとホームルームが始まった。

第3話いきましょう。

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