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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
生徒会長はすごかった
14/55

第14話

冬丸「御茶野先生おそいなぁ」

冬子「……」

冬丸「会長さっきっから何してんの?」

冬子「……」

冬丸「御茶野先生おはようございますー!」

冬子「!?」


冬丸の声に冬子は反応した。バレたらヤバいとスマートフォンとイヤホンを机の中に片づけた。焦る冬子を見て冬丸は笑っていた。


冬丸「ハハハハハっ」

冬子「!!」


騙した罰として冬子が冬丸にドンッ!とカミナリを落とした。それにより冬丸は頭から湯気のようなものをシューっと出しては呆然と突っ立っていた。そんな冬丸をよそに冬子がまた音楽を聴き始めた。その後すぐ。生徒会室に御茶野が入ってきた。一瞬で元の姿に戻った冬丸が動揺しながら冬子に合図を送る。だが冬子はふざけてるんだろうと相手にしない。


御茶野「……」

冬子「!?」


冬子がやっと御茶野に気付いた。彼女は苦笑いをして上品にそっと片付けた。御茶野も冬子に苦笑いをしている。一方の冬丸は笑いをこらえていた。そんな御茶野が壇上に立った。そして言った。


御茶野「今日は! 何もすることがない! そうそう、マラソン大会当日の校内放送よろしくな。また何かあるかもしれん。時間までこの部屋で待機! それじゃ」


そう言うと御茶野は職員室に戻って行った。彼がいなくなった後すぐ冬子はイヤホンを装着する。冬丸は彼女が聞いているのは何だろうと気になったのだが睡魔に襲われた。それからしばらくして生徒会室にララ美がやってきた。


ララ美「失礼しまーす」


扉をノックしてララ美が中に入った。生徒会長が居眠りをしていていいのだろうかと思いつつ冬子に声をかけた。


冬子「どうも」

ララ美「ねぇ」

冬子「はい?」

ララ美「冬丸様借りていい?」

冬子「どうぞどうぞ」

ララ美「サンキュー」

冬子「先輩! 彼女さんがいらっしゃいましたよー!」

ララ美「彼女だなんてやだ~」


彼女呼ばわりされたララ美が照れくさそうに冬子の肩をバンと叩いた。その衝撃音で冬丸が何事かと目を覚ました。冬子は痛がりながらララ美が来ていることを手で知らせた。


ララ美「冬丸様」

冬丸「ニャ?」

ララ美「ちょっと来てくれませんか?」


ララ美が緊急事態で助けてほしいと冬丸に頼んだ。しかし、彼はまたいつものアレだと言い中々、立ち上がろうとしない。


ララ美「いいから来てほしいんです」

冬丸「はいはいはい」


ここにいても暇だからと冬丸はララ美に着いて行くことにした。教室に1人になった冬子は何が起きたのだろうと考えたのだが結局、イヤホンを装着した。それから時間が経ち、冬丸の叫び声が聞こえてきた。


冬丸「うぉぉぉ!」


その声は音楽を聴いている冬子の耳にも入ってきた。彼女は何事かとイヤホンを外して出入口に向かった。すると冬丸がカキ・クケコをおんぶして生徒会室の前を通過した。ララ美がそのあとを追う。


冬子「2人とも何してるんだろう」


そう思った冬子はしばらく冬丸の行った先を見つめていた。


ララ美「失礼します!」


ララ美が保健室の扉を開けて冬丸がクケ子を担いで中に入る。暇にしていた保健室の先生・保健子タモツ・ケンコは何事かと2人に近寄る。彼女はクケ子の様子を知るなりマニュアルにそった対応をした。冬丸がクケ子が横たわる病床の隣のベッドに座り一息ついていた。するとララ美がひょこっと隣に腰掛けるなりちょっかいをかけてきた。


冬丸「ちょっとやめてよ」

ララ美「いいじゃん」

冬丸「ダメだよ」

ララ美「つ・か・ま・え・た」


目をキラキラさせたララ美が冬丸の腹部に手を回す。これにより冬丸はララ美から逃れることができなくなった。冬丸は好きにしてと言わんばかりに呆れた。


ララ美「ねぇ冬丸様」

冬丸「ん?」


ララ美が冬丸に秋矢のことを伝えようとした次の瞬間だ。健子が彼らに鋭い目を向けた。


健子「2人!」

冬丸・ララ美「はい」

健子「ここをどこだと思っているの」

冬丸「すいません。彼女が」

健子「そういうことしたいのなら人目の付かない所でおやりなさい」

ララ美「はーい」

冬丸「エッ!?」

健子「頑張ってね」

ララ美「はい」

冬丸「なに応援してるんですか!」

健子「冗談よホホホホホっ」


冬丸はにこやかなララ美を見てスーパーなんとかに変貌した姿が思い浮かんだ。想像するだけで震えてしまう。このにこやかな彼女がと冬丸は健子と話すララ美を眺めていた。


冬丸「失礼しました」


冬丸はララ美を置いて保健室を出て静かに扉を閉めた。が直ぐにバンっと開いてララ美が現れた。冬丸は想像していた通りだと驚くことはなかった。


ララ美「行きましょ」

冬丸「あっうっうん?」


ララ美は冬丸の手を引いて人気のないところへ連行した。その後、健子が急病人の対応に当たった冬丸とララ美を評価した。


健子「調子はどう?」


健子はそう言うとクケ子の保護者が到着するまでの間、看病を続けた。冬丸がララ美に連れられたのは誰もいないところだ。彼は何をされるのか少しビクビクしている。徐々にララ美との距離が縮まっていく。


冬丸「ストップ! ストップ!」


彼がそう言うとララ美はピシッと足を止めた。もう少しでララ美にキスされるのではないかと冬丸は思ったからだ。


冬丸「いっいいんだよ……全然! いいんだよ」

ララ美「どうしたんですか?」

冬丸「えっ?」

ララ美「別に私なにも……」


冬丸はつい下心が出てしまったと顔が赤くなった。ララ美が微笑むと冬丸は心を落ち着かせようと深呼吸をする。


ララ美「もしかしてエッチかこと考えて……」

冬丸「べっ別にそっそんなんじゃ……」

ララ美「図星だ」

冬丸「もう! 帰る!」


不機嫌そうになった冬丸がクルっとララ美に背を向けて生徒会室に戻ろうと歩き始めた。するとララ美は大事なことを言おうと冬丸に接近する。


冬丸「なんだって!?」

ララ美「声が大きい」

冬丸「小学生かよ」

ララ美「でしょ~。もうねぇ呆れちゃって」

冬丸「ありがとう。教えてくれて」


ララ美から秋矢のことを聞いた冬丸は生徒会室に向かいながら思った。今年も優勝しようと意気込んでいただけに厄介な展開になりそうだと。だが止めれるものなら止めてみろと自信に繋がったことも確かである。

第15話へ続く

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